強豪同士の対戦に会場が沸いたロボカップサッカー中型リーグ、ロボットのカメラが天井に向けて設置されている理由

ロボカップ2017名古屋世界大会が開幕し、30日(日)までの熱戦がはじまった。
ただ、読者の皆さんの中には「ロボカップってなに?」「どんな大会なの? どんな競技なの?」という方も多いと思う。
初めてロボカップ観戦に来た人は、会場のツアーなどに参加すると、詳しい人や大会の運営スタッフからロボカップ競技の種類やルールについての説明が受けられるので、競技の概要からある程度の詳細までク゜ッと理解しやすくなる。
とは言え「参加したいけれど、なかなか時間が合わない」といったこともあるだろう。
そこで、ロボスタ編集部も参加した「World Robotics x AI Seminar」の運営事務局である株式会社アールティによる「ロボカップ2017名古屋大会およびAmazon Robotics Challenge会場視察ツアー」からいくつかの競技を抜粋して紹介したい。

ロボカップと同時開催された「World Robotics x AI Seminar」運営事務局の中川氏。ツアーに参加すると、詳しい人や運営事務局等のスタッフの解説を聞くことができる

今日はまず「中型リーグ」から。

ツアーが到着したとき、中型リーグは日本の参加チームがロボットのセッティングを行っている最中だった。


ロボカップサッカー 中型リーグとは

ロボカップの競技の中でも、特に「スピード感」と「戦術」が楽しめるのはロボカップサッカーの「中型リーグ」と「小型リーグ」だろう。中型リーグは更に「迫力」もある。
ロボットはAIによって自律的に動作する。すなわち、競技中は人間がロボットを操縦するのではなく、ロボット自身が判断してサッカー競技を行う。
サッカーのフィールド(ピッチ)のサイズは12×18m。ロボットのサイズは52×52cmの大きさで、高さ82cm内に収まることがルールで決められている。各チームが開発したロボットを投入してくる。なお、1チームは5台、すなわち5対5のチーム競技で行われる。
ロボットにはバッテリー、カメラ、パソコン、センサーなどが搭載され、自律判断するための情報収集と情報処理を行っている。
その他、周囲の距離をはかるセンサーや自分が向いている方角を把握する磁気センサーを使っているチームもあると言う。

中型リーグのロボットの例。カメラはボディの上部に「上向き」に設置されている

人間のサッカーと異なるルールとしては、ペナルティエリア(ゴールエリア)内には10秒以上入っていてはいけない、1チーム2台までしか入ってはいけないといった、中型リーグならではのルールも設けられている。

メンテナンス中の様子を見ると、ロボットに接続されたノートパソコンでなにやら設定を行っている。設定が終わるとノートパソコンはロボットの中に仕舞われる。つまり、ノートパソコンそのものをロボットの中に搭載していて、設定の変更や調整を行う際はロボットから写真のようにノートパソコンを引っ張り出して作業するのだ。

ロボットの中からノートパソコンを出してセッティングを行う

試合前に各チームが細かな設定を行っているが、いったい何を慌ただしく設定しているのだろう。
その理由のひとつが「画像認識のカラー調整」だ。カメラから見える映像は、会場やライトの状況に影響を受ける。その影響を極力少なくするためにカラーの設定に調整を加える必要がある。


カメラは天井に向けて設置

ロボットのカメラは周囲360度、全方位を見ることができる。カメラはロボットの上部に上向き(天井に向けて)についている。そのカメラの先にはお椀型のミラーが設置されていて、ミラーに写った全方位の様子をカメラが映像として捉えたものがロボットの視界になっている。
中型リーグの移動には「オムニホイール」が使われている。3つのオムニホイールで構成され、前後左右、斜め、転回など、全方位に進行したり、向きを変えられるのが特徴的だ。
二足歩行ではなくホイール構造だからこその、スピード感と大迫力が最大の魅力だ。

キックはどのようにするのだろうか。
すべての競技ロボットにはボールを蹴り出すプレートのようなものが付いていて、それを押し出してボールを蹴るしくみだ。その際、ただ押し出すだけでなく、すくいあげるようにして曲線を描くループ状に蹴り出し、相手の頭上を越えたパスを通したり、ループシュートを放つことができる。
蹴り出すのにはバネ構造や空気圧を利用するもの、電磁力で押し出す機構(ソレノイド)のものなど様々だと言う。

また、特筆すべきはボールは人間が使うサッカーボールと同じサイズが採用されていること。
そのため、このリーグのロボットでは、やろうと思えば人間が一緒にサッカーをして楽しむことができる。実際に、ロボカップ終了後に優秀な成績を上げたロボカップ出場チームと人間で一緒にサッカーを楽しんだこともある。




実況アナウンスが入って誰でも試合を楽しめる

ここまで中型リーグのロボットの特長やルールを解説してきたが、下の動画を観てもらうと解るが、試合中は実況のアナウンスが入る場合がある。ルールの解説や技術的なしくみなども詳しく説明してくれるので、ロボットサッカー競技を誰でも観て楽しめるだろう。

本日は強豪同士の試合、昨年のロボカップの決勝戦の再戦が行われた。
ポルトガルの「CAMBADA」とオランダ「Tech United」の対戦だ。


前半はどちらもゴールを許さない接戦となったが、後半に連係プレイで1点をもぎ取った「Tech United」が勝利した。

なお、試合の結果は、大会期間中、毎日21時にロボカップ公式ホームページに掲載される。
https://www.robocup2017.org/results.html#live
ぜひ熱戦が繰り広げられる会場に足を運んで、目の前でロボットの進化を体感して欲しい。

■実況入り ロボスタ動画

ロボカップの様子はライブストリーミングで配信も行われている。
公式ホームページは下記のURLにて。
https://www.robocup2017.org/results.html#live

■ライブ配信された動画(5時間以上)

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ロボスタ編集部
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