【レビュー】すべてがIoTになる「MicroBot Push」を使ってみた
最近さまざまなIoT機器が増えてきているが、まだまだIoT化されていない生活家電は多い。また、備え付けの照明やキッチン家電など、備え付けの電化製品をIoT化したい、という要望もあるだろう。
そんなニーズにこたえる製品が韓国のスタートアップ、Naran社の「MicroBot Push」だ。今回は、MicroBot Pushの機能と使用感をお伝えする。
MicroBot Pushとは
「マイクロボットプッシュは、人の代わりに、ボタンを押してくれる指ロボットです。」とあるように、非常にシンプルな機能を持つロボットだ。
スイッチ付近に両面テープなどで固定することによって、Bluetooth接続したスマートフォン、もしくはNaran社が提供しているIoTハブ、Protaからスイッチを操作できるIoT家電になる。
シンプルな機能ながらもIFTTTと連携するなど、その汎用性の高さと拡張性を評価され歴史あるアメリカの民生機器展示会、CES(Consumer Electronics Show)にてCES INNOVATION AWARDSを獲得している。
なお、仕様は下記の通りだ。
商品名 | MicroBot Push |
---|---|
開発元 | Naran inc. |
商品重量 | 100g |
梱包サイズ | 12 x 8.2 x 5.2cm |
電池 | リチウムポリマー |
操作可能スイッチ | ロッカースイッチ、突出プッシュボタン、非突出プッシュボタン、トグルスイッチ、タクトスイッチ、タッチスクリーン |
通信方式 | Bluetooth Low Energy |
対応OS | iOS Android Prota |
トルク | 1.6kgf |
入力電圧、電流 | 5V / 1A |
取得認証 | CE,FCC,TELEC,KC |
入手法
amazonからプライムにて購入可能。IoT機器にありがちな並行輸入品ではないため、昨今報道されている不正アカウントなどが気になる方でも安心できるだろう。
今回購入した際には「8-14日以内に発送します」との表記があったが、在庫があったためか、翌日には着荷した。
開封の儀
ではさっそく開封してみよう。
同梱品は以下の通りだ。
・樹脂製スペーサーx3
・スポンジ両面テープx3
・USB端子(USB-A、micro-B)
・スイッチON-OFF用のピン
・スタートガイド
・保障などの注意書き
高さを合わせるための樹脂製のスペーサーは、取り付けの際に爪で強い力をかける場面がある。この方式だと、女性にはやや設置がむずかしいだろう。
非常に汎用性が高い部品なだけに、改善の余地を感じた。
設定
設定時に必要な情報が記載されているマニュアルや、スマホアプリのインストール画面は非常にシンプルでわかりやすい。しかし、設定に関しては説明が足りない点がいくつかあったので注意してほしい。
1.スマートフォンのBluetoothは必ずONに
基本的な指摘だが、MicroBot Pushの操作はBluetoothごしに行われる。そのため、かならず操作するスマートフォンはBluetoothをONにすること。
2.日本語サポートページの情報不足
今回、理由は不明だが、設定時にペアリング候補として表示されず、大いに弱った。
このような質問は、公式ページでサポート、コミュニティボードにて質問や投稿が可能だが、今回の不調に関しての情報は日本語ページには見つからず、英語のサポートQA
“I can’t scan my MicroBots”から、解決した。
リセットの仕方など、基本的な情報は日本語にも転記して欲しいものだ。(なお、電源をいったん切り、再度ONにした後、本体pushスイッチを10秒間おすとリセットされる。)
いったんペアリングさえできてしまえば、あまり難しいことはない。設定に使用する機能としては下記の3つだ。
押し込み量を変化させることができる。
・スイッチのモードの設定
ノーマル:スマートフォンをのボタンを押すと、ロッドが一瞬伸びたあと、縮む。
インバート(反転):通常時ロッドが伸び、スマートフォンのボタンを押すと一瞬縮む
トグル:スマートフォンのボタンが押される度にロッドが伸び停止。次回ボタンが押された際は縮んだ状態で停止。
・タイマー
動作する日時や、ロッドが伸びている秒数も設定可能だ。
なお、IoTハブであるProtaを購入すれば、IFTTT連携など、ネットサービスと連携した、IoTらしいサービスを構築することも可能だろう。
IoTらしさを求めるならば、直販サイトのプッシュスターターキット(MicroBot Push x 3台、Prota S x 1台)を購入してもよいかもしれない。
設置
今回は一般的な電灯のスイッチに設置してみた。設置しようとして気づくのは「どこに置こうとしても必ずはみ出す」ということだ。
日米の規格の違いかとも思ったが、公式動画でもはみ出していたので、モーターのパワーや基板サイズなどの問題なのかもしれない。
また、サイズだけでなく、パネルの取り付けネジも邪魔だったため、やや変則的ながら、部品を一部取り外して設置した。
もし経年で齟齬が出るようなら公式で推奨しているように樹脂粘土タイプの接着剤、 Sugruを利用してもよいかもしれないが、賃貸物件が多い日本の住宅事情で考えると、接着面はあくまで金属板の部分にとどめておいたほうがよさそうだ。
設置場所が決まったら、高さの吟味だ。
ストロークは最大でおおよそ20mmなので、ほとんどの機器のボタンを押すことは可能だろう。スペーサーの厚みは一枚3mm(付属は3枚)付属の両面テープが厚さ約1mm。
現物に合わせる際の参考になるだろうか。
設置後、キャリブレーション機能を使い、10%からロッドの伸びる長さを徐々に変えた。ロッドのストロークが長いため、10%でも意外なほど押し込み量が変わるので注意が必要だ。
また、こちらの動画のように、トグル機能を使うことで、ON-OFF切り替えができるのだが、その際にスイッチに貼付するマジックテープなどで厚みを調節するのが良いかもしれない。
最後に、ざっと実測した寸法図入りの写真を貼付しよう。
扱いやすい樹脂粘土タイプの接着剤Sugruなどを使用すればある程度の浮きに関しては対応できると思うので、IoT化したい電気機器につけられるか検討してみてはどうだろうか。
僕はこう思った。
非常に汎用的な用途を持つ、MicroBot Pushだが、注目した理由はひどく個人的なものだった。
自宅の電灯のスイッチが寝床から遠いうえに、足の踏み場がないほど部屋が荒れ果てているため消灯後に歩くとキケンだからだ。
さすがにここまで個人的だと当然自腹だ。
設置に関してあまりにも自己流だったため一抹の不安を感じないでもないが、今後も否応なく使い続けることになると思うので何かあった場合は続報をお伝えすることができるとおもう。