NVIDIAは2025年10月28日(火)、米ワシントンD.C.で開催されたイベント「GTC Washington D.C.」において、配車サービス大手のUberとの提携を発表した。この提携により、NVIDIAは自社の自動運転車(AV)開発プラットフォームを活用し、Uberの次世代ロボタクシーおよび自律配送フリートの世界展開を支援する。
Uberは2027年から段階的に自動運転車の規模を10万台に拡大する計画で、今回の提携はこの大規模なモビリティネットワーク構築の核となる。
両社は自動運転開発に必要なデータを処理するため、NVIDIAの基盤モデル開発プラットフォーム「NVIDIA Cosmos」に構築された共同AIデータファクトリー活用にも取り組む。
レベル4自動運転の実現を加速する基盤
この計画の中核をなすのが、NVIDIAが提供する「NVIDIA DRIVE AGX Hyperion 10」である。これは、特定の条件下で完全自動運転を実現する「レベル4」に対応した、量産向けのリファレンス・コンピューターおよびセンサーアーキテクチャだ。
このプラットフォームには、高性能な車載コンピューター「NVIDIA DRIVE AGX Thor」や、14台のカメラ、9台のレーダー、1台のLiDAR、12台の超音波センサー、検証されたボード設計を含むを含む全に検証されたマルチモーダル センサー スイートを搭載している。
メーカーはこれを利用することで、開発を加速しコストを削減しながら、安全で拡張性の高いソフトウェア・デファインド車両を構築できる。
すでにStellantis、Lucid、Mercedes-Benzといった大手自動車メーカーがこのプラットフォームの採用を表明。Stellantisはロボタクシー向けに最適化されたプラットフォームを開発し、Lucidは次世代乗用車に、Mercedes-Benzは独自のOS「MB.OS」と組み合わせて活用する計画がある。
広がるレベル4エコシステムと安全性への取り組み
NVIDIAとUberの提携は、乗用車だけでなく商用車分野にも広がっている。トラック輸送分野では、Aurora、Volvo Autonomous Solutions、WaabiがNVIDIAのプラットフォームを搭載したレベル4の自律型トラックを開発中だ。これにより、乗客の移動から長距離貨物輸送まで、エンドツーエンドでの自律走行の実現を目指す。
さらに、Avride、May Mobility、Pony.ai、Wayveなど、世界中の多くのテクノロジー企業がNVIDIAのプラットフォーム上でソフトウェア開発を進めており、レベル4エコシステムは急速に拡大している。
NVIDIAは技術開発と並行して、安全性確保への取り組みも強化している。同社は、自動運転車とロボティクス向けのフィジカルAIの安全性を評価・認証する業界初のシステム「Halos Certified Program」を発表。このプログラムを通じて、AIシステムが厳しい安全基準を満たすことを支援し、レベル4自動運転の安全な大規模展開を後押しする構えだ。