ソフトバンク×理研 量子コンピュータとAI計算基盤の相互接続を10月より開始

ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)と国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)は、学術情報ネットワーク「SINET(サイネット)」への接続サービスを活用して、ソフトバンクのAI計算基盤と理研が運用する量子コンピュータの相互接続を、2025年10月に開始すると発表した。

※SINET(Science Information NETwork)とは、日本国内の大学や研究機関などの学術情報基盤として、国立情報学研究所が運用する情報通信ネットワークのことを指す。

 

量子・スパコン連携プラットフォーム構築へ

この取り組みは、経済産業省の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」として、NEDOが公募した「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発」に、ソフトバンクと理研が提案して採択された「JHPC-quantum」プロジェクトの一環として推進される。

本プロジェクトでは、これまで理研の量子コンピュータと、東京大学および大阪大学が運用するスーパーコンピュータとの接続・連携を進めてきた。今回新たにソフトバンクのAIデータセンター内に構築したAI計算基盤との接続を、学術情報ネットワーク「SINET」への接続サービスを活用して開始する。

これにより、量子コンピュータとスーパーコンピュータとの連携環境がさらに拡大し、事業化を見据えた研究開発を加速するとともに、産学連携によるハイブリッド計算環境を活用した新たな研究や応用検証が本格的に始動する。

 

次への展開

理研においては、2025年2月にイオントラップ型「黎明/REIMEI」と、6月には超伝導型「ibm_kobe」という異なる方式の商用量子コンピュータの導入が完了し、量子コンピュータとスーパーコンピュータの連携を実現するソフトウエア環境の整備を進めている。

量子コンピュータとスーパーコンピュータを低遅延の高速ネットワークで密に結合し、連携利用を可能にするプラットフォームを構築するとともに、量子・HPC連携アプリケーションを開発し、その有効性について検証する。

今後ソフトバンクでは、本プロジェクトで採択するテストユーザーの活用ニーズに対応するため、SLA(品質保証制度)やセキュリティ、運用標準などの整備を進め、事業化を見据えた検証を行っていくとしている。

 

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杉田 大樹

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