フェアリーデバイセズ、ダイキン/ヤンマー/NTTテクノクロス等から総額約21億円の資金調達 シリーズB累計調達額は31億円に

フェアリーデバイセズはダイキン工業、ヤンマーベンチャーズ、NTTテクノクロスなどから総額約21億円の資金調達を実施した。今回の資金調達によりシリーズBの累計調達額は31億円となった。

調達した資金はプロダクト開発やマーケティング、人材採用等に投資するとしている。

資金調達の背景と目的

フェアリーデバイセズは、産業現場において属人化されやすいいわゆる「匠の技」を、ウェアラブルデバイスやデータ解析の活用によりデジタル化し、熟練工が減少する現場にソリューションを提供している。

2019年に発表した「コネクテッドワーカーソリューション」では、メンテナンス工場やプラント、物流などミスが許されない現場作業において、デジタルデバイスを装着した現場作業員(コネクテッドワーカー)に熟練工が遠隔支援を行うことや、AIを活用した作業記録作成をすることで、作業効率と作業品質の向上し、人材不足問題への解決策を示してきた。

「コネクテッドワーカーソリューション」の発表から3年で、ダイキン工業の空調現場やヤンマーエネルギーシステムが参画する南極・昭和基地をはじめとした現場での導入を開始し、利用者数は毎年約350%成⻑を遂げ、また利用国数もインド、ベトナム、オーストラリアをはじめ18の国と地域にまで広がりを見せている。




2022年に総務統計局が発表した資料によると、日本の総人口が減少する中、高齢者人口は3,627万人、総人口に占める割合は29.1%とともに過去最多を記録、また日本の高齢者人口の割合は世界でも最高となっており、更なる働き手不足問題が深刻化していく。また、国立社会保障・人口問題研究所の発表に基づくと毎年50万人以上の熟練者が引退を迎えることとなり、現場技術の喪失が益々加速する状況となっている。

このような状況下において、フェアリーデバイセズは「Stage1:遠隔支援で経営効果を出しつつデータがたまる」、「Stage2:AIによるコパイロット(※飛行機の副操縦士のように、現場作業を側面支援すること)」、「Stage3:機械がチームメイトになる」の3段階を踏むことで、熟練工AIを実現し世界に届けることを目指しており、先進国の生産年齢人口減少という喫緊の社会課題への対応として、AIによるコパイロットが当たり前になる時代の基盤技術として、今後ますますテクノロジーの開発およびパートナーシップの拡大を加速していくとしている。




引き受け先からのコメント

今回発表された資金調達引き受け先企業もコメントを寄せている。

ダイキン工業株式会社 常務執行役員 テクノロジー・イノベーションセンター長 米田裕二 氏


世界170カ国以上で空調事業を展開する当社にとって、フェアリーデバイセズ社はグローバル規模での空調機の据付工事やサービス・メンテナンス等、現場DXの技術開発・実装を共同推進することができる重要なパートナーです。同社と共に進めている「グローバルな現場 DX/脱炭素化と国内現場力の維持を実現する『コネクテッドワーカーソリューション』の推進」の取組みは、内閣府が主催する「第5回 日本オープンイノベーション大賞総務大臣賞」を受賞しました。今後はますます協業地域を拡大し、同社と共に世界的な社会課題の解決に邁進してまいりたいと思います。


ヤンマーベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 尾田伸之 氏


当社とフェアリーデバイセズは、ヤンマーが提供している南極昭和基地のコージェネレーションシステムにおける遠隔支援をはじめとし、様々な環境における現場DXに共同で取り組んでいます。極地環境をはじめとする難易度の高い現場課題を、技術に真摯に向き合い、発明し、解決していくことができるフェアリーデバイセズのカルチャーは、当社のみならず、様々な大企業の現場DXを推進する原動力となると確信しています。今後も、インフラメンテナンスに加え農業、船舶、施設運営など、様々な国・現場の先端的課題に、両社で果敢に挑戦していきます。


NTTテクノクロス株式会社 代表取締役社長 桑名栄二 氏


フェアリーデバイセズは、ハードからエッジ、クラウド、アプリ、AI、データまで幅広い技術スタックを有する国内でも稀有なテクノロジースタートアップ企業であると高く評価しています。かねてより、当社とメディア処理技術に関する共同開発を進めていますが、新たな技術課題に果敢に取り組む同社の企業文化が生み出す新たな可能性と、当社の強みである技術開発力を活かし協業を深化することで、日本のテクノロジーが世界的な社会課題を解決する一助となるよう努めてまいります。


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