
GMOインターネットグループは、2025年3月6日、日本最大級のサイバーセキュリティカンファレンス「GMOサイバーセキュリティ大会議&表彰式2025」を開催した。
石破総理大臣や平サイバー安全保障担当大臣、陸上自衛隊の廣惠氏、東京大学の松尾教授、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センターからは古田所長、堀江貴文氏など、各界の著名人や業界の第一線で活躍する専門家が登壇し、サイバーセキュリティの最新動向や企業の対策について熱いメッセージを寄せ、議論を展開した。
この記事では、石破総理大臣、平サイバー安全保障担当大臣、GMOインターネットグループ グループ代表の熊谷正寿氏のメッセージを紹介しよう。
石破首相「全国的なサイバーセキュリティの啓発活動に注力」
石破首相は「GMOサイバーセキュリティ大会議表彰式2025」の冒頭でビデオメッセージを寄せ、サイバー空間の安全確保の重要性を強調した。デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、サイバー空間の活用が拡大する一方、世界的にサイバー攻撃が増加。日本でも航空会社、金融機関、通信事業者が標的となった事例が発生し、国家関与が疑われる攻撃も確認されたことを振り返った。
政府は国家安全保障戦略に基づき対策を強化。重要インフラを標的とする攻撃を防ぐため、能動的サイバー防御を可能とする法案を今国会に提出した。また、2月1日から3月18日を「サイバーセキュリティ月間」とし、普及啓発活動を展開している。
石破首相は「誰もがサイバー攻撃の標的になり得る」と警鐘を鳴らし、個々人の対策の重要性を訴えた。また、サイバーセキュリティの強化には産官学の連携が不可欠であり、人材育成が課題と指摘。大会議が最新技術の共有や人材育成の場となることに期待を寄せた。
本大会議では講演やパネルディスカッション、表彰式が行われ、全国的なサイバーセキュリティの啓発活動にも貢献するとして、首相は関係者への感謝の意を表した。
平田大臣「政府が一丸となってサイバーセキュリティ対策を強化」
平田正明サイバー安全保障担当大臣は、冒頭にビデオ動画で、更には会議終盤に会場に駆けつけ、メッセージを語り、サイバー攻撃の脅威が増す中、政府の対策強化を強調した。
日本では年末年始にかけてDDOS攻撃による被害が発生し、政府はリスク軽減策の注意喚起を次々に発出。昨年12月には、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃による「トレーダートレイター」による暗号資産摂取の手口に関する注意喚起を、さらに、北朝鮮による暗号資産の不正取得や、中国の関与が疑われる「ミラーフェイス」による情報窃取など、国家背景の攻撃グループによる活動が確認されていることにも触れた。
政府はこれらの脅威に対応するため、サイバー安全保障分野の能力向上を進め、欧米主要国と同等以上の対応力を目指す。特に「能動的サイバー防御」の導入に向けた法案を国会に提出。平田大臣は「早期成立に向け尽力する」と述べた。
また、AIや量子技術の進展による新たなリスクに対応するため、政府はサイバーセキュリティ戦略本部を設置。5月を目途に、官民連携の強化、中小企業の対策支援、人材育成、国際協力の推進などの施策を取りまとめる予定だ。
官民の情報共有を促進するため、新法案には政府のインシデント情報を分析・提供する仕組みを盛り込む方針。企業に対しては、速やかな報告と協力を求め、サイバー攻撃への対処能力向上を図る。
平田大臣は「政府一丸となってサイバーセキュリティ対策を強化し、国全体の安全確保に取り組む」と述べ、産官学の連携を呼びかけた。
熊谷代表「新サービス GMOセキュリティ24」の推進に意欲
GMOインターネットグループの熊谷正寿代表は、「GMOサイバーセキュリティ大会議&表彰式2025」において、サイバー攻撃の増加に対する深い懸念を示し、インターネットの安全確保が喫緊の課題であると訴えた。
熊谷代表は、同社が1995年の創業以来、インターネットの発展に貢献してきたことを振り返り、現在ではインフラ事業で1500万契約、ネット金融を含めると1800万契約に達していることを報告。その一方で、サイバー犯罪の増加に胸を痛めていると述べ、「インターネットは多くの人々の笑顔と感動につながるもの。しかし、一部の悪意ある者がその秩序を脅かしている」と現状を指摘した。
セキュリティの重要性が高まる中、GMOは22年前からSSLの販売を開始し、その後もなりすまし監視や削除支援、サイバー攻撃対策など、セキュリティ事業を拡大。現在、8000人の従業員のうち1100人がセキュリティ関連業務に従事し、国内最大級のセキュリティ事業者へと成長した。現在ではグループ合計で時価総額が1兆4155億円に達する。
このセキュリティ関連の取り組みの一環として、同社は「総合ネットセキュリティサービス GMOセキュリティ24」を発表。熊谷代表は、「リアル世界では泥棒のリスクを感じたら窓や扉を閉めることができるが、インターネットの世界ではどこに鍵をかければよいのか分からない」と述べ、このサービスが無料で24時間、ウェブサイトのリスクを診断できることを強調した。ユーザー自身で問題を改善する場合は無料で、専門家の支援が必要な場合にのみ有料となる仕組みだという。
また、産官学連携の重要性にも言及し、本大会議がサイバーセキュリティの進化を促す場となることへの期待を表明。「日本の未来を守るため、政界、学会、民間企業のリーダーたちが集い、最先端の知識と技術を共有することが必要不可欠だ」と語った。
熊谷代表は、「1000年先でも犯罪はなくならないかもしれない。しかし、私たちは困難な現実に立ち向かい、子供たちが安心して学び成長できる未来を築かなければならない」と強調。デジタル技術の恩恵をすべての人が享受できる社会の実現に向け、参加者に向けて熱い議論と連携を呼びかけた。
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