
クラウドストリーミングとAIソリューションを手がける株式会社ユビタスは、「NVIDIA GTC Taiwan 2025」において、マッケイ記念病院とのコラボレーションとAI搭載マルチモーダル医療ロボットを発表した。
「AI-Enabled Healthcare: MacKayのケーススタディからヒントを得たマルチモーダルロボットコラボレーション」で、プレゼンテーションをおこない、「NVIDIA Blackwell GPU」「NVIDIA Omniverse」「NVIDIA Isaac GR00T」「NVIDIA ACE」「NVIDIA Jetson AGX Orin」など、NVIDIAの最新技を「医療の自動化」や「患者ケアの改善」「効率性の向上」に活用する意向を発表している。
3種類のAI搭載ロボットを医療に活用
ユビタスとマッケイ記念病院は、NVIDIAの最先端技術と独自のAIモデルを組み合わせ、医療用途向けに設計された3台のインテリジェントロボットを共同開発した。
四脚ロボット
「NVIDIA Jetson AGX Orin」上に構築され、「NVIDIA Isaac GR00T ReMemBr」および「NVIDIA Isaac GR00T X-モビリティ・テクノロジー」を統合したロボット。危険な場所での運用を目的に、ガス検知、熱検知、水漏れ検知などの環境モニタリングを実行し、ヘルスケアリスクを低減するためにリアルタイムデータを送信する。
ヒューマノイドロボット
「NVIDIA Isaac GR00T N1」をベースに開発されたヒューマノイドロボット。高度なデュアルアーム操作が可能。無人環境での自律的な検体搬送や医療物資の取り扱いを可能にし、物流効率を高める。
AMRロボット(自動搬送ロボット)
バーチャル・アシスタントを搭載した自動搬送ロボット。患者のナビゲーション、インタラクティブのコミュニケーション、登録サポートを行い、よりシームレスでパーソナライズされた患者の体験を提供する。
会話機能とデジタルヒューマン
各ロボットは大規模言語モデル「Llama 4」と「NVIDIA Riva」を搭載した「NVIDIA Blackwell GPU」を活用。多言語での自然言語会話を実現している。
バーチャルアシスタントは「NVIDIA ACE」デジタルヒューマン・テクノロジーを使用し、カスタマイズ可能なアバターで患者とのつながりを強化。感情面でのサポート、健康指導、より共感的な医療体験を提供する。
仮想と物理の統合が展開を加速
このプロジェクトでは、「NVIDIA Omniverse」(デジタルツイン)と「NVIDIA Isaac Sim」(シミュレータ)を利用して病院環境のデジタルツインを構築。配備前の仮想テスト、コラボレーション、タスクトレーニングを可能にしているという。現実環境に配備する前に、仮想環境でトレーニングしてリスクとコストを最小化する。また、配備スケジュールを大幅に短縮し、運用のワークフローも最適化している。
ユビタスCEOのコメント
ユビタスCEOのウェズリー・クオ氏は次のようにコメントしている。
ユビタスCEO
マッケイ記念病院と提携し、エヌビディアの包括的なヘルスケアAI技術を活用したマルチモーダル医療ロボット連携のパイオニアとなることで、マッケイ記念病院が台湾で初めてNVIDIA B200を採用したスマート病院となることを支援できることを光栄に思います。このコラボレーションは、ヘルスケアにおけるAIの現実世界への影響を実証し、スマートヘルスケアソリューションのイノベーションを推進するという当社のコミットメントを強化するものです。
多様な医療現場におけるAIの発展
ユビタスは、マッケイ記念病院およびエヌビディア社との協力関係を深め、救急、入院、リハビリテーション、長期療養の各環境においてAIおよびマルチモーダルロボティクスを拡大していく予定。その目標は、臨床ワークフローにAIをシームレスに統合し、ケアの質と効率を高める、柔軟でスケーラブルなスマート・ヘルスケア・ソリューションを提供すること。
クオ氏は「当院にAIとロボティクスを導入するにあたりユビタス社と協力できることを誇りに思います。このパートナーシップは患者サービスの質を高めるだけでなく、内部のワークフローと安全管理を最適化します」と続けている。
病院スタッフは、AI搭載ロボットが患者ナビゲーション、医療ロジスティクス、安全検査に実用的な影響を与え、作業負荷の軽減と臨床効率の向上を感じているという。
アクセンチュアとシェフラーが、NVIDIAとMicrosoftの技術でフィジカルAIと産業用ヒューマノイドの開発推進 Agility「Digit」などロボットを活用
【フィジカルAI最前線】NVIDIA「GTC 2025」で発表されたヒューマノイドロボット開発とデジタルツインの未来、開発基盤を総まとめ
NVIDIA、米国内で完結するAI半導体サプライチェーン構築へ 米国で国産AIスーパーコンピュータを製造、Blackwellチップ生産はアリゾナ
この記事を読んだ人におすすめ
-
NVIDIAとディズニー、Google Deepmindが連携 世界初のヒューマノイド開発基盤「Isaac GR00T N1」の概要と物理エンジン「Newton」を発表
-
【フィジカルAI最前線】NVIDIA「GTC 2025」で発表されたヒューマノイドロボット開発とデジタルツインの未来、開発基盤を総まとめ
-
アクセンチュアとシェフラーが、NVIDIAとMicrosoftの技術でフィジカルAIと産業用ヒューマノイドの開発推進 Agility「Digit」などロボットを活用
-
NVIDIA ヒューマノイド開発支援の最新情報 「Boston DynamicsやFigureなどの大手ロボット企業が導入」
-
NVIDIAがデジタルツイン基盤「Omniverse」をロボティクス、自律走行車、ビジョンAIなどに拡張する生成AIモデルと「ブループリント」を発表
-
NVIDIA ヒューマノイドや自動運転などフィジカルAI開発を支援する世界基盤モデル「Cosmos」をCESで発表
-
NVIDIAとトヨタが自動運転AI開発で連携 自動運転トラックでAurora、Continentalも連携追加 NVIDIAと連携する理由
-
菱洋エレクトロ「NVIDIA Jetson Orin Nano Super 開発者キット」の取扱を開始 超小型AIコンピュータの新型Jetson
-
NVIDIA、Alphabet、Googleが協業 生成AIエージェントとロボットAI、創薬、エネルギー等の分野で連携
-
NVIDIAがロボットや自動運転などフィジカルAI向け世界基盤モデル (WFM)「Cosoms」をリリース 先行採用企業も公表