鹿島建設、ハイパーデジタルツイン、羽田みらい開発、芝浦工業大学の4者は、羽田空港に隣接する大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」(HICity)において、デジタルツインをリアルタイムに活用し、道路を横断するロボットの自動制御の実証実験を行った。
その有効性が確認されたのは国内で初となる。
実証実験の背景
将来的に実現が想定されている「スマートシティ」。そこでは、減少していく労働人口に対処するため、複数台のロボットが警備・運搬・搬送等の業務に活用していることが求められる。しかし、各ロボットに搭載されたカメラやセンサーでは、離れた場所や死角から接近する車や人の動きを検知できないため、多数の車や人が移動し活動するエリアでロボットを稼働させるには車や人との衝突を高精度に回避することが課題となっていた。
この課題を解決するために4者は、2023年10月~2024年2月、国土交通省のスマートシティ実装化支援事業の取組みの中で、ロボットの道路横断時における自動制御の実証実験を行った。
道路横断におけるロボットの自動制御の概要と特長
今回の実証実験では、ハイパーデジタルツインの技術をもとにリアルタイムに構築されたデジタルツインから抽出される空間情報を鹿島のロボット統合管制システムに通知することで、道路を横断するロボットを自動制御した。
今回、有効性を実証した自動制御の主な特長は以下のとおり。
1:デジタルツインのリアルタイム活用
建物に設置した複数台のLiDARから取得したロボット周辺の車や人といった動体のデータをエッジコンピュータで解析し、デジタルツインを構築します。その後、デジタルツインから、ロボットの自動制御に必要な空間情報をリアルタイムに抽出する。
2:3Dマップの自動作成・更新
リアルタイムに抽出される空間情報をもとに、ロボットが初めて走行する場所の3Dマップの作成や、環境変更によるマップの更新を自動で行い、即時にロボットと連携する。
3:空間の状況をリアルタイムに把握したロボットの自動制御の実現
リアルタイムに抽出される空間情報やそれを基に作成・更新される3Dマップを活用することで、ロボットは自身に搭載されたカメラやセンサから得られる情報だけではなく、それらの検知範囲外の空間の状況をリアルタイムに把握した走行が可能となる。これにより、ロボットは離れた位置や死角から接近する車や人を認識することができ、衝突を未然に防止する安全かつスムーズなロボットの自動制御が可能だ。
今後の展開
鹿島建設、ハイパーデジタルツイン、羽田みらい開発、芝浦工業大学の4者は今後、道路横断におけるロボットの自動制御の社会実装に向け、HICityだけでなく他の大規模施設にも本技術を展開するとともに、機能の拡充とより安全なサービスの提供を図るとしている。
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