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GMO AI&ロボティクス商事は、ヒューマノイドや四足歩行ロボット、自動搬送ロボット等を、GMOインターネットグループの社員やパートナーが自由に触れあえる社内向けイベント「ロボ触ろうぜ!ヒューマノイド&犬型ロボを自由に遊び尽くそう!」を2025年1月12日に開催した。
身体能力に優れた注目のヒューマノイド「Unitree G1」も登場、軽快に歩き回って、圧倒的な存在感を醸し出していた。
ヒューマノイドは基本的な身体能力が優れ、転倒しない仕様になっている。更に、直感的に操作できるため、多くの参加者がヒューマノイドの操作は初体験だったが、すぐにほぼ思うように動かしていた。
四足歩行ロボット「Unitree Go2-W」は、大きな段差をモノともせず、豪快に駆け抜けていた。
社員がロボットと自由に触れあえる場に
今回のイベントは、GMOインターネットグループでロボットを取り扱うGMO AI&ロボティクス商事(略称GMO AIR)が主体的におこなったもの。研究開発向けに購入したヒューマノイドや犬型ロボ、社内で活用している警備ロボ・案内ロボ・自律運搬ロボなどの認知向上とともに、自由に最新ロボットを触れて体験できる目的で開催した。
5体のロボットが参加
参加したロボットは下記のとおり。
4足歩行ロボ:Go2-W(リモコン操作)Unitree社
警備ロボ:ugo Pro(リモコン操作、プログラム制御)ugo社
案内ロボ:GreetingBot Nova(音声コマンド、パネル操作)オリオンスターロボティクス社
運搬ロボ:カチャカプロ(リモコン操作、プログラム制御)Preferred Robotics社
操作体験できるヒューマノイドと犬型ロボは大人気
ヒューマノイド「Unitree G1」と犬型ロボ「Unitree Go2-W」は、購入して約1ヶ月の最新ロボット。ゲームコントーラのようなデバイスで直感的に操作できることもあって大人気だった。
「G1」と「Go2-W」については研究用に入手したもので、GMO AIRとして販売していく具体的な予定はまだない(他のロボットは社内で使用し、クライアントに導入提案が行える状況になっている)。
この犬型ロボットは2足で移動することもできる。このバランス感覚が実現したことで、行動可能な範囲が更に拡がった。
このバランス感覚を応用した、犬型ロボットながら、60cmの段差も上ることができる。
■動画
ヒューマノイドは押しても蹴っても転ばない?
ヒューマノイド「G1」の身体能力はとても高く、動画では押しても蹴っても転ばない様子が見られる。果たして本当に転ばないのか? やってもらった。
■動画
GMO AIRに聞く、ロボットの現状と可能性
今回のイベントと、気になるヒューマノイドについて、GMO AIRの業務展開などを聞いた。
編集部
ヒューマノイドと犬型ロボ以外のロボットは社内で活用しているとのことですが、それぞれどんな用途で活用していますか。
吉田氏
警備ロボの「ugo pro」は毎時40分になるともフロアを巡回しています。運搬ロボの「カチャカプロ」は来客対応のフロアで、お水を乗せて自律移動で運搬、会議室を回っています。案内ロボの「GreetingBot Nova」も当社のお客様受付フロアにいて、会話や案内をおこなっています。
ヒューマノイドと犬型ロボは、お客様やパートナーの方が来社した時に、いつでもお見せできるよう準備はできています。
編集部
ヒューマノイドと犬型ロボはUnitree社の最新ロボットですが、研究開発してみて感触はどうですか?
滝澤氏
開発の自由度が高く、エンジニアがカスタマイズしやすいように設計されていると感じました。ただ、ヒューマノイドと犬型ロボは優れた身体能力を持っていて、基本動作はできるものの、アプリケーションと連携したり、自分たちの思った通りの動作を開発するために、予め用意されている支援ツール環境は少なくて物足りないと思います。
いざ実用化となると、そのアイデア出しが難しいこと、アイデアを思いついても、基本的には自分たちの手で開発しなればならないことが多すぎて、まだ少し難易度が高いとも感じました。
編集部
犬型ロボは工場やプラントの巡回業務に活用され始めていますね
吉田氏
はい。犬型ロボは有害ガスが万が一発生した場合にも備えて、巡回コースを自律的に巡回して計器や空気を点検する業務を代替するのに有効だと考えています。
滝澤氏
ヒューマノイドは、そこまで実際のタスクに投入するには、更に技術が進歩するのを待たなければならない段階だと思います。ヒューマノイドが持ち運べる荷物の重さはまだ実用的なものではありませんし、精密な動きを実践しようと思うと、その二足でバランスを取っていることが足枷になってしまいます。下半身は車輪構造でずっしりと重たい方が安定感があって精密な作業をおこなうには向いています。
とはいえ、ヒューマノイドにはロマンがあり、いつかは実現する技術ですから、その時に備えてしっかり研究しておくべきだと考えています。
ちなみにイベントに参加した「G1」の手はゴム製のダミー。五指を動かすロボットハンドはまだ届いていない、ということだった。
なお、GMO AIRはロボット製品と自社グループの豊富なサービスとを組み合わせ、ロボットの価値を高めるソリューションとして販売展開していく考えだ。
吉田氏
GMOインターネットグループの強みは、通信、セキュリティ、決済など、多角的なサービスをワンストップで提供できることです。
例えば、GMOインターネットグループは「通信回線」に関連する分野では30年近くの実績があり、多くのサービスを展開しています。ロボットを導入する際には通信との連携が重要なので、パッケージ化された特定のソリューションをご提供するのではなく、商社としてお客様の課題に寄り添い、それぞれに最適なソリューションをグループの多様なサービスと組み合わせてご提供することで、価値を生み出していくものとなります。
他にも「決済」システムの提供も可能なので「カチャカがテーブルまでやって来て、オーダーを取り、配膳、決済までを担う」といったことも、弊社グループのサービスのみで完結させることができます。
また、先週GMOインターネットグループは「セキュリティ」に関する発表をおこないましたが、ロボットが普及する社会に向けて、ロボットを含めてネットワーク環境の脆弱性をなくす提案も併せておこなってきたいと考えています。
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神崎 洋治
神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。