ハザードマップ×デジタルツインで自治体の防災強化へ、TOPPANが災害リスク可視化サービス開始

TOPPANは、ハザードマップなど自治体の持つ様々な災害データを都市のデジタルツインと組み合わせて地域の災害リスクをデジタル空間で仮想再現し、災害対策や訓練・防災教育などの自治体業務を支援するサービスを開発。2025年3月上旬より提供を開始する。
仮想再現を行い、災害時にどんな状況が起きるかを可視化
提供を開始するサービスは3Dデジタル空間上に現実の都市を再現し、避難所などの防災関連施設や住人の分布と年齢構成といった地域情報を登録。災害発生時の状況によって変わる被害や避難行動を避難者の属性なども考慮した仮想再現を行い、どの様な状況が起きるかを可視化する。科学計算と地域情報に基づき様々な条件をデジタル空間で検討し、防災・減災活動に反映させることが可能となる。
また、デジタルツイン内で起きた災害時の状況を地域防災計画などの行動ルールと組み合わせた訓練シナリオのAI生成や、訓練に加え防災教育にも活用できる地域ごとの発災時の再現CG出力など業務で直接利用できる情報を自動で作成し自治体を支援する。
なおTOPPANは2024年9月より、京都大学防災研究所巨大災害研究センターと連携し、本サービスを用いて防災計画や訓練におけるデジタルツインの有効性検証を進めている。
サービス開発の背景
これまで防災・減災計画の前提となる被害想定は、過去の例や経験に基づく人の想像を中心に策定されてきた。しかし災害そのものが質的に変化している上、考慮すべき事項も多岐にわたる中、各要因が連鎖的に影響する被害想定を従来方法で策定することは限界を迎えており、システム的な解決が求められている。
TOPPANはこれまでも、その場で見たかのように体験できるオンライン津波浸水可視化サービス「リアルハザードビューア」や、VRゴーグルで地震/津波/風水害の3つのコンテンツが体験できる「災害体験VR」など、同社が培ってきたVR表現技術を使った住民向け防災啓発サービスを開発/展開してきた。近年の災害の激甚化・複雑化を受け、シミュレーションなどの機能に対し更なる要望が寄せられたことから、TOPPANは自治体防災の高度化・効率化を目指し、VR技術の応用であるデジタルツインを取り入れ、開発を進めてきた。
サービスの特長
1:地域情報を反映した被害と避難行動の仮想再現
各地域の人口や、避難所、病院、学校等の防災関連施設情報等、各種地域情報を取り込みデジタルツインに反映。これにより、3Dマップ上に被害状況を可視化するだけでなく、町丁目単位での人・建物の被害件数や各避難所の避難者数など現場の状況を逐次レポート出力することができる。シミュレーションの前提条件や施設情報等の変更により様々な状況の比較検討が可能だ。
2:防災計画などの対応ルールと連動した訓練資料のAI自動生成
地域防災計画に代表される各自治体の災害時の対応ルールと、デジタルツイン上で再現した災害状況から、訓練目的に応じた防災訓練シナリオをAIで自動生成できるほか、シナリオと同期した内容での被害想定映像をユーザーが作成することができる。災害監視カメラやドローン・ヘリコプターによる情報収集をしなくても、自動生成の映像を代替として活用することで、実際の災害時に近い状況下での訓練を可能にする。従来の口頭やメモによる訓練者への状況付与に比べて臨場感が向上することで、より高い訓練効果が期待されるほか、準備作業の効率化も実現する。
3:全国対応
中山間地域や都市部等を問わず、全国対応が可能。
価格
自治体が保有する災害シミュレーションデータを活用する場合、
・初期費用:560万円~
・年間利用料:140万円(保守含む)
この他、要件や登録情報数に応じて地図データ・災害シミュレーション計算・オプションデータ登録費等が別途発生する。
今後の目標
本サービスは、現在対応する津波・河川氾濫・高潮以外に、地震・土砂・火災などへの災害種別の拡大や、自治体で整備の進むPLATEAUの3D都市モデルを活用したデジタルツイン構築にも順次対応し、さらに高度化を図るとしている。
TOPPANは、デジタルツインやVR映像をはじめとする様々な防災ソリューションを主に自治体向けに展開し、2025年度、関連受注を含め5億円の売り上げを目指すとしている。
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TOPPAN株式会社
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