日本電気株式会社(NEC)は、国土交通省東京航空局から受注した「東京国際空港制限区域内車両制御用設備(Vehicle Management Equipment、VME)」の構築を完了し、東京国際空港(羽田空港)の制限区域内で運用を開始したことを、2025年12月15日(月)に公表。
現在、全日本空輸株式会社と日本航空株式会社はトーイングトラクターの自動運転レベル4※を実用化しており、NECはこの実現に貢献している。
※特定の条件下において運転操作をシステムにより自動化し、運転手の操作が不要な状態を指している。特定の条件は、走行可能なエリア、天候、速度などの要素に基づくものである。


背景: 空港業務の省力化ニーズと自動運転の潮流
インバウンド需要の増加を背景に、グランドハンドリングを含む空港業務の省力化・効率化が急務となっている。国土交通省、エアライン、空港会社は連携し、トーイングトラクターや乗客・乗員を輸送するバスなどの自動運転化に向けた実証を進めてきた。一方で空港の制限区域は一般道路と大きく異なる運用環境であり、滑走路・誘導路・駐機場に即した独自ルールの策定、航空機と車両が混在する状況への最適化、有人車両と自動運転車両が安全に意思疎通できる手段の構築が求められていた。
VMEの役割: 信号自動制御と死角補完で安全性を強化
NECが構築したVMEは、自動運転車両と連動する信号設備や、死角を補うカメラ設備で構成される。制限区域内の交差点で信号を自動制御し、有人車両と自動運転車両の交通を安全かつ円滑に整理する。
さらに見通し確保が難しい箇所に設置したカメラの映像を自動運転の管理者へ配信し、死角情報を補完することで高精度な安全管理を実現する。これにより、運用ルールの順守と現場状況の可視化を両立させ、レベル4の安定運用を支える基盤となっている。


