大和ハウス工業(以下、大和ハウス)は12月11日に秋葉原で開催されたロボットパイオニアフォーラム#009において「大和ハウス『ロボット事業』の戦略概要」と題して講演を行った。
大和ハウスのロボット事業におけるミッション、日本の労働人口の推移など、今後のロボット市場の推測に参考になる話が解りやすく解説された。
大和ハウスは新規事業参入の際に指標にしている「あすふかけつの」というキーワードがと言う。「あ」安全・安心、「す」スピード・ストック、「ふ」福祉・医療、「か」環境・エネルギー等と続く。中でも「ふ」福祉・医療における「高齢化社会対応」がロボットと密接に関わっている。
日本の長期的な人口の推移を見てみると、明治維新後から2010年にかけて急激に人口が増加し、今後は1/3程度に急激に下降していくと予想されている。未曾有の人口の増減にどう対処していくかが社会的な課題だと言う。
更に、10年後は生産年齢人口が約600万人減、65歳以上の人口は約262万人増が予想されている。看護の職員は20万人が不足し、介護の職員は30万人が不足する深刻な状況に加えて、国内腰痛者の数は2,800万人にのぼると厚労省は見ていると言う。
そこで大和ハウスはロボット事業のミッションとして「健康寿命の延伸」と「一人あたりの労働生産性向上」をポイントに掲げた。具体的にはロボット技術を活用した医療・介護現場の身体負担の軽減、AIやロボット技術の住宅への活用などを上げた。
既に大和ハウスは約13種類のロボットを展開していて、主に生活や業務の中で自律支援や身体能力の補助を目指すもの。サイバーダインの「HAL」や、アザラシ型の癒しロボット「パロ」(認知症予防)などが有名だが、その他にも難聴者の聞こえを良くする「コミューン」、床下の点検を行うロボット「Moogle」(モーグル)等がある。
更に今後はパナソニック、セブンドリーマー、大和ハウスが設立した「セブン・ドリーマーズ・ランドロイド株式会社」を通じて展開する「ランドロイド」(洗濯物を自動でたたむロボット)のリリースにも注力。来年度末にも投入する計画をしている。現在はプロトタイプのため、1枚の衣類あたり、たたむのにまだ時間がかかってしまっているが、これをスピードアップするとともに、仕分け機能も追加していきたい考えだ。
今後はロボットを使い続けてもらうこと、リテラシーの向上が課題になるとのこと。顧客の声を製品にフィードバックして共同開発にも注力したいとしている。