12月3日、OPOS技術協議会主催の「サービスロボットと最新OPOS仕様セミナー」が日本マイクロソフトで開催されました。Pepper、ロボピン、ロボホン、Xperia Hello!など、各ロボットメーカーによるプレゼンテーションや事例紹介も行われ、POSシステムとロボットの連携について勉強する良い機会になりました。
OPOS技術協議会とは、スーパー等のレジで使われている「POSシステム」のオープン化の推進と、POSアプリケーション開発の生産性向上を目指した技術協議会です。日本市場で独特のPOS周辺装置の仕様を国際統一仕様へ反映し、策定仕様の普及などを行い、国際統一仕様を検討した結果として、日本版仕様書に反映して発行まで行なっています。
今回のセミナーは「小売業分野でサービスロボット活用」がテーマ。小売業分野へのロボットの導入に関心のある人向けに、OPOSの最新仕様の解説が行われ、更にロボットメーカー各社によるロボットの紹介が行われました。
オープニング/日本マイクロソフト株式会社
まずはOPOS技術協議会事務局の日本マイクロソフト株式会社の藤井創一氏からオープニングの挨拶が行われました。
OPOS技術協議会には2018年12月時点で235社が参加し、国際標準仕様の策定を行っています。現在、日本国内でのパソコンを使ったPOSでは「WindowsOSが90%以上を占めている」とのこと。
現在小売業分野では「お客様にいかに喜んでいただくか」、そして「いかに効率的に業務を行えるか」が国際的なトレンドとなっており、そこで「ロボット活用のヒントをみなさまに得て頂ければ」と今回のセミナーを開催した目的を語りました。
OPOS最新仕様解説 リテールコミュニケーションサービスデバイスとは
OPOS技術協議会リテールコミュニケーション分科会の会長でもある、株式会社ヴィンクスの安元豊博氏からは、「OPOS最新仕様解説 リテールコミュニケーションサービスデバイス」というテーマで、最新のOPOSに関する解説が行なわれました。
OPOSデバイスとは
OPOSとはOpenPOSの略で、POS用の周辺機器をWindowsOSに基づくPOSシステムに容易に統合できるオープンデバイスアーキテクチャを提供するものです。
現在、以下の対応デバイスが存在します。世界共通仕様なので、日本人にとっては馴染みのないデバイスもあります。
OPOS協議会はPOSアプリケーションと周辺端末インターフェイスの標準仕様策定と普及を行う団体。2018年11月現在、70社267製品が準拠製品として登録されています。
OPOS技術協議会内の分科会である「リテールコミュニケーションデバイス(RCSD)分科会」は、2017年6月に発足。OPOSでサービスロボットやIoTデバイスと連動できる仕様を策定する分科会です。
RCSDはユーザーとのコミュニケーションを行うデバイスであり、いわゆるヒューマノイド型のサービスロボットやコミュニケーションロボットを指します。
「OPOS1.16」での追加仕様は、新規仕様として以下の9デバイス、既存仕様への追加は以下の2デバイスです。
・ビデオキャプチャー
・個体認識
・サウンドレコーダ
・音声認識
・サウンドプレーヤー
・音声合成
・ジェスチャーコントロール
・デバイスモニタ
・グラフィックディスプレイ
【既存仕様への追加】
・パワーマネジメント
・ライト
個々のロボット毎に、この仕様の中でのある無しもありますが、最大公約数として仕様が策定されました。この仕様はそれぞれのロボット固有の機能を制限するものではありません。
小売業店舗における課題
現在、小売業の店舗における課題はいくつも存在しています。
・インバウンド対策
・消費税増税対策
・キャッシュレス対応
・ECとの融合、進化

課題に対するソリューション
これら課題に対し、様々な店舗ソリューションが登場しつつあります。例えば、人手不足対策に対しては、RFID・キャッシュレス決済や、レジ袋自由化などのセルフレジが登場してきています。
サービスロボットを巡る各プレーヤーの観点を見てみましょう。それぞれに以下の要望と課題が存在します。
<システムインテグレーター>
ノウハウがなく、開発要員の育成・確保が難しい。ロボットメーカーとの接点がない
<小売・店舗>
店舗課題にロボットを活用できないかと考えており、小さなところから課題解決をしていきたい。導入コストは低く抑えつつ、より良いロボットが出たら使ってみたい。
<ロボットメーカー>
様々な業種・業態に販路を広げたい。業務知識に乏しい。
小売や店舗の視点からサービスロボットの活用を考えてみると「汎用性がない」という課題が見えてきます。
各ロボットは独自仕様で独自環境のため、汎用性がありません。そのため、サービスロボットの開発要員の確保や教育が必要となり、結果として開発コスト・維持コストが高くなります。
今回のOPOS最新仕様によるサービスロボットの仕様策定により、人材豊富な店舗系システム開発要員がサービスロボットの開発も可能になり、開発コスト・維持コストのハードルを下げることが可能となります。
複数メーカーのロボットを活用する際も、OPOS最新仕様に準拠した開発を行うことで、ロボットメーカーごとの開発をする必要がなくなります。具体的には同じPOSアプリからAPIを叩くことで、パルロを使うのかPepperを使うのかを選ぶだけでできるようになるのです。




OPOSからサービスロボットを動かすデモ
アプリケーションからOPOSでロボットを動作をさせることができます。
会場ではVisual Studioからパルロにhello worldを喋らせるというデモを安元氏が行いました。

また、動画で1つのPOSシステムから複数のロボットを動かす動画の披露も行われました。

毎年1月にアメリカで開催されるリテールテックに関するイベントで、OPOS技術協議会のメンバーがPepperを使ったロボットの展示を海外に向けて行いました。
海外にもロボットをつかったリテールテックに興味を持つ人が多く、OPOSが使いやすく、既存システムにもつなぎやすいことに対しても注目が集まりました。また、国際仕様なので海外でも活用しやすいという特長もあります。
安元氏からの発表は以上です。
コミュニケーションロボットの概要/ロボットスタート株式会社 北構武憲
ロボットスタートの北構からは、コミュニケーションロボットに関する概要、活用事例の紹介、現在のコミュニケーションが得意なことと出来ないことなどについてお伝えしました。

ロボティクスソリューションのご紹介 流通分野での活用/富士通株式会社 佐藤裕之氏
富士通の佐藤氏からは流通分野で活用されているロボティクスソリューションのご紹介をお話いただきました。

富士通研究所では、1980年代からロボット開発に取り組んでいます。現在でも、サービスロボット「enon」が西村京太郎記念館で活用されています。
セミナーでは、コミュニケーションロボット「ロボピン」についてお話いただきました。ロボピンは現在、台湾のファミリーマートでの活用や東京都庁での実証実験で利用されています。
台湾のファミリーマートでは、ロボピン導入前に動画を作ってSNS上で事前に盛り上げを行い、結果的に集客も売上も好調な数字になったとのこと。
また、富士通ではVRデバイスを装着した人間が動くことで、その動きをロボピンでそのまま振り付け出来るシステムも開発しています。
富士通ではこれらの取り組みを通じて、「ロボットサイネージ」という概念を提案しています。
その上で、ソリューションビジネスとしてのロボティクスの活用を提案しています。
ロボピンを活用したビジネスを提案した結果、制約が決まった案件は意思決定者が女性が多いということでした。そこから「ロボットを活用したビジネスの対象は女性や子供ではないだろうか」という仮説を佐藤氏は立てているそうです。このお話しはとても興味深く感じました。
佐藤氏からのお話は以上です。
ロボット活用企業への道~ロボットユースケースデザイン~/ソフトバンクロボティクス株式会社 内田伸穂氏
ソフトバンクロボティクスの内田氏からは、ロボットユースケースデザインについてお話をいただきました。
お客様はロボットを導入することが目的ではなく、「統合的にEC化の取り組みを行いたい」という内容が多いため、ユーザー企業の目線で捉えることが重要となります。
内田氏は、Pepperを活用した実証実験を多数行ってきたものの、実証実験から先に進めないことも多くあることをあげました。そうならないために、以下の5つのカテゴリについて現実解を見つけるという活動を行っているそうです。
内田氏が執筆(共著)した「Pepper最新事例に学ぶロボアプリ開発 ~豊かなUser Experienceを生むロボットユースケースデザインとフィールドテストによる現場改革編~」は、Pepperユーザに限らず、あらゆるコミュニケーションロボットをビジネスで活用したい方にとってオススメの一冊です。
Pepper最新事例に学ぶロボアプリ開発
内田氏からのお話は以上です。
Xperia Hello!のご紹介/ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 冨永悠氏
ソニーモバイルコミュニケーションズの冨永氏からは、Xperia Hello!のご紹介をいただきました。

Xperia Hello!のハードウェアについての解説では、稼働部位が少ないため故障が少ないこと、3自由度なのにモーションで多くの表現が可能という特長が紹介されました。
Xperia Hello!が提供できる体験としては、コミュニケーション、インフォテイメント、見守りなどがあります。
Xperia Hello!が目指すビジネス領域については、2018年8月からSDKの提供を開始し、B2Bビジネスへの展開も開始していることの説明がありました。
Xperia Hello! for Bussinessの大きな特長として、Google認証済みのデバイスであり、Android環境で開発が可能な点、Googleストアが利用可能な点、などがあります。
現在、以下のような活用事例が存在します。
冨永氏からのお話は以上です。
ロボホンのビジネス活用事例/シャープ株式会社 木戸貴之氏
シャープの木戸氏からは、ロボホンの活用事例についてお話いただきました。

2016年5月の発売当初は2C向けの展開でしたが、2017年10月からB2B向け中心のWi-fiモデルも販売、2018年3月にはオリジナルモーションも作成できる開発専用モデルも追加されています。
ロボホンのハードウェアにはスマートフォンで培った技術が凝縮されています。
デビュー時はロボット型携帯電話であることに注目されていましたが、人と寄り添うコミュニケーションが可能であることにも徐々に注目が集まってきました。

ロボホンの法人利用におけるメリットの一覧です。ロボット自体の優位点と、ロボホン固有の優位点があります。
最後に事例を紹介していただきました。この記事では3つの紹介ですが、会場では非常に多くの事例が披露されました。


現在ロボホンは話しかけやすい姿と音声対話UIで、サービスを引き込むプラットフォームにおける、「人に一番近いパートナー」として進化しています。
木戸氏からのお話は以上です。
今回の「サービスロボットと最新OPOS仕様セミナー」のレポート、いかがでしたか?
約50名の参加者、みなさんが真剣に聞き入る風景が印象に残りました。







