【SoftBank World 2016 徹底レポート(24)】人工知能最前線 〜NTTデータのAI戦略と事例〜

Softbank World 2016 二日目の17:30から行われた「人工知能最前線 〜NTTデータのAI戦略と事例〜」のレポートです。

プログラム概要は以下のとおり。

IT技術は絶え間なく進歩し、特にAI技術は開花一歩手前となっております。本講演では、NTTデータが注力するAI分野や当社事例について説明します。また、AI技術の社内適用についてもご紹介します。

登壇されるのは、株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部 本部長 風間博之氏です。

株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部 本部長 風間博之氏



人工知能の現状と未来

NTTデータがオリジナルに人工知能を分類した世代図です。

第一世代は、ルールベースの人工知能。第二世代は、統計/探索モデルの人工知能、そして現状の第三世代は、脳モデルの人工知能となります。

人工知能は、最新のものがあればなんでもできるというわけではなく、過去の人工知能を適切に組み合わせて精度を上げて使用する必要があると実感しています。

人工知能を支えるスーパーコンピュータの処理速度の変遷です。

コンピュータの性能は2025年に人間の脳と同レベルの処理性能となり、2035年には人間の脳の1000倍の処理速度になると言われています。この頃スマホの性能がスパコン「京」に迫るとも言われています。併せてアルゴリズムも重要で、いかにモデル化をしていくかが大事です。

以下、NTTデータが想像する未来のイメージ動画です。



人工知能の適用領域

人工知能が適用できるであろう領域は以下の5つ。

知識提供・発見は、知識を大量の情報から探し出したり、大量データから知識を発見するというものです。FAQの自動生成などに利用できるかもしれません。

コンテンツ生成は、大量の情報を参考に自動でコンテンツを生成するというものです。将来は文章や映像が自動生成されるかもしれません。

推論・思考は、意思や行動の決定を自ら行うというものです。これからより伸びていく領域と思います。

インタラクティブIFは、人間との対話を通じてサービスを行うというものです。

知覚・制御は、環境や状況を把握して自律制御するというものです。自動運転などに適用できるような領域です。



NTTデータでの重点AI適用3領域

NTTデータでは3つの重点AI適用領域があります。

「顧客接点領域」と呼ばれる、顧客対応等のフロントオフィス業務。「業務高度化領域」と呼ばれる、審査等のミドル・バックオフィス業務。「複合高度分析領域」と呼ばれる、大規模データ分析による予測や予兆検知です。



NTTグループの人工知能「corevo」

NTTグループには「corevo」と呼ばれる人工知能ブランドがあります。名前はコラボレーション&エボリューションを組み合わせた造語です。4つの技術要素から構成されるもので、人の活動の一部を代替、支援し、人の能力を保管し、引き出すためのAI技術です。

「Agent-AI」は、人間の発する情報を捉えて、意図・感情を理解するというもの。コンタクトセンターや窓口業務の代替・支援、高齢者の見守りや活動支援などへの導入を想定しています。

「Ambient-AI」は、人間・モノ・環境を読み解き、瞬時に予測・制御するというもの。自動車運転支援やヘルスケア、イベントの混雑回避、災害予測・復旧などへの導入を想定しています。

「Heart-Touching-AI」は、心と身体を読み解き、深層心理・知性・本能を理解するというもの。メンタルウェルネスや人間関係向上、スポーツ上達への導入を想定しています。

「Network-AI」は、複数のAIがつながり、社会システム全体を最適化するというものいうもの。ネットワークの故障対応から解放されたり、地球規模の全体最適化を想定しています。



取り組み領域1:顧客接点領域

現在は、蓄積するデータの「質」が求められる時代になりつつあります。

データは大きく「量/結果のデータ」と「質/意味のデータ」に分けられます。それぞれ「デジタルデータ」と「アナログデータ」とも言ってもいいでしょう。

デジタルデータには、アクセスログ・位置データ・契約データなどがあります。現状のパソコンやスマホから取得が容易にできるデータで、コスト削減をするために必要なデータとも言えます。

アナログデータはプラスアルファのデータとも言えます。具体的には、対応時の感情やサービスを求める理由といった「キモチデータ」、消費した時の前後の動きの「周辺データ」、商品を求める理由・顧客の性格やタイプといった「プロファイルデータ」などです。これらのデータをどうすれば抽出できるかに着目をしています。

現状のフロントオフィスが抱える課題です。

オペレータにより対応品質にムラがあったり、オペレータを定着させるのが難しかったりします。また、問い合わせの少ない時間帯が存在するのも課題です。そして、優良顧客と一般顧客で応対品質が同一、データを蓄積しているが活用できていないといった課題もあります。

ここでコールセンターにオペレーターに着目した取り組みが、顧客サポートツール「テクノマークメール」です。

AIと連携し、コンタクトセンタの業務効率化を実現するというものです。Watson NLC(Natural Language Classifier)サービスを連携させ、最適な回答を取り出しやすくします。

効率化を実現するために必要ないくつかの重要な技術があります。その1つが「意味理解」です。

例えば、車がパンクをして問い合わせをする時に「タイヤがパンクしちゃった」「タイヤに釘が刺さった」「走行中にバーストしてしまった」といった様々な表現があります。意味理解によって、言い方が違っても同一の質問内容であると判定し、FAQから同一の回答を引き出すことができます。

機械学習と日本語解析をベースに、意味をベクトルで判定し、質問の同一性を判定します。



取り組み領域2:業務高度化領域

バックオフィス領域に人工知能を入れることでビジネスにつながりやすいと、考えています。

AI活用による自動化の実現ステップをレベル0〜4まで段階毎に分けてみました。

レベル0は、属人状態。レベル1になると標準化され「FAQマニュアル」が作成されます。レベル2では、標準自動化され、FAQを検索するシステムが登場します。

レベル3以降はAIを活用した高自動化状態で、人間の業務サポートとして、ヘルプ回答サジェストシステムが導入されます。レベル4では、業務自動化となり、ヘルプ回答全自動化が実現されます。

現状NTTデータで検証のターゲットにしているのは、レベル3。レベル4になるのは2020年頃と想定しています。

次に、社内システムの全体像から見たAI活用領域です。自社がこのような社内システムなのですが、どの会社も似たようなものと思います。

例えば、人事領域に人材配置最適化のAIを活用したり、社内申請に審査の自動化を行うAIを活用したり、経営幹部支援に将来予測のAIを活用したり。このように今後、様々な領域でAIを活用する機会が増えていくでしょう。

社内システムにAIを導入した具体例を2つ紹介します。

1つ目は、クレンジング業務への人工知能適用です。クレンジングとは、例えば名簿の名寄せをしたりというようなものです。この業務に今までは相当数の工数を割いていました。

現在適用中の事例は、調達発注情報の見積書データを人工知能を使ってクレンジングします。そこから、サーバ平均価格・ベンダ毎の価格傾向・同一製品の価格推移などの購買傾向を分析します。

結果、条件が整えば、70%程度の原価削減に寄与できる試算が出ています。

2つ目は、法人審査支援システムです。審査に必要な情報を自動で収集し、判定基準を機械学習で学ばせて、業務を効率化するというものです。情報収集も判定基準の機械学習もアップデートし続けています。



取り組み領域3:業務高度化領域

様々なモノやコトから膨大なリアルタイムデータが収集・蓄積される時代がやってくるでしょう。それを支えるセンサは2022年までに1兆個まで増加すると言われています。

データ分析・活用のレベルイメージです。

データ分析することで「見える化」が起こり、次に「予測・予兆検知」が可能になります。そして「最適化」が起こり、最終的には「自律化」が実現するでしょう。

具体例を2つ紹介します。

1つ目は、中国貴陽市での渋滞解消の実証実験の様子です。のべ100万台の車両データをビッグデータ分析し、最適なパラメータを算出して、それを計12ヶ所の信号設定に反映させます。すると、移動時間が最大51%、平均10%削減することに成功しました。

2つ目は、ICUの予兆検知システムです。

患者さんの状態悪化を予測検知し、リアルタイムな意思決定を支援するというものです。心電図、血圧などの測定データをビッグデータとして蓄積し、機械学習の運用を行い、1時間後の状態を予測します。予測に基づいたアラートをリアルタイムでドクターに提示をするというものです。



最後に

最後に皆様にお伝えをします。

 ・小さくてもよいのでAIの取り組みはすぐに始めるべき
 ・今後は企業内システムへのAI適用が進む
 ・気づきが重要、AIはあらゆる場面で活用できる可能性がある

本日はご静聴ありがとうございました。

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北構 武憲
北構 武憲

本業はコミュニケーションロボットに関するコンサルティング。主にハッカソン・アイデアソンやロボットが導入された現場への取材を行います。コミュニケーションロボットがどのように社会に浸透していくかに注目しています。

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