【徹底調査】国内販売間近? Amazon、謎の会社を通じて「Echo」の技適を取得済み!?

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今回はAmazon Echoの技適の状況についてロボスタ独自の調査結果をレポートする。

技適マークの話

まず本題に入る前に「技適」について簡単に解説しておく。海外のロボットやスマートスピーカーを使う時に注意が必要なポイントのひとつが「技適」だ。技適マークがついていない=技術適合していないデバイスを国内で使うと電波法違反になる恐れがあるからだ。ロボスタ編集部では技適マークのないデバイスは電源を入れないようにしているため、この技適マークの確認は非常に重要だ。


技適マークは「電波法令で定めている技術基準に適合している無線機であることを証明するマーク」で通常国内のロボット、スマートフォン、通信機器などにはこのマークがどこかに表示されているはずだ。

総務省もこんなポスターを作るほど技適マークの確認を訴えている。


技適の確認の方法

実際に入手しているロボットやスマートスピーカーであれば、実機のどこかを見渡しながら、技適マークを探すだけなので話は簡単だ。しかし入手していないハードウェアの技適についてはどうだろうか? そんな時でも実は調べる方法があるのだ。総務省の電波利用ホームページにある「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」サービスを使うやり方だ。

技術基準適合証明等を受けた機器の検索



Photo: 総務省 – 電波利用ホームページ

「氏名又は名称」、「技適番号」、「形式又は名称」などの検索項目で技適が取得できてるかどうかが検索ができるサービスだ。


例えば名称の部分に「Google」と入れて検索すると上記のようにグーグル・グラスや、クロームキャストなどの技適取得が行われていることがわかる。と同時にGoogleはGoogle Homeの技適取得が行われていないこともわかる。
ロボスタ編集部ではこのサービス使って定期的に技適取得状況をチェックしている。例えば、ある企業がどんなデバイスの技適を取得したかを見ておけば、製品発売前にその動向が掴めるからだ。


FCCマーク、CEマークの話

本題に入る前に、技適マークに続いて、説明する必要があるマークがある。それがFCCとCEのマークだ。


FCCはアメリカの連邦通信委員会(FCC)のルール、認証をクリアーしたものにつけられるマークだ。
CEは、欧州(EU)で販売する商品に義務付けられるマークだ。このマークがあれば、欧州規則・指令(法律)が要求することを満たしたものとわかるようになっている。
お手元のiPhoneやAndroidなどのスマートフォンには、技適マークとともにFCC、CEのマークも表示されているはずだ。


Amazon Echoの技適は?

ここからやっと本題に入りたい。Amazon Echoの技適の状況はどうなっているのか。

なぜかアマゾン名義の技適が存在しない

前述の技術基準適合証明等を受けた機器の検索を使って、「Amazon」や「アマゾン」と名前を検索しても何も出てこない。これは不思議な事ではないだろうか。というのも国内販売されている「Amazon Fire TV Stick」などは技適が必要なデバイスだが、アマゾンが技適を通さずに販売するとは考えられない。仮にEchoがなくても、Fire TVの技適は通しているはずなのだ。

Fire TVの技適を申請したのは誰か?

検索で出てこないのであれば、実機に書かれた技適マーク確認すればよいという話になる。


そこで国内向けAmazon Fire TV Stickを確認すると、技適マークはきちんと書かれていた。そしてその横に技適証明番号も表示されている。「201-150114」がその番号だった。
再び総務省の技適検索サービスで、今度は「番号」で検索してみた。すると検索結果が表示された。


氏名は「Enda Gormley Sile LLC」で申請されている。アマゾン名義ではなかったから検索でヒットしなかったというわけだ。さらに、この名義ではこのFire TVのみの申請で、他のデバイスを申請していない。かつこの会社のWEBサイトも存在しないようだった。これは何を意味しているのだろうか。

謎の会社が申請している・・・?


Photo: robot start inc.

ここで仮説として、Amazonはデバイスごとに違う会社の名義で申請をしているのではないかと考えてみた。しかし謎の会社の名前を闇雲に検索することはできない。
ここで思いついたのは、Amazon Echoの「FCC ID」の調査だった。

実機でFCC IDを確認できる


Photo: robot start inc.

ロボスタ編集部にはAmazon Echo、Amazon Echo Dot、Amazon Tapなど販売中の米国向けデバイスはすべて実機を所有している。つまり、FCC IDは実機で確認できるのだ。

■Amazon Echo
 FCC ID ZWJ-0823

■Amazon Echo Dot
 FCC ID 2AHSE-2045

■Amazon Tap
 FCC ID 2AET6-0610

それぞれのFCC IDは上記の通りだった。

FCC IDで申請している会社がわかるかも?

FCC IDを入力すると詳細がわかるFCC IDの検索サービスがある。いろいろなサービスがあるのだがここでは以下「Searchable FCC ID Database」を使って話をすすめたい。


Searchable FCC ID Database

ここにAmazon Echo、Amazon Echo Dot、Amazon TapのFCC IDを登録すれば少なくとも申請者の情報はわかるはずだ。

■Amazon Echo
 https://fccid.io/ZWJ-0823
 登録者:Igluu LLC
 年月日:2014/11/6~2016/5/23

■Amazon Echo Dot
 https://fccid.io/2AHSE-2045
 登録者:Altocumulous LLC
 年月日:2016/9/14~2016/12/5

■Amazon Tap
 https://fccid.io/2AET6-0610
 登録者:Moon Winker L.L.C.
 年月日:2016/3/4

結果、狙い通りFCC IDから申請した会社がわかった。しかも3つのデバイスで登録者が違っていた。また、その各社はそれぞれのデバイス以外の申請はしていない状況だった。Fire TVと同じパターンだ。


Photo: Searchable FCC ID Databaseによる認証試験の様子



会社名がわかれば総務省で確認できるはず!

再び総務省の技適検索サービスを使って、FCC ID検索で取得できた会社名「Igluu LLC」、「Altocumulous LLC」、「Moon Winker L.L.C.」で検索してみたところ、仮説通りにヒットした。

■Amazon Echo
 氏名又は名称:Igluu LLC
 技術適合番号:201-163266
 型式又は名称:SK705DI
 年月日:平成28年11月18日


■Amazon Echo Dot
 氏名又は名称:Altocumulous LLC
 技術適合番号:201-163521
 型式又は名称:RS03QR
 年月日:平成28年11月21日


■Amazon Tap
 氏名又は名称:Moon Winker L.L.C.
 技術適合:なし


結論、Amazon Echoの技術基準適合証明済み

長々と書いてきたが、結論は以下の通りだ。

・Amazon EchoおよびAmazon Echo Dotについては、総務省の技適ページでは適合が確認できる。つまり技適面では、日本語版のEchoの裏にこの技適マークと番号を表示すればいいだけという状態にある。
・Amazon Tapは現時点では総務省の技適ページでは確認できない。
・Amazon Echo Look、Amazon Echo Showについては現時点ではFCC IDも確認できないため不明。FCC IDがわかれば、日本での技適審査状況はわかるはず。
・ただし、技術基準適合証明済みであることと、日本で海外の製品を使っていいことはイコールではない。きちんと日本向けに技適マークが入ったAmazon Echo、Amazon Echo Dotを入手して初めて国内で合法的に使えるようになる。この点、誤解のないようお願いしたい。

僕はこう思った:

ロボスタが「Amazon Echo日本語版」がもうすぐ登場すると予想する5つの理由に追加して、いつ出てもおかしくない理由がまた一つ増えたなと思います。
なお蛇足ながらGoogle HomeのFCC IDはA4RH0MEで、Google Incが申請しています。総務省においてもGoogle名義で出すと思うので、承認されればわかると予想します。
念のため、ロボットスタートでは、技適をクリアした自作のAlexaデバイスでスキルの開発や調査を行っています。

《中橋 義博》

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中橋 義博

中橋 義博

1970年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。大学時代、月刊ASCII編集部でテクニカルライターとして働く。大学卒業後、国内生命保険会社本社において約6年間、保険支払業務システムの企画を担当。その後、ヤフー株式会社で約3年間、PCの検索サービス、モバイルディレクトリ検索サービスの立ち上げに携わる。同社退社後、オーバーチュア株式会社にてサービス立ち上げ前から1年半、サーチリスティングのエディトリアル、コンテントマッチ業務を担当する。2004年に世界初のモバイルリスティングを開始したサーチテリア株式会社を創業、同社代表取締役社長に就任。2011年にサーチテリア株式会社をGMOアドパートナーズ株式会社へ売却。GMOサーチテリア株式会社代表取締役社長、GMOモバイル株式会社取締役を歴任。2014年ロボットスタート株式会社を設立し、現在同社代表取締役社長。著書にダイヤモンド社「モバイルSEM―ケータイ・ビジネスの最先端マーケティング手法」がある。

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