GMO熊谷氏「ヒューマノイドは自動車産業を超える」家庭にも普及する? 熊谷氏がCEOのAIヒューマノイドと共同記者会見

GMOインターネットグループは2025年9月25日(木)に「GMO AI・ロボティクス大会議&表彰式2025」を開催した。イベント終了後には、同グループ代表の熊谷正寿氏によるプレスカンファレンス(記者会見)が行われ、ヒューマノイドに対する思いや、今後ヒューマノイドが社会にどのように浸透していくかについて語られた。





AI・CEO「ヒューマノイド 熊谷正寿」が同席

プレスカンファレンスには、AI・CEO「ヒューマノイド 熊谷正寿」も同席した。
AI・CEO「ヒューマノイド 熊谷正寿」は、日本で初めてAI・CEOをヒューマノイドロボットとして具現化したもの。ボディは「Unitree G1」で、顔にはディスプレイを搭載、熊谷正寿CEOの顔や表情を写している。


チャットボットを通じて対話を行うことで、事業における意思決定のさらなる高速化が可能とされる。これまでに3,500セッション以上、6,800回を超える対話を実施してきたという。


GMOインターネットグループは、意思決定のさらなる高速化が必要だと考え、2024年7月から「GMO Brain AIプロジェクト」を推進。その第1弾として、同年12月に社内向け独自AIツール「AI 熊谷正寿」をパートナー(従業員)向けに提供開始した。「AI 熊谷正寿」は、熊谷氏の思考やフィロソフィー、そしてGMOインターネットグループのカルチャーを集約・言語化した「GMOイズム」を学習した“バーチャル知的ナビゲーター”として位置付けられている。
今回のヒューマノイドは、そのプロジェクトをさらに一歩進めた形となる。


「ヒューマノイドCEO」の存在意義

「GMO Brain AIプロジェクト」での「ヒューマノイド 熊谷正寿」の意義について問われた熊谷氏は、次のように語った。

熊谷氏

定性的ですが、回答精度という点では、彼(ロボット)は今はまだ80%くらいです。しかし、私のことを毎日学習しています。人は1日8時間労働ですが、ロボットは24時間365日働くことができます。私は1つの会議にしか出席できませんが、彼は10台のコピーを作れば10の会議に同時に出席できます。私が100の精度で答えられても、彼が80の精度でも10の会議に出席できるなら、会社全体で見れば彼の方が生産性は高いとも言えます。
これが、私の考え方を移植したAIを物理的に搭載したAIヒューマノイドの可能性であり、社会的に意義のあることだと感じています。


今はまだ実験段階ですが、多くのアンケートやデータを取得し、定量的・定性的に彼の存在意義をレポート化して発信していきたい。AIロボティクスの社会実装に役立てたいという思いで、このプロジェクトをスタートしました。」


「ヒューマノイドは自動車を超える産業になる」

ヒューマノイド事業のポテンシャルについて問われた熊谷氏は、次のように語った。

熊谷氏

ヒューマノイド市場は、自動車産業を超える規模に近々成長する可能性が十分にあると考えています。テスラのイーロン・マスク氏は、2025年に自社工場でオプティマスを数千台導入し、その後本格的な大量生産と外販を開始し、2027年までに年間50万台の生産を目指しているという報道もあります。中国政府もヒューマノイド開発支援に全力で取り組んでいます。
私自身も、ヒューマノイドが今後の産業革命の中心になると考えています。日本におけるヒューマノイド事業では、GMO AIR(GMO AI&ロボティクス商事)を中心的な企業に育てたい。現在はまだ啓蒙活動の段階と捉えていますが、成長するヒューマノイド産業のトップランナーにしたいと思っています。


産業利用と家庭利用、どちらが先に普及するか?

ヒューマノイドは産業利用と家庭利用のどちらが先に普及するかという問いに対し、熊谷氏は次のように述べた。

熊谷氏

産業利用は作業がパターン化されているため、家庭利用に比べると簡単です。すでに工場で産業用ロボットが普及しているのは、作業がパターン化されているからです。
一方、家庭利用では代わりにやってほしい作業が家庭ごとに異なり、バラエティに富んでいてパターン化が難しい。例えば洗濯を例にとると、洗濯機の役割はシンプルですが、洗濯物を畳む方法やアイロンのかけ方は人によって好みが違います。家庭用ロボットに求められるスキルの実現は難しいですが、実現は時間の問題です。人が思っているより早く、数年でできるようになるでしょう。
そう考えると、産業用やビジネス用途ではすぐにできることが増え、急速に普及していくと思います。


ただし、普及には価格も重要です。家庭に普及するためには、軽自動車程度の価格帯になる必要がありますが、それも2〜3年先には実現するのではないでしょうか。
今はまだ想像できないかもしれませんが、2〜3年後には家庭にヒューマノイドがいる、そんな時代が来る可能性があると考えています。






■ GMOインターネットグループの熊谷CEOが、AIヒューマノイドと共同記者会見

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神崎 洋治
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神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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