ヒョンデがEVロボタクシー「IONIQ 5」をシンガポールで生産開始、「レベル4」自動運転対応

Hyundai Motor Groupと、世界的な自律走行技術のリーダーであるMotionalは、Hyundai Motor Groupイノベーションセンターシンガポール(HMGICS)の開所を祝うとともに、HyundaiとMotionalが共同開発した全電気式ロボットタクシー「IONIQ 5」が新センターで生産されることを発表した。

また両社は、IONIQ 5が米国連邦自動車安全基準(FMVSS)の認定を受けた最初のSAEレベル4自律走行車(AV)の一つであることを明らかにした。

参考: WRCラリージャパンで展示されていた高性能ラインアップ「N」の「IONIQ 5 N」モデル

Motionalの社長兼最高経営責任者カール・アイアグネマ氏は、今回の認証取得は、同車の極めて徹底した開発・試験プログラム、安全性と信頼性、そして高度な自律走行技術を証明するもであると述べている。




両社代表者からのコメント

Motionalのカール・アイアグネマ氏は「HMGICSは輸送革新のビジョン」と述べ、以下についても強調した。

Motional CEO カール・アイアグネマ氏

この施設でIONIQ 5が生産されることを大変誇りに思うと同時に、史上初のFMVSS認定自律走行車を世界に紹介できることを楽しみにしています。厳しい連邦安全基準を満たし、大量商業化の準備が整った業界をリードするロボタクシーを開発できたのは、Hyundaiとの協力関係の賜物です



また、IONIQ 5の開発から生産までを実現したHMGICSの役割について、同センターの最高経営責任者 Hong Bum Jung氏は以下のように述べている。

HMGICS 最高経営責任者 Hong Bum Jung氏

HMGICSは、Hyundai Motor Group初のグローバル・イノベーション・ハブであり、未来のモビリティのための世界的な実証試験施設です。当センターの使命は、先進的で多様な形態の未来型モビリティ・ソリューションを開発・生産することで、モビリティ・バリューチェーンを変革することです。Motionalとの協業によるIONIQ 5の生産を開始することで、モビリティの未来におけるパラダイムシフトの最前線に立つことを志し、継続的なイノベーションの旅に乗り出す所存です。




IONIQ 5、2024年から米国で商業サービス開始

MotionalとHMGICSは、画期的なIONIQ 5の生産に向け、米国とシンガポールで1年以上にわたる限定モデルの試作車の試験を含め、数年間準備を進めてきた。同グループは、高度なオートメーション、リアルタイムのモニタリング、データ評価を組み合わせ、生産の限界を打破しようと取り組んでいる。また、試験設備やキャリブレーション(校正)センターなど、自律走行車(AV)生産をサポートする独自の高度な機能を備えている。Motionalも、生産支援チームを現地の自律走行車統合センターに配置し、必要な診断やソフトウェア開発、校正、検証作業を行い、IONIQ 5の完成車が厳密な要件を満たし、展開準備が整っていることを確認。IONIQ 5の初期型は最近、ロボットタクシーの品質、性能、成熟度とその自律走行技術を実証することを目的とした一連の評価を完了。商業生産に入り、初期モデルはすでにMotionalの米国施設に納車された。これらのEV車は2024年の商業サービス開始に向けて、Motionalの厳格な試験および安全性検証過程を経ている。





各社の概要

Hyundai Motor GroupとMotional、Hyundai Motor Groupイノベーションセンターシンガポールの詳細は以下の通りだ。


Hyundai Motor Company

1967年に設立されたHyundai Motor Companyは、世界200ヵ国以上で事業を展開し、12万人以上の従業員を雇用しており、世界中のモビリティに関する現実的な課題に取り組んでいる。ブランドビジョンである「Progress for Humanity」に基づき、Hyundai Motorはスマートモビリティ・ソリューション・プロバイダーへの転換を加速。革新的なモビリティソリューションを実現するために、ロボティクスやAdvanced Air Mobility(AAM)などの先進技術に投資し、未来のモビリティサービスを導入するためのオープンイノベーションを追求している。また、同社は業界をリードする水素燃料電池と電気自動車技術を搭載したゼロエミッション車を導入するための努力を続けていくと述べている。


Motional

ボストンに本社を置き、米国とアジアで事業を展開するMotionalは、自律走行車(AV)を安全で信頼性が高く、手の届く現実のものにする無人運転技術企業だ。同社は、スマートモビリティ・ソリューションを提供する世界最大の自動車メーカーの一つであるHyundai Motor Groupと、より安全で環境に優しく、持続可能なモビリティの未来を実現するコネクテッド・ソリューションを開発するグローバル・テクノロジー企業であるAptivとの合弁会社として、2020年に設立された。マートフォンのアプリなどで事前に予約できる「ライドヘイル」やデリバリー用途のSAEレベル4自律走行車の開発と商業化を進めている同社は、ラスベガスでの公共サービスを通じて13万回以上の自律走行を行っており、商用ロボットタクシー事業において比類のない実績を有している。


Hyundai Motor Groupイノベーションセンターシンガポール(HMGICS)

HMGICSは、Hyundai Motor Groupの実証試験施設であり、グローバル・オープン・イノベーション・ハブとして、新しいEVビジネスモデルの開発、革新的なパートナーシップの構築、モビリティ製品の生産、持続可能なモビリティのバリューチェーン全体を変革するための同グループのインテリジェント製造プラットフォームの開発を目指している。未来のモビリティ・バリューチェーンに革命を起こすことを目的に設立された同センターは、スマートモビリティ・ソリューションとスマート自動車製造ソリューションの深い専門知識をベースに、人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ロボティクスといった最新のインダストリー4.0スマート技術を活用している。

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ロボスタ編集部

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