AIデータ株式会社とリーガルテック株式会社は、ロボットの制御データや開発ノウハウといった知的財産を可視化・管理し、流通させるためのロボット知財プラットフォーム「AI Robotics on IDX × Tokkyo.Ai」の提供を開始した。
本プラットフォームは、日本のロボット産業が抱える技術の属人化という課題を解決し、優れた技術を収益に繋げる「IP経済圏」の構築を目指すものである。
日本のロボット産業が抱える課題
日本のロボット産業は世界トップクラスの技術力を有する一方で、多くの課題を抱えている。特に、ロボットの制御ロジックや開発ナレッジが特定の技術者に依存する「属人化」が深刻な問題となっている。これにより、優れた技術やノウハウが組織内で体系化されず、再利用が困難になる「ブラックボックス化」が進行している。
その結果、技術が特許として保護されたり、ライセンスとして収益化されたりする機会が失われ、事業収益や国際競争力に結びつきにくい状況が続いていた。また、技術の価値が投資家や提携先に正しく伝わらず、事業化が遅延するケースも少なくない。これらの課題を克服し、産業が次の成長段階へ進むためには、技術を流通可能な資産へと転換する仕組みが求められていた。
AIで発明を可視化し、IP資産として管理・流通
「AI Robotics on IDX × Tokkyo.Ai」は、この課題を解決するため、「Tokkyo.Ai」「リーガルテックVDR」「IDXロボティクス基盤」の3つのシステムを統合したプラットフォームである。
まず、AIがロボットの制御データや動作ノウハウから発明の種を抽出し、特許化に必要な構造化データとテンプレートを自動生成する。これにより、発明の可視化と特許化までのプロセスが大幅に効率化される。
次に、生成された知的財産(ロボットIP)は、高度なセキュリティを誇る「リーガルテックVDR」によって安全に管理される。高精度のアクセス制御や監査ログ機能に加え、AIチャットが技術資料の要約や比較分析を支援し、厳密なIP管理を実現する。
さらに、製造、物流、医療、農業といった業界ごとに特化した製造管理テンプレートを提供。制御アルゴリズムやノウハウをナレッジとしてAIに活用させることで、技術の標準化と再利用性を高める。また、導入効果(ROI)を算出し、投資家向けの資料を自動生成する機能も備える。
3年でARR20億円を目指し、グローバル展開を促進
本プラットフォームの導入により、属人的な技術の標準化、発明創出から特許化までのリードタイム短縮、そして技術ライセンスやSaaSモデルによる収益化が期待される。
両社は今後3年間で、ロボット知財テンプレートを100件以上開発し、国内外の50社以上との連携を目指すとしている。これにより、年間ARR(年間経常収益)20億円規模の事業成長を目標に掲げる。
将来的には、日本で生まれたロボットIPをASEANや欧米市場へ展開することも視野に入れており、日本のロボット産業が「技術が正当に評価され、流通するIP経済圏」へと進化することを目指し、事業を推進していく方針だ。