日本電気株式会社(以下、NEC)は、Agentic AIを活用して営業DXを強力に推進する新たな営業支援ソリューション「NEC Document Automation - for Proposals」を開発したと発表。2026年3月下旬からの提供開始を予定している。
本ソリューションは、営業担当者の議事録などの活動記録から、顧客ニーズに合致した提案書とディスカッションシートを一度に自動生成することで、営業活動の質とスピードを大幅に向上させることを目指すものである。
多様化する顧客ニーズに対応、質の高い提案を自動生成
近年、生成AIやクラウド技術の進化を背景に、製造業や金融業界をはじめとする多くの企業でDXが加速している。営業支援システムの導入も進む一方、顧客ニーズと提供サービスが共に多様化・複雑化しており、営業活動のさらなる効率化と質の向上が喫緊の課題となっている。
今回発表された新ソリューションは、こうした課題解決に貢献する。最大の特長は、議事録などの営業活動記録と標準提案書を基に、顧客が抱える漠然とした課題に対しても的確な提案書とディスカッションシートを自動で作成する点だ。ディスカッションシートには、顧客の懸念点や今後の会議で確認すべき項目が整理されており、営業担当者の迅速な初期アプローチを強力にサポートする。
さらに、導入企業の社内に蓄積された過去の提案事例や情報資産をAIが分析・活用するため、従業員個人の経験や知見に依存しない、組織として標準化された高品質な提案が可能となる。これにより、提案書の作成や準備にかかる時間を大幅に短縮し、営業担当者はより創造的な活動に注力できるようになる。
中核技術「AIオーケストレーション」と既存システムとの連携
本ソリューションの中核を担うのは、NECグループのNEC Laboratories Europe(NEC欧州研究所)が開発した「AIオーケストレーション技術」である。この技術により、提案書作成とディスカッションシート作成に特化した2つのAgentic AIを駆使する。単に新規資料を作成するだけでなく、過去の提案資料やテンプレートといった社内のナレッジを横断的に参照することで、顧客ニーズに深く合致した質の高いアウトプットを実現する。
また、本ソリューションはソフトウェア・モジュールとして設計されており、企業がすでに導入している既存の営業支援システムとの連携が容易な点も大きな利点だ。導入企業のセキュリティポリシーに準拠した形で導入できるため、業務フローを大きく変更することなく、スムーズな営業DXの推進が可能となる。将来的には、組み込むAgentic AIによって、法規制対応など多様な情報収集と資料化が求められるユースケースへの応用も期待される。
2026年3月より提供開始、自社実践で価値を証明
NECは、本ソリューションをまず自社で実践する「クライアントゼロ」として2025年11月に利用を開始する。この自社実践で得た「活きた」経験をリファレンスとして、2026年3月下旬から、同社の価値創造モデル「BluStellar」を通じて顧客への提供を開始する計画だ。