CP AI Roboticsは、2026年10月8日~9日に東京国際フォーラムで開催された展示会「RETAIL EXPO Tokyo 2026」(第22回アジア太平洋小売業者大会「APRCE TOKYO 2026」に併催)で、小売業向けフィジカルAIソリューションと新型ロボットを発表した。

同社の最大の特徴の一つが、タイの大手複合企業CP Groupの小売事業基盤を持っていること。CP Groupは、タイ国内のセブンイレブン(7-Eleven)約16,500店舗、Lotus's 2,300店舗以上、Makro 160店舗以上などを運営している。
CP AI Roboticsは、これらのCP Groupの店舗網を活用した実証や運用データの収集を視野に入れており、実店舗で得られるデータをAIモデルの改善に生かす考えだ。

CP AI Roboticsは日本法人の名称で、グローバルに展開するロボットブランドは「CP Robotics」となっている。同社はコンビニエンスストアやスーパーマーケットを主な対象に、商品補充や搬送などの自動化に取り組んでいる。
ロボット本体からAI基盤モデル、強化学習、フィジカルAIエージェント、運用管理システムまで自社で開発し、2027年の商用化を目指している。講演では姚頌(Song Yao)CEOが登壇し、独自AIの性能や今後の開発計画を紹介した。

展示ブースでは、車輪型の双腕セミヒューマノイドロボットCP『C1』による商品補充、遠隔操作による作業支援、飲料を紙袋に入れて来場者に手渡すデモなどを公開。二足歩行ヒューマノイドCP『H1』も展示し、来場者とのコミュニケーションを披露した。

また、ロボスタの独自インタビューでは、日本市場への進出戦略や実店舗での実証計画、製品品質や保守サービスなどについて明らかにした。

■ 自律動作と遠隔操作を組み合わせた商品補充デモ
CP AI Roboticsが現在、重点的に開発しているのが、コンビニやスーパーの商品補充を担う車輪型の双腕ロボットだ。展示ブースには、飲料やスナック菓子などが並ぶ商品棚が設置され、複数のロボットが商品の把持や棚への陳列を実演していた。

展示では、ロボットの自律動作に遠隔操作を組み合わせる仕組みも紹介された。担当者によると、商品棚に向かって右側のロボットは、原則として自律的に商品を認識し、グリッパーで把持して棚に陳列する。

一方、左側のロボットは遠隔操作によって動作するデモとして展示。

遠隔操作する様子も展示ブース内で公開されていた。遠隔操作ブースには、ロボット側のカメラ映像を表示する複数のモニターと、双腕操作用のコントローラーが設置されていた。


実は、自律動作している右側のロボットにも遠隔操作システムが接続されており、自律動作中に問題が発生した場合、オペレーターが遠隔から操作して復旧させ、その後、再び自律動作に戻す仕組みだという。

一般に遠隔操作は、ロボットの学習用データ収集にも利用される。ただし、担当者によると、今回の展示は遠隔操作の仕組みを紹介するものだった。また、実際の店舗では、商品の配置変更や障害物、把持の失敗などによって、自律ロボット(右)が作業を継続できなくなる場合がある。CP AI Roboticsは、こうした状況では遠隔オペレーターが介入し、作業を再開させる仕組みを採用している。

■ 飲料2本を紙袋に入れ、来場者に手渡す自律動作
別のデモでは、レジ業務を想定した双腕ロボットが、飲料2本を紙袋に入れ、来場者に差し出す動作を披露した。

担当者によると、このデモは自律動作で行われている。ロボットは対象の商品を認識すると、片方のグリッパーで紙袋を保持し、約45度に傾ける。もう片方のグリッパーで飲料をつかんで袋に入れ、最後に両腕で紙袋を来場者へ差し出す。


商品を把持するだけでなく、袋の保持、商品投入、受け渡しという複数の工程を組み合わせたデモとなっていた。
更に、ロボットの横には、レジとの連携を想定したタブレットも設置されていた。画面には袋詰めした商品の名称、数量、価格、合計金額が表示され、今回のデモでは飲料2本の合計金額514円(税込)を確認できた。

商品情報の取得にはRFID(無線ICタグ)を使用しており、今後はバーコードの読み取りやPOSレジ、決済システムなどとの連携を進めるという。
今後は、レジ横にあるタバコやホットスナック、肉まんなどを取り出して顧客に提供する作業も視野に入れている。
ただし、食品を扱う場合には衛生管理が重要になる。担当者は、用途に応じたグリッパーの交換や、多指ハンドによるトングなどの道具の使用も、今後の開発課題として挙げた。
今回の展示で確認できたのは、飲料を紙袋に入れて受け渡す動作と、RFIDを利用した価格表示までであり、店舗の決済システムと連携した自動精算等は今後の開発領域となる。
■ 新型ロボットは高さ20cm~180cmの棚に対応、狭い通路での運用を重視
展示ブースでは、商品補充ロボットの新旧モデルについても説明を受けた。
新型モデルは、頭部の上方に周囲を確認するカメラを備え、双腕と昇降機構、車輪移動機構を組み合わせた構成だ。担当者によると、従来モデルでは手が届く高さに制約があったが、新型では床面から約20cmの下段から、約180cmの上段までの商品棚に対応できるという。


また、車体の小型化によって、日本のコンビニに多い狭い通路での運用を意識した設計となっている。

安全性にも配慮している。周囲に人が近づくとロボットの動作速度を落とし、さらに接近した場合は停止する機能を装備している。
同社は、従来モデルから今回の新型モデルへ移行していく方針だという。商品棚が密集し、来店客や従業員が行き交うコンビニでは、車体の小型化、棚への到達範囲、安全機能などが求められる。新型モデルでは、こうした店舗環境への対応が図られている。
■公式動画「C1」
■ 二足歩行ヒューマノイドも展示、接客・案内を想定
CP AI Roboticsは、二足歩行ヒューマノイドCP『H1』も展示した。H1は、親しみやすい顔のデザインが特徴の小型ヒューマノイドだ。人間の生活環境向けに設計。二足歩行による移動、マルチモーダルインタラクション、自律実行機能を兼ね備え、伴走支援、巡回警備、案内、各種サービス業務に対応する。

今回の展示では、来場者への挨拶や対話など、コミュニケーションを中心としたデモを披露した。


H1は歩行も可能だが、今回のブースでは安全面を考慮して歩行や物理作業の実演は行っていない。また、開発プロジェクトは2026年5月末ごろに始まり、約4カ月で今回の状態まで開発を進めたという。特筆すべきスピード感で開発されたと言えるだろう。
CP AI Roboticsは、現段階では車輪型ロボットによる商品補充などの実作業を重視する一方、二足歩行ヒューマノイドについては、将来的に歩行と腕の操作を統合した高度な動作や、家庭向けサービスへの展開も目指している。
■公式動画「H1」
次ページでは、姚頌CEOの講演と独自インタビューを通じて、同社が開発するフィジカルAIの技術、2027年の商用化ロードマップ、日本市場での事業戦略を詳しく紹介する。
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