ソフトバンクが「ワイヤレス電力伝送ラボ」を開設 開発中の無線給電装置やシステムの検証できる環境を提供

ソフトバンクは、ワイヤレス電力伝送(Wireless Power Transfer、「WPT」)の技術を商用環境で検証できる施設「ワイヤレス電力伝送ラボ」(「WPTラボ」)を、2023年12月に開設した。

まず、ソフトバンクやパートナー企業が開発中の装置やシステムの検証で活用し、設備の環境の充実化や運用体制の構築を進めた後、2024年度中をめどに、さまざまな企業・団体が気軽に活用できるオープンラボとして運用を開始する予定。

ソフトバンクは、「WPTラボ」の運用を通して、WPTの技術の普及とサービス化による産業の活性化を図るとともに、WPTの技術に関する交流の場を提供することで、オープンイノベーションの創出を目指すとしている。

「WPTラボ」の開設の背景


近年、IoTビジネスの拡大などを背景に、IoTデバイスやセンサーの数が増加しており、今後もデジタルツインなどの普及に伴って、その数が爆発的に増加していくと予測されている。こうした中、IoTデバイスやセンサーのバッテリー交換や給電方法が課題になっており、その課題を解決する手段の一つとして、電波を活用してワイヤレスで給電を行うWPTの技術が注目を集めている。しかし、WPTの環境の構築には技術的な調整や導入コストが発生し、気軽に検証できる環境がないため、サービス化の事例はあまり多くない状況である。

ソフトバンクは、Beyond 5G/6Gに向けた取り組みの一環として、WPTの高周波化および通信との融合に向けた研究開発を2021年から進めており、現在はWPTによる送受電を一元的に制御・管理できるプラットフォーム(特許取得済み)の実用化に向けて研究開発を行っている。

また、2022年5月に国内でのWPTの利用が制度化されたことを受け、パートナー企業と連携して、ソフトバンクの事業所内にWPT局を積極的に設置するとともに、WPTの技術を活用した装置やシステムの動態展示を行ってきた。

そこでソフトバンクは、こうしたノウハウを生かして、WPTの技術の普及や、WPTの技術に関するオープンイノベーションの創出を促進することを目的に、WPTの技術を商用環境で検証できる「WPTラボ」を開設した。

「WPTラボ」について

所在地 テレコムセンタービル(東京都江東区青海2-5-10)
主な設備 920MHz帯のWPT局(WPT送電装置)
提供サービス ・WPTの商用環境
・ストラップ型受電装置と温湿度センサー、各種測定装置などの貸し出し
・WPTに関する技術支援
空中線電力 1W


現在検証中の取り組み

WPTラボのイメージ

「WPTラボ」では、ソフトバンクとパナソニックホールディングスが共同で開発した、ストラップ型受電装置と温湿度センサーの検証を進めている。また、この装置とセンサーを活用した会議室内の環境測定システムの検証を実施しており、バッテリーレスで温湿度データの取得に成功している。




今後の展開

今後はさまざまな企業・団体が「WPTラボ」を活用してWPTを気軽に検証できるよう、2024年度中をめどにオープンラボとして運用を開始する予定。

また、ソフトバンクがモバイル通信の提供で培ってきたノウハウを生かして、さまざまなWPTのシステムや機器に対応した、WPTの送受電を一元的に制御・管理できるプラットフォームの社会実装に向けて取り組む。こうした取り組みによって、デバイスへの給電を現在の有線からモバイルへと変革させることで、膨大な数のIoTデバイスやセンサーを管理・最適化できる社会の実現を目指していくとしている。

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ロボスタ編集部

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