ヒューマノイドロボットを手がけるアメリカのAgility Roboticsは2026年10月15日、超急速充電技術を持つイギリスのNyoboltを、次世代ヒューマノイドロボット「Digit 5」のバッテリー技術パートナーに選んだと発表した。
Digit 5は、24時間のうち20時間以上の稼働が可能になるという。
9分の充電で90分稼働、稼働と充電の比率は10:1に
Agilityは最近、人の近くでも協調的に安全に作業できるよう設計した初のヒューマノイドロボットとして、Digit 5を発表している。今回の発表によると、Digit 5には新しいバッテリーシステムが搭載され、90分の稼働に対して充電は9分で済む。稼働と充電の比率は10:1で、従来のDigit 4の2:1から大きく改善する。
この急速充電性能により、1日に2シフト超の稼働が可能になるとしている。ロボットを止めずに働かせ続け、顧客がロボット1台から得られる価値を高める狙いだ。
Agilityのチーフ・ビジネス・オフィサーであるダニエル・ディエズ氏は「顧客にとって、Digitの稼働率こそがビジネスケースだ。Digit 5は24時間のうち20時間超の生産的な作業を実現し、これは2シフトを上回る。ヒューマノイドの運用コストの経済性を大きく改善する成果で、Nyobolt の超急速充電技術がそれを可能にする」とコメントしている。
高出力・長寿命・軽量化を両立するNyobolt技術
Nyobolt の高出力バッテリー技術は、過酷な産業環境を想定して作られており、急速充電、優れたサイクル寿命、システムの軽量化を兼ね備える。自律ロボットの運用経済性を長く制約してきた電力面のボトルネックを取り除き、ロボットの稼働率を下げるダウンタイム(停止時間)の削減につなげる。
Agilityは、Digit 5の顧客がより長い稼働時間帯や、より負荷の高い作業の組み合わせを目指せるとしている。実際の商用環境でヒューマノイドを導入してきた同社の経験と組み合わせ、倉庫・物流センター・製造現場向けの価値を高める考えだ。
Nyoboltの共同創業者兼CEOであるサイ・シバレディ氏は「Digit 5には、より小さく軽いパックからより大きな電力が求められる。しかも信頼性が必須の環境だ。Agilityは、実際の倉庫や製造現場でバッテリーが耐えるべき水準を極めて高く設定した。今回の提携は、フィジカルAIの最も過酷な条件に向けて超急速充電を設計した場合に何が可能になるかを示している」と述べている。
Digit 5の提供開始は2027年前半、Agilityは上場準備も
Nyoboltのバッテリー技術を搭載したDigit 5の先行提供は、2027年前半に始まる見通しだ。その後6~9か月かけて、製造・倉庫・流通の事業者向けに提供を広げていく。
またAgilityは、Churchill Capital Corp XI(Nasdaq: CCXI)との事業統合を通じた上場準備を進めている。事業統合は2026年第4四半期の完了を見込んでおり、完了後は社名をAgility Roboticsとして、Nasdaqにティッカーシンボル「AGLT」で上場する予定だという。
Nyoboltについて
Nyoboltは2019年に設立され、独自の負極材料、先進的なバッテリーセル設計、統合パワーエレクトロニクスを組み合わせ、超急速充電と高い出力密度、長いサイクル寿命を実現している。AIデータセンター、ロボット・ヒューマノイドなどのフィジカルAI用途、モビリティ用途に展開中だ。
ロボスタオンラインセミナー情報
ロボスタでは、国産のヒューマノイドや四足歩行ロボットの開発・量産を目指すHighlandersの増岡宏哉CEOをお招きし、オンラインセミナー「国産ヒューマノイド『N』量産と知能化への挑戦 Highlandersが描くフィジカルAIと実世界データ戦略」を10月22日(木)に開催します。

Highlandersは、三菱自動車の工場で活用するヒューマノイドロボットの共同開発と、京都製作所京都工場におけるHighlanders製品の量産化について協議を進め、2027年の早い時期の生産開始を検討しています。
また、ロボットを製造、物流、インフラなどの現場で稼働させ、視覚、力覚、触覚、遠隔操作などの実世界データを蓄積。そのデータを独自のフィジカルAI基盤モデルの学習に活用し、進化したAIを再びロボットへ展開する「データフライホイール」の構築を掲げています。
セミナーでは、国産ヒューマノイドの社会実装と量産、日本発のフィジカルAI産業の可能性などについて深掘りしていきます。ぜひご参加ください。
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■自民党ロボット議連・山田太郎事務局長が語る『日本のフィジカルAI開発戦略』
日本はフィジカルAIでどう勝つのか。ロボット基盤モデル、VLA、実世界データなどの技術動向から、国家戦略の実行ロードマップまで。技術と政策の両面から読み解く85分間。
ロボスタでは、米PTCでの勤務や製造業向け企業の経営経験を持ち、現在はロボット議員連盟の事務局長としてAIロボティクス政策を推進する参議院議員・山田太郎氏をお招きして、オンラインセミナー「日本はフィジカルAIでどう勝つのか ~ロボット議連・山田太郎事務局長が語る「AIロボティクス戦略」実行フェーズ~」を11月13日(金)に開催します。

日本が強みを持つ産業用ロボットや製造業、部品・制御技術を、ロボット基盤モデルの開発や実世界データの収集・活用にどう結びつけ、国際競争力を高めていくのか。
政府が掲げる「AIロボティクス戦略」、経済産業省の「GENIAC」、国産マルチモーダル基盤モデル開発プロジェクト「FRONTia」などについても掘り下げます。
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■Honda「P2」「ASIMO」の開発者、竹中氏が登壇
日本では約30年前から、人と共存するヒューマノイドの研究開発が進められてきました。その象徴的な存在が、Hondaの「P2」と「ASIMO」です。2026年4月には、その歴史的な技術的功績が評価され、「P2」が「IEEEマイルストーン」に認定されました。
ロボスタでは、Honda「P2」「ASIMO」の開発を中核で担った竹中透氏をお招きし、オンラインセミナー「Honda「P2」「ASIMO」が残した軌跡 開発者・竹中透氏が語るヒューマノイドの原点とフィジカルAI時代の未来」を2026年11月25日(水)に開催します。

当時のヒューマノイド開発の舞台裏と、そこから生まれた技術や開発思想、試行錯誤やブレークスルーについてお話しいただきます。
また、フィジカルAIによってヒューマノイドが再び世界的な注目を集める中、今後の技術進化や未来展望についても議論します。
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