株式会社日立製作所の米国子会社Hitachi Digital Servicesは7月9日(現地時間)、AIを活用した企業向けワークフロー基盤を手がけるServiceNowと提携したと発表した。
両社は、ミッションクリティカルなインフラの信頼性の高い管理を実現するAI駆動型ソリューション「Hitachi Intelligent Infrastructure Monitoring」(以下、HIIM)を高度化する。
現場データと企業ワークフローをリアルタイムで連携
HIIMは、映像や熱画像、IoTセンサー、高度な分析から得られたデータを統合し、インフラの健全性を継続的に可視化するソリューションだ。特定のベンダーに依存しない設計になっており、リアルタイムモニタリングと遠隔点検を組み合わせて、複雑な運用環境における統合的な対応を可能にする。
今回の提携では、Hitachi Digital Servicesが持つOT(制御・運用技術)分野での知見と、フィジカルAIおよびシステムインテグレーションの専門性を生かし、ServiceNowのAIプラットフォーム上で顧客の業務データと企業ワークフローを連携させる。
これにより、現場の運用チームが得たインサイトを企業全体で活用できるようにする狙いだ。具体的には、断片化した複数のソースからリアルタイムでデータを収集し、自動化されたワークフローへ変換。問題を迅速かつ事前に検知して優先順位付けし、対応することが可能になるという。運用チームとエンタープライズチームをシームレスに連携させ、問題解決を加速しリスクを低減する効果も見込む。
労働力不足と運用の複雑化が背景に
エネルギー、モビリティ、製造をはじめとするミッションクリティカルなインフラ事業者は、労働力不足や運用負荷の高まりのなかで、安全性・信頼性・パフォーマンスの維持がこれまで以上に求められている。個別に構築・運用された複数のシステムによってデータソースがサイロ化し、運用データを組織やシステムをまたいでリアルタイムかつ一貫したアクションにつなげられていない企業が多いことも課題となっている。
ServiceNowでCCO兼エンタープライズAIアドバイザーを務めるクリス・ベディ氏は、「AIで成功を収めている企業は、単に最も多くのデータを保有している企業ではなく、データに基づき組織横断的にガバナンスを組み込んだ形で行動に移せる企業だ」と述べる。Hitachi Digital Servicesが持つミッションクリティカルな環境の深いドメインナレッジと、ServiceNowが提供する企業規模での自律的なアクションへの変換プラットフォームを組み合わせることで、従来の事後対応型の運用から自律的な解決への移行を目指すとしている。
Hitachi Digital ServicesでCEOを務め、GlobalLogicの社長兼CEOも兼務するスリニ・シャンカール氏は、「現場の運用とエンタープライズシステム間の分断をより一層解消し、インサイトを大規模なアクションへと転換するリアルタイムで連携された運用モデルを実現する」とコメント。遅延や障害、作業員の安全リスクが重大な影響を及ぼしかねないミッションクリティカルな環境において、この機能は不可欠だとしている。
「HMAX by Hitachi」構想の一環
HIIMとServiceNowを組み合わせたプラットフォームは、重要インフラの安全性と運用効率の向上を実現するインテリジェントなソリューション群「HMAX by Hitachi」のビジョンにも合致する。
HMAXは、アセットインテリジェンス、デジタルサービス、インフラのライフサイクル管理に向けた専門的サポートを組み合わせ、計画・予測・予防を最適化する次世代ソリューション群だ。日立はこうした一連の取り組みを通じて、社会インフラが抱える複雑な課題への対応を進める方針だ。
ロボスタオンラインセミナー情報
JR西日本が導入した「汎用人型重機」人機一体の金岡博士が登壇
「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」。
「汎用人型重機」「多機能鉄道重機」という新たな産業ロボットの概念を切り拓いてきた人機一体の代表、金岡博士がオンラインセミナー「人機一体に聞く「人型重機とフィジカルAI」社会実装のリアル ~人を拡張するロボットの最前線~」に登壇。
JR西日本と共同で開発・実証が進む「人型重機」による鉄道インフラ保守の最前線をご紹介。高所作業や危険作業を人に代わって担うロボットが、どのように現場へ導入され、実際の業務を変革し始めているのかを、具体事例とともに解説します。
また、ヒューマノイドやフィジカルAIの潮流にも踏み込み、人機バイラテラルアームに代表されるマニピュレーション技術の進化、人間の技能のデータ化・再現といった技術的アプローチについても、現場視点で整理します。

先着50名様を無料でご招待します。詳しくはこちら。
ロボットの世界大会「ロボカップ」にもヒューマノイド・フィジカルAIの波
ヒューマノイドとフィジカルAIで変革期を迎える「ロボカップ」の現状を解説するセミナー「ロボカップはヒューマノイド・フィジカルAI時代へ 世界大会2026が示すロボット競技の変革と新潮流」を開催します。

「2050年までにサッカーのFIFAワールドカップ優勝チームに勝てる完全自律型ヒューマノイドチームを実現する」という壮大な目標を掲げて、ロボット競技の世界大会「ロボカップ」は1997年に日本からスタートしました。サッカーは認識、判断、移動、協調行動などAIとロボティクスの要素技術を総合的に必要とするため、研究開発を加速させる共通課題として選ばれました。
その後、レスキュー、ホーム/サービス、産業応用(インダストリー)などへ分野を拡大し、世界中の研究者や学生が参加するロボット・AI研究の国際プラットフォームへと発展しています。
本セミナーでは、ロボカップ日本委員会理事長であり、東京情報デザイン専門職大学教授の岡田浩之先生をお迎えし、ロボカップの歴史と現在地、ヒューマノイド化が進む背景、各リーグの最新動向、そして日本が直面する課題について解説いただきます。
さらに、韓国で2026年7月に開催される「RoboCup 2026世界大会」の現地レポートとして、写真や動画を交えながら、世界大会の最前線で何が起きているのかをご紹介いただきます。
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