クボタ、ウインチ型パワーアシストスーツを来春発売予定 その他「農業ワールド2016」のロボットを紹介

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2016年10月12日(水)〜14日(金)の日程で、幕張メッセにて、国際次世代農業EXPOなどで構成される「農業ワールド2016(http://www.nogyoworld.jp)」が開催された。

農業も、今後、ロボットやIoT、データ解析などの活用が期待されている分野だ。農業用IoTの圃場用センサーとクラウドサービスの組み合わせのほか、農薬散布用ドローンや植物工場など、各種IT技術の応用展開が出展されている「農業ワールド」にも、ロボットがいくつか出展されていたので選んでレポートする。

なお、「農業ワールド」はビジネス向けの商談展であり、一般、18歳未満の入場はできない。

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DJIのドローンなどを使ったサービス販売を手掛ける株式会社スカイロボットによるドローンのデモ


クボタのウインチ型パワーアシストスーツ 価格は106万円

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クボタ ウインチ型パワーアシストスーツ「WIN1」

株式会社クボタは、現在開発中、来春発売予定のウインチ型パワーアシストスーツを実演出展。重量物を運搬するときに用いるアシストスーツで、背中に背負ったウインチの力で約20kgまでのコンテナを吊り上げる。持ち手がウインチのスイッチになっていて、右手スイッチがアップ、左手スイッチがダウン。持ち手の部分のアタッチメントを変えれば、他のものも持てる。


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重量はほとんどが腰で支えられている

本体の重さは10kg程度。疲れないわけではないが、アジャスターベルトを使って腰でしっかり支えているため、それほどの重量感は感じないという。


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背面。バッテリーはパナソニック製

パナソニック製の小型汎用リチウムイオンバッテリー(18V 3.0Ah)を用いており、おおよそ200回の作業ができる。ウインチを用いているため持ち上げ高さに限界があるが、コンテナを床から4段まで、軽トラックの荷台に2段まで積み上げることができる。


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側面。フレームはカーボン製

来春販売予定で、価格は106万円。ただし、レンタルが主流になるのではないかと考えているそうだ。


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腰部

しゃがんだ状態からの立ち上がり時には、脚部にもパワーアシストが入る。体験こそできなかったものの、実演時には多くの人が取り囲んでいた。

重さ17kgほどのコンテナを持ち上げるデモ。


クラウドを使って相棒を目指す台車ロボット「アグビー」

中西金属工業株式会社イノベーションプロジェクト(https://nkc-innovation.com)は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の奥出直人教授ら、水茄子農家の草竹農園と共同開発中の収穫・計測・予測ができる農家の相棒ロボット「アグビー」を出展していた。


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アグビー

レーザーセンサーを使って人を追従する台車ロボットだ。ベースは市販のシニアカー。他社の追従台車ロボットと違うところは、重量計がついているところ。農業用を想定して、畑の土壌状態や収穫量を可視化・予測することを前提としている。


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クラウドと連携する

会場でも簡単なデモを行っていたが、こちらの動画のほうがわかりやすい。現場でどのくらい使えるかはまだこれから検証を進めていくようだ。

アグビーの使用イメージ


トマトの苗を接ぎ木するロボット

トマトの苗は、根の部分の台木と、実をつける穂木を接いで植えられる。病害虫を防ぐためだ。この作業は人力の職人芸で行なわれている。その作業を自動化するためのロボットも出展されていた。

まず株式会社ハルディン(http://www.jsjardin.co.jp/index.html)は、オランダISO社(http://www.isogroepmachinebouw.nl/en/home.html)の半自動接木ロボット「Graft 1100」を出展。人が台木と穂木をセットすると接ぎ木をする。1時間あたり1000本を接ぎ木できる。


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ハルディン 半自動接木ロボット「Graft 1100」

ロボットを使うと成功率が上がり、歩留まりがよくなるという。また、台木の供給を自動化した全自動接木ロボットGraft 1200を使えば、一人で接ぎ木作業をより高速に行うことができるとのことだ。

接ぎ木の様子

東広島市のメカテック有限会社(http://www.urban.ne.jp/home/mechatec/)は半自動タイプ接ぎ木ロボット「パッチマンs」を出展。トマトの苗木を接ぎ木するロボットだ。


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メカテック有限会社 半自動タイプ接ぎ木ロボット「パッチマンs」

現在開発中の「パッチマンs」は一人で作業ができ、1時間1500本以上の接ぎ木が可能だ。将来的には全自動化することで、1時間あたりの処理本数を3000本に上げることを目指す。ウリの苗木の接ぎ木にも適用できるようにしていくという。



将来は農場の様子をロボットが教えてくれる!?

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将来のICT農業にロボットを活用することをイメージした模型

NTTグループでは、将来のイメージをソータやミニドローンを使って解説していた。農業でのIoT活用は、圃場(農場)に気温や湿度、水位やpHなど各種データがわかるセンサー類を設置し、そのデータを無線で集めてサーバに集約、クラウド処理することで日誌化、必要に応じてAI技術などを使ってデータ解析・予測などに用いるといったものが主流だ。なかにはコンバインなど収穫機を使ったデータもそのなかに組み込まれるものもある。

NTTが簡単な模型で示していたのは、圃場に各種センサー類のほか、「カカシロボット」や無人農機、ドローンなどを設置し、そのデータを、家庭にあるコミュニケーションロボットと会話することで取り出すことができるのではないかというイメージだ。クボタとも連携して開発中だという。


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システムイメージ(スマホの方はクリックで拡大可)


Husqvarnaの草刈りロボット、マキタの掃除ロボットも

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Husqvarna ロボット芝刈機「Automower」シリーズ

この他、併催イベントの国際道工具・作業用品EXPO(ツールジャパン)では、Husqvarna(ハスクバーナ)社のロボット芝刈機「Automower」や、マキタのロボット掃除機「ロボプロ」RC200DZなども出展されていた。

ロボット芝刈機「Automower」はカミソリ状の3枚刃を使って芝を刈るロボット。チャージステーション、ガイドワイヤー、境界ワイヤーの 3 方式で一定の範囲を走行し、設定された高さで芝刈りする。24度の斜面でも芝刈りが可能で、充電が必要になると自動でステーションに戻る機能もある。


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自動でチャージステーションに戻る機能も

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「Automower」裏面。円盤部分が左右に回転して芝刈りする
Husqvarna ロボット芝刈機「Automower」

電動工具の株式会社マキタが2015年10月に発売したロボット掃除機「ロボプロ」RC200DZは、標準小売価格は115,000円。マキタおなじみの18Vのリチウムイオンバッテリー二本で連続運転時間200分、500平米を掃除できる。ダストボックスは2.5リットル。

マキタのロボット掃除機「ロボプロ」

なおロボット技術はシャープ株式会社との共同開発。主に倉庫や店舗などで用いられており、現在までの出荷台数は数千台のオーダーとのことだ。

About the author / 

森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

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