トヨタの研究所を中心に約16億円の資金調達をした高齢者向けロボット「ELLIQ(エリーキュー)」とは?

イスラエルの高齢者向けコンパニオン・ロボット開発会社「Intuition Robotics」は、トヨタの子会社で米国で人工知能等の研究開発を行う「Toyota Research Institute, Inc.(TRI)」などから約16億円の資金調達を行なったことを発表した。

同社は、高齢者の日々が楽しくなるような、家庭向けのロボットを開発している。独特な仕様をしており、これは同社が公開している映像を見るとこのロボットのことがよくわかる。

まずこのロボットの目的は、高齢者の方々を助けるのではなく、彼らの生活を豊かにすることにあるようだ。



ロボットの名前は「ELLIQ(エリーキュー)」、見た目は日本のロボットとは違い、人型をしていない。どちらかというとJibo社の「Jibo」や、Amazonの「Amazon Echo」などに近いコンセプトを感じる。しかし、その仕様はこれまで見たことがないオリジナリティ溢れるものだ。

このロボットは、本体とタブレットに分かれている。タブレットは市販品ではなく、ロボットと同時に充電台に置ける独自仕様のものだ。

ロボット本体は上下2つのパーツでできており、下のベースを軸にして回転をしたり、上のみが頷く動作を行うことができる。上下逆にした湯のみを二つ重ねたような形状だ。上の顔部分の働きをするパーツの中央にはライトが光り、これが生命らしさを与えている。動きがないAmazon EchoやGoogle Homeよりも生き物らしさを感じるのは確かだ。

また、このロボットは、現在欧米を中心にヒットしているスマートスピーカーと明らかに違うポイントがある。それは受動的ではなく能動的であることだ。Amazon Echoは現在のところ、人に積極的に話しかけるものでなはない。それの良し悪しは置いておいて、この「ELLIQ」は置いておくと積極的に話しかけてくる。「新しい写真が届いているから見る?」「今日は1時から予定があるよ」「ゲームでもする?」など、頻繁に話しかけてくるのが大きな特徴と言えるだろう。



おそらく若い人であれば、この頻繁に話しかけてくるロボットを置いておくのは耐えられないはずだ。しかし、一人暮らしの高齢者にとってはどうだろうか?



同社の示すデータによれば、75歳以上の約半数の女性は一人暮らしをしているのだという。このような一人暮らしをしている高齢者にとっては、話す機会が減っている分、構ってあげる必要がある存在がいることは面倒でもあり嬉しい存在とも言えるのかもしれない。話し相手がいないことは痴呆を加速させてしまうと言うが、そういった対策にももってこいと言えるだろう。

日本のコミュニケーションロボットの多くは、全方位に利用されることを狙ったものが多く見受けられる。その理由の一つは、外国語対応の手間を考え、日本国内の市場をメインのターゲットに据えている会社が多く、市場を極端に狭めたくないということもあるだろう。しかし、海外の会社、特に英語圏の会社は、常に世界の市場に目が向けられている。だからこそ、高齢者向けのコミュニケーションロボットという市場でも、大きな未来を描けるのだろう。

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ロボスタ編集部

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