コンビニ向けフィジカルAIロボットを披露 CP AI Roboticsが2027年商用化へ、日本進出戦略をCEOに聞く

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コンビニ向けフィジカルAIロボットを披露 CP AI Roboticsが2027年商用化へ、日本進出戦略と三菱電機との連携構想をCEOに聞く
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CP AI Roboticsは、2026年10月に東京国際フォーラムで開催された「RETAIL EXPO Tokyo 2026」で、小売業向けのフィジカルAIロボットを披露した。2027年の商用化を目指し、商品補充などの店舗業務を自律化する技術の開発を進めている。

会場では姚頌(Song Yao)CEOが講演し、独自開発のAI基盤モデルやロボットの性能、商用化に向けたロードマップを紹介した。

CP AI Roboticsの姚頌(Song Yao)CEO。フィジカルAIを活用した小売業向けロボットの開発戦略と、2027年の商用化計画を発表した。

ロボスタは姚CEOに独自インタビューを実施。商品補充の成功率を99.9%以上へ高めるための取り組み、日本市場への進出戦略などについて詳しく聞いた。

■ CP Groupの小売事業基盤を生かし、フィジカルAIの実用化を目指す

姚CEOは講演の冒頭で、生成AIや大規模言語モデルの進歩によって、ロボットが周囲の状況を理解し、自ら判断して行動する時代が近づいていると説明した。

同社が重点市場に位置づけているのは、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの小売業だ。

CP AI Roboticsは、店舗で繰り返し発生する商品補充や搬送、棚卸し、巡回点検などの自動化を進めている。従業員の作業負担を軽減し、接客などの業務に人員を振り向けることを目指す。

前述の通り、同社の最大の特徴の一つが、タイの大手複合企業CP Groupの小売事業基盤を持つことだ。CP Groupはタイ国内の7-Eleven、Lotus's、Makroなどを運営している。CP AI Roboticsは、CP Groupの店舗網を活用した実証や運用データの収集を視野に入れており、実店舗で得られるデータをAIモデルの改善に生かしていく考えだ。

CP AI Roboticsはシンガポールに本社を置き、東京、北京、上海などに拠点を展開。姚CEOは、世界で140人以上の従業員を擁し、ロボットの設計・製造からAIモデル、ソフトウェア、ソリューションまでを開発していると説明した。

CP AI Roboticsがフルスタックで開発するフィジカルAI技術。基盤モデル、強化学習、AIエージェントを組み合わせ、実環境での作業能力向上を目指す(講演資料より)

■ 独自のWorld Action Model「SLM-0.5」、LIBEROで成功率98.6%

同社は、ロボットの知覚、判断、行動を支えるフィジカルAI技術を開発している。その中核となるのが、23億パラメータの軽量なWorld Action Model「SLM-0.5」だ。講演資料によると、ロボット操作のベンチマーク「LIBERO」において平均成功率98.6%を達成し、比較対象となる主流手法に対して推論速度を24倍高速化したという。なお、これはロボット操作に関するベンチマーク評価であり、実際のコンビニでの商品補充成功率を示すものではないため、実店舗での性能については、今後のPoCで検証されることになる。

同社はSLM-0.5に加え、強化学習によって特定の作業への適応や性能向上を図る「STEAM」、複雑なタスクを分解して実行するフィジカルAIエージェント「RPent」などを開発している。

例えば、「水を持ってきて」という指示に対して、対象物の認識、移動、把持、運搬といった複数の工程を組み合わせて実行することを目指す。また、実際の作業で得られた成功・失敗の情報を追加学習に活用し、ロボットの作業能力を継続的に改善する仕組みを重視している。

■ 二足歩行CP「H1」と車輪型CP「C1」を発表

姚CEOは講演で、自社開発の2種類のロボットCP「H1」とCP「C1」を発表した。

二足歩行ヒューマノイドのCPH1は、全高約1.4m、26自由度を備え、バッテリーによる稼働時間は約2時間。20以上の言語に対応し、36種類以上のジェスチャー、45種類の表情などを用意しているという。

現行モデルは受付、案内、パフォーマンスなどを主な用途とする。2027年上期には、自由度の拡大、軽量化、バッテリー容量の増加などを図った量産モデルを投入する計画だ。さらに、全高約1.7mのフルサイズヒューマノイドも開発しており、2027年の発表を予定している。

一方、実店舗での商品補充や搬送を重視して開発したのが、車輪型の双腕ロボットCPC1だ。全高は約1.9m、車体幅は約600mm。各腕は7自由度で、通常の可搬重量は片腕3kg、両腕で計6kgとなる。さらに、片腕8kg~15kg級の重量物を扱えるバージョンも開発中だ。講演では、約650mm以上の通路を通行でき、約800mmのスペースで方向転換できる設計と説明した。

ロボットの上部には周囲を確認するカメラを備え、人が近づくと腕の動作を減速し、さらに接近すると停止する安全機能を搭載する。また、NVIDIA Jetson AGX Thorを採用し、ロボット本体でAIモデルを動作させる構成となっている。

姚CEOは、車輪型の利点として移動の安定性を挙げ、コンビニやスーパーだけでなく、工場内での搬送や組立などへの展開も想定していると説明した。

■ 商品補充は800 SKU以上に対応、2027年に3,000 SKU以上へ

今回の講演で、商用化に向けた具体的な数字として注目されるのが、商品補充に対応するSKU(商品管理単位)の数だ。姚CEOは、現在の商品補充ソリューションが800 SKU以上に対応していると説明。2027年には3,000 SKU以上に拡大する計画を示した。

同社は商品棚の状況を確認し、欠品を認識し、在庫を把握して、必要な商品を搬送・補充するまでの一連の作業の自律化を目指している。
ロボット管理プラットフォームでは、作業の割り当てや稼働状況の監視、遠隔操作による支援などを一元管理する。将来的には、レジ業務、ホットスナックなどの提供、店舗巡回・警備といった業務にも対象を広げる計画だ。

同社は2027年第2四半期の本格的な商用提供を目指している。ただし、それまでに安全性や機能を検証するためのPoC(概念実証)を進める必要があるとしている。
提供形態については、ロボットの直接購入に加え、RaaS(Robotics as a Service)によるサブスクリプション方式も用意する方針だ。価格は講演時点では公表されなかった。

■ 姚頌CEOに聞く、フィジカルAIの開発戦略と日本市場への展開

講演終了後、ロボスタはCP AI Roboticsの姚頌(Song Yao)CEOに独自インタビューを行った。車輪型ロボットとヒューマノイドの開発方針、商品補充の自律化、日本での実証計画、今後の事業展開について聞いた。

実作業を担うCPC1、全身知能の実現を目指すCPH1

ロボスタ: 御社は車輪型のCP『C1』と、二足歩行ヒューマノイドのCP『H1』を開発しています。それぞれの役割と、ヒューマノイドを開発する理由を教えてください。

姚CEO: 現在、私たちが最も重視している実作業用のロボットはCP『C1』です。車輪型は移動が安定しており、コンビニやスーパーの商品補充、搬送などの業務に適しています。工場や物流施設でも活用できると考えています。

CP『H1』は、将来の「Whole-body Intelligence(全身知能)」の実現に向けて開発しています。現在は歩行と腕の操作を別々に制御することが一般的ですが、私たちは将来、一つの基盤モデルで脚と腕を統合的に制御したいと考えています。そうすることで、ロボットがより複雑な作業を行えるようになります。

さらに、多指ハンドによる精密な操作を目指すCP『A1』も開発しています。2027年の発表を予定しており、バーコードやQRコードの読み取り、現金の取り扱いなど、レジ業務に必要な細かな操作への対応を想定しています。

商品補充の成功率99%、目標は99.9%、99.99%へ

ロボスタ: 商品補充の自律動作について、現在の成功率と今後の目標を教えてください。また、実店舗では人間による遠隔操作も必要になるのでしょうか。

姚CEO: 現在は約800種類のSKUに対応し、商品補充の成功率は99%に達しています。今後は対応商品を3,000種類、さらに5,000種類以上へと増やしながら、成功率を99.9%、99.99%へ高めていきたいと考えています。
成功率を高めることは、ロボットの運用コストを下げるうえでも非常に重要です。
例えば、成功率が99.0%の場合、1人の遠隔オペレーターが担当できるロボットは約6台と想定しています。成功率を99.9%まで高められれば、30~50台を担当できる可能性があると考えています。
ロボットが作業に失敗した場合には、遠隔オペレーターが介入して作業を再開させます。AIの性能を高め、こうした介入の頻度を減らしていくことで、より多くのロボットを効率的に運用できるようにしたいと考えています。

3~4枚の写真から認識できる機能を装備へ

ロボスタ: 日本のコンビニでは新商品が頻繁に発売され、店舗によって商品の配置も異なります。こうした環境にはどのように対応しますか。

姚CEO: 新しい商品については、3~4枚程度の写真を撮影することで、商品を認識するためのモデルを作成できます。
一方、ロボットが認識できない商品については、未知の商品として扱います。認識できないものを無理に操作することは避ける仕組みです。また、私たちは基盤モデルの「SLM-0.5」に加え、強化学習技術のSTEAMを開発しています。実際の店舗で得られたデータを活用し、それぞれの作業や環境に合わせてロボットの性能を改善していきます。
フィジカルAIエージェントの「RPent」は、複雑な指示を複数の工程に分けて実行するための技術です。こうした技術を組み合わせ、商品や店舗環境の変化に対応していく考えです。

2026年11月から中国・タイでPoC、日本でも実店舗での検証を計画

ロボスタ: 今後のPoC(概念実証)と、日本市場への展開について教えてください。

姚CEO: 2026年11月から、中国の北京とタイでPoCを開始する計画です。まず実際の店舗環境でロボットの機能や安全性を確認し、改善を進めていきます。
日本でも実店舗でのPoCを計画しています。日本のコンビニには、通路が狭い、商品が多い、商品の入れ替わりが頻繁であるなどの特徴があります。こうした環境でロボットを運用できるようにしていきたいと考えています。
日本では、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンなどの企業と協業できればと考えています。スーパーマーケットも重要な市場です。コンビニと比べて通路が広く、ロボットが動きやすい環境があります。
PoCを通じて安全性や作業性能を確認し、2027年の商用サービス開始につなげていく計画です。

日本法人は研究開発・営業・保守を担当

ロボスタ: 日本法人はどのような役割を担うのでしょうか。また、日本企業との連携についても教えてください。

姚CEO: 日本法人では、研究開発、営業・事業開発、導入後のサービスという3つの機能を担っていきたいと考えています。
日本で収集したロボットのデータは、日本国内で保管・管理する方針です。そして、日本の店舗環境に適したAIモデルの学習や改善に活用していきます。

日本には独自の店舗環境や運用上の要求がありますので、日本の現場で得られるデータを使って開発を進めることが重要だと考えています。
日本企業とは、製品の品質向上、部品調達、保守サービス、データ管理やセキュリティなど、さまざまな分野で協力の可能性も話し合っています。

RaaSによる提供も計画、購入と月額利用の両方を用意

ロボスタ: 日本ではロボットをどのような形で提供する予定ですか。購入とRaaSの両方を考えているのでしょうか。

姚CEO: ロボットを直接購入する方法と、RaaS(Robotics as a Service)として月額料金で利用する方法を用意する考えです。
例えば、6カ月契約で10%、1年契約で30%の割引を行うような料金体系も考えています。3年程度の長期間利用する場合には、購入をおすすめすることもあります。
お客様がロボットを導入しやすいように、利用期間や用途に合わせて選択できる仕組みを整えていきたいと考えています。

小売から製造・物流へ、家庭向けヒューマノイドは5~7年後を視野に

ロボスタ: 小売業以外への展開や、家庭向けヒューマノイドの将来については、どのように考えていますか。

姚CEO: 現在はコンビニやスーパーなどの小売業を重点分野としていますが、製造業や物流施設にも展開していきたいと考えています。
例えばCP『C1』は、工場内での部品や資材の搬送、組立作業の支援などにも活用できると考えています。

CP AI Roboticsが想定するロボットの活用分野。商品補充、倉庫業務、工場清掃、重量物搬送などへの展開を構想している(イメージ: 提供 CP AI Robotics)

将来的には、家庭向けのヒューマノイドも目指しています。ただし、家庭では子どもや高齢者が生活し、家具の配置や照明などの環境も変化します。壊れやすい物もありますので、ロボットには非常に高い安全性と環境への適応能力が求められます。
家庭向けヒューマノイドが実用化されるまでには、5~7年程度かかると考えています。

(イメージ:提供 CP AI Robotics)

現在進めている小売業向けの開発を通じて、実際の環境で物を認識し、判断し、操作する技術を高めていきたいと考えています。

CP AI Roboticsの詳細はこちら
《ロボスタ編集部》

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