風船カメラ、IoT提灯など、六本木の中心で街をハックする「machi hack jam」レポート

9月3日~24日の日程で期間中3日間開催されている「machi hack jam」2日目に行ってきました。

開催場所は、六本木・アーク森ビル3階にある「TechShop Tokyo」。

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TechShop Tokyoの作業スペース。広々としたスペースに豊富な工作機械が置かれている。

まさか六本木のど真ん中に、こんなに広いものづくりスペースがあるとは…。秋葉原にある「DMM.make AKIBA」のような雰囲気もありますが、担当者によれば「DMM.make AKIBAさんよりも、客層がもう少し一般の方寄り」とのこと。


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ロボットのようなガチのハードウェアを作る方から、木の椅子を作る方や着物を作っている方まで幅広い方々が利用しているそうです。


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そんなものづくりスペース「TechShop Tokyo」で行われた「machi hack jam」は、クリエイター集団ライゾマティクス代表の齋藤精一氏、ユカイ工学CEOの青木俊介氏、TechShop Japan代表の有坂庄一氏の3名をゲストアドバイザーとして、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授の小林茂氏をアイデアワークショップのファシリテーターとして迎えて開催されている、「街をハックする」というテーマのプロダクト制作ワークショップ。

このワークショップは以下の日程で開催されています。

1日目(9月3日) : インスピレーショントーク・チーム発表・フィールドワークアイデアワークショップ・アイデア発表 など
2日目(9月17日) : プロトタイプ製作・発表
3日目(9月24日) : Touch & Try @アークヒルズマルシェ

ご覧の通り、3日目の今週末9月24日(土)には、アークヒルズの前にあるカラヤン広場で行われている「マルシェ」という市場で、制作したプロダクトのタッチ&トライが予定されています。


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アークヒルズ前のカラヤン広場。取材当日は秋祭りが行われていた。

街中でプロダクトを触ってもらう機会が設けられているため、一般の方々からのフィードバックも得ることができるという、充実した内容のワークショップ。

今回取材したのは、そのうち2日目の「プロトタイプ製作・発表」です。集まった4チームから、それぞれ面白いプロダクトが発表されました。それでは順番にご紹介していきます。



チームA「UNDAWN」

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チームAが制作したプロダクトは、テクノロジーを使った全く新しい提灯「UNDAWN」です。「UNDAWN(あんどーん)」は、神社と街と人の関係を再構築する存在として考えられました。

かつてはその地域の中心として栄えていた神社も、今では祭りのとき以外には訪れる機会も少なくなっています。


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提灯を見かける機会も祭りのときくらいしかありません。そんな提灯をテクノロジーで新しく楽しげなものに生まれ変わらせています。


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専用のスマホアプリを立ち上げると、スマホとUNDAWNが連動します。UNDAWNのジャバラを伸び縮みさせると、それに伴い音が大きくなったり小さくなったり。動かし方によっても音が変化します。


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UNDAWNの上面は、ロゴと同じくキツネ型に切り抜かれている。
発表の様子

「TECHNO × BON-DANCE」を目指したというUNDAWNの音色は、電子音の中に懐かしい祭りのリズムがあり、つい体を動かしたくなるような音色でした。時々出る「よぉーーーっ!」という掛け声も、なんだか楽しい気分になります。UNDAWNを持って祭りに参加したらテンション上がりそうですよね。




チームB「マチの気持ちとワタシの気持ち」

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チームBのプロダクトは、「マチの気持ちとワタシの気持ち」という、街に集まる人たちのコミュニケーションをはかるプロダクト。


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歩くという行為を通して、その人が思っていることを、「街」に伝えていくことができます。


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例えば、「アークヒルズのカラヤン広場のライトアップの色を変えるとしたら?」というお題が提示されていた場合、その人の歩く方向によって、自分がライトアップしたい色に投票することができます。投票されると、その結果がリアルタイムにゲージに反映されていきます。


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夜間はゲージがLEDやプロジェクションマッピングのような形で光っていたら目立ちますが、日中は目立ちません。そのため、日中は、レール上でカーテンが動くような仕組みも考えられていました。


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デモ中の様子。机の左側を通ると、赤の数字が増えてゲージが大きくなる

インターネット上ではアンケートシステムがありますが、それを現実世界でも簡単に投票できるようにするという例。これによって、その街の人が今何を考えているのかをお互いに知ることができます。

このシステムを実際に販売する際には、例えば近隣ショップの市場調査や、不動産会社が街の魅力や課題を発見するツールとして活用することができるのではないかという考えも示されました。

未だに街頭アンケートは、道端で声をかけて行うという地道な手法を取っていますが、このようなツールで答える方も楽しく回答ができれば、より簡単に多くの回答を得ることができることでしょう。それをビジネスに活かしたり、あるいは行政に活かしたり。シンプルなツールではありますが、有意義な可能性を秘めたプロダクトだと感じました。



チームC「マルシェ(仮)」

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マルシェとはフランス語で「市場」という意味の言葉です。六本木のカラヤン広場では、毎週土曜日のお昼に、新鮮な野菜や果物、花などを販売するお店がテントを張って並び、買い物を楽しむことができます。


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そのマルシェでの買い物を更に楽しくしようと考えられたのが、チームCの「マルシェ(仮)」というプロダクト。

カラヤン広場全体に、プロジェクションマッピングをし、マルシェに訪れた人たちが購入したものを可視化していきます。



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カラヤン広場の1/50サイズの立体模型

例えば、広場奥のお店で誰かがキャベツを買うと、そのお店を中心に緑の光が広がっていきます。それにより、照らされた光を見ることで「何が買われたのか」「どこのお店で売ってるのか」などを知ることができ、市場にも一体感が生まれます。

理想は、iPadなどで各店舗が購入履歴を登録すると、それがプロジェクションマッピングに反映されて、映し出されていくというもの。しかし、今のところは、導入しやすさも考慮してボタンを押すことで光が広がっていくモデルを考えているとのこと。

「machi hack jam」3日目の展示では、プロジェクションマッピングを実際に行うことは難しいということで、模型の展示、もしくはVRでの体験などが考えられているそうです。こちらも楽しみですね。



チームD「KARAJAN 空ヤン!」

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チームDは、特に問題提起が深掘りされていました。


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初日のフィールドワークを行った際に、アークヒルズにいくつかの違和感を感じたと言います。

・大型のモニュメントがあるが、そこには「上に乗らないでください」と書かれている。子どもたちは乗りたがっているのに、乗ることができない。

・施設内には滝がある。しかし「滝には近づかないでください」と書かれている。子供たちは水に入りたいんじゃないか。

・六本木は団体の観光客も多い。集合写真を撮るときに、写真を撮る人が写真に写れなかったり、自撮りをすることでせっかくの景色が写っていなかった。

1986年にオープンしたアークヒルズは、この30年の間に、「ビジネスに特化していた建物」から「地域の方々や観光客も出入りする建物」へと移り変わってきました。しかし、その間に「変わることができなかったもの」の存在に違和感があるのではないかと推測されていました。


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こうした課題に対して考えられたのが、「KARAJAN 空ヤン!」というプロダクトです。


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ヘリウムガスを入れた風船に、Wi-Fiカメラを搭載することで、空からの高い視点で周囲を撮影することができます。また、撮影するだけじゃなくて、その視点の映像をリアルタイムにタブレットで見ることができます。

この「KARAJAN 空ヤン!」があることで、観光客はより思い出に残る写真を撮影することができ、子どもたちはこの高い視点からの映像を見ることで「入ってはいけない場所」「登ってはいけない場所」よりももっと楽しい視点から街を見渡すことができます。

今週土曜日にはこちらのプロダクトも体験することができます。当日行かれる方は六本木をいつもより高い視点から楽しんでみてください。


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ということで、参加された皆様、「machi hack jam」2日目お疲れ様でした!

どのプロダクトもコンセプトがはっきりしていたのは、今回のワークショップが「街をハックする」というテーマに絞られていたこと、初日にフィールドワークやアイデアワークショップが実施されたことが要因だったのではないでしょうか。また、参加された方々のものづくり力や楽しむセンス、チームワークが光るワークショップだったように感じます。

これらのプロダクトの展示は9月24日(土)の11時から3時間程度です。お時間のある方は六本木カラヤン広場に行かれてみてはいかがでしょうか?

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チームAが秋祭りにUNDAWNを持って参加する様子
関連サイト
TechShop Japan

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望月 亮輔
望月 亮輔

1988年生まれ、静岡県出身。ロボスタ編集長・ロボットスタート株式会社取締役。2014年12月、ロボスタの前身であるロボット情報WEBマガジン「ロボットドットインフォ」を立ち上げ、翌2015年4月ロボットドットインフォ株式会社として法人化。その後、ロボットスタートに事業を売却し、同社内にて新たなロボットメディアの立ち上げに加わる。

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