東京工科大学は2026年3月1日(土)、解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司氏と、同氏の知識や思想をもとに生み出されたAIデジタルヒューマン「AI養老先生」をともに客員教授として迎えた。
養老孟司氏は、「バカの壁」など多数の著書や論文をはじめ、東京大学医学部解剖学第二講座教授を務めた研究者・教育者である。
1937年神奈川県鎌倉市生まれで、1962年に東京大学医学部を卒業。東京大学医学部助手・助教授を経て、1981年に同大学医学部教授に就任。1995年に東京大学を退官し、その後同大学名誉教授となった。
人体の構造と脳・身体の関係をテーマとした研究を行うとともに、科学・社会・自然観をめぐる幅広い著作活動でも知られる。2003年に刊行した著書「バカの壁」は大きな話題となり、ベストセラーとなっている。

AI養老先生の開発と特徴
「AI養老先生」は、養老孟司氏の著書からパーソナリティを学習したAIで、言語だけでなく本人の身振りや話し方など身体的な面からも創造された、身体性を伴う疑似人格である。
養老氏が代表を務めるメタバース推進協議会、東京大学、株式会社NTTデータによる共同プロジェクトとして開発され、2025年10月の大阪・関西万博で初めて一般公開された。
このAIデジタルヒューマンは、養老氏の知識や思想を学習しているだけでなく、本人の身体的特徴まで再現している点が特徴だ。単なる対話型AIではなく、視覚的にも養老氏を再現した存在として、教育や研究の場での活用が期待されている。
東京工科大学での活用と今後の展望
「AI University」を掲げ、先進的なAI教育と研究を推進する東京工科大学において、養老氏のような著名な知識人かつ教育・研究者のパーソナリティを学習した「AI養老先生」を客員教授として迎えることは、AIの技術的な観点の先端研究にとどまらず、AIアバター教員ならではの課題の探究などにつながることが期待される。
同大学は東京都八王子市に位置し、学長は香川豊氏が務めている。今回の客員教授就任により、実在の研究者とそのAI分身が同時に教育・研究活動に参加するという、これまでにない試みが実現することとなった。
今後の具体的な取り組み内容については、随時発表されるとしている。AIと人間の教員が協働する新しい教育の形や、AIアバターを活用した研究手法の開発など、様々な可能性が考えられる。養老氏の豊富な知識と経験、そしてそれを学習したAI養老先生が、東京工科大学の教育・研究にどのような影響を与えるのか、注目が集まっている。

