ロボカップサッカー「小型リーグ」の魅力と人気の秘密、スピードと戦術連携を実現する「ビジョンシステムとAIコンピュータ」とは

ロボカップサッカー小型リーグは1チーム6台、合計12台のロボットで競技が行われる。
使われているボールはゴルフボールだ。


小型リーグの最大の魅力はスピード感と戦術。ロボカップのすべての競技を通じて、小型リーグのロボットは最も速く、機敏に動作する。基本的にはサッカーのルールなので解りやすく、戦術的に6台のロボットが連携して動くので、観客にもとても人気のあるリーグだ。


ロボットは4つの車輪を使って360度、全方向に移動することができる。ボールははじいて飛ばすが、ボールを浮かせるチップキックを使うチームもある。


小型リーグのビジョンシステム

各ロボットは人間が操縦しているのではなく、各チームのAIコンピュータによって動作している。
小型リーグの最大の特長は「ビジョンシステム」を使っていることで、ビジョンシステムと各チームのAIコンピュータが通信することでロボットの動作が成立する。

そのしくみはこうだ。
まず、ピッチの上に設置された4台のカメラがフィールドの映像をレフェリー(運営)のビジョンシステム(コンピュータ)に送る。

フィールド上に設置されたカメラ

カメラが捉えるのは1秒間に60フレームの動画像。ビジョンシステムはこの動画を解析してすべてのロボットの位置と向きを認識する。その情報が両チームのAIコンピュータに送られ、自チームのロボットに対して個々に指令が瞬時に送られる。

ビジョンシステムの画面。カメラが捉えた画像を確認できる

マーカーを解析すると、どのチームのロボットがどこに、どの方向を向いているのかがわかる

では、ビジョンシステムはどうやって個々のロボットを識別し、それぞれの位置を解析しているのだろうか。

それはロボットの上に貼られたマーカーで判別している。チームごとに中心に貼るマーカーの色が異なる(黄色か青)。中心のマーカーを取り囲むように4つのマーカーが貼られているが、ピンクとグリーンの組み合わせがそれぞれ異なっていて、これが背番号の役割をするとともに、ロボットの向きも識別するしくみだ。

ロボットの上部にはチームを識別するためのマーカーと、背番号の役目をするマーカーが貼られていて、それでロボットの向きもわかる

その他、ペナルティエリアに入れるのはゴールキーパーだけ、同じロボットが二度続けてボールに触ってはいけない(ダブルタッチ)など、小型リーグならでのルールがある。

すべての試合ではないが、競技には実況が入ってルールや技術的な解説をしてくれるので、初めてロボカップサッカーを見る人にも解りやすい。それも小型リーグの観客が多い理由のひとつだろう。

試合が終われば両チームが集まって記念撮影。そんな光景が見られることも

スピード感があって、ルールがわかりやすく、ロボットサッカーの戦術面が楽しめるロボカップ小型リーグは初心者にもお勧め。ロボカップ会場に来たら、ぜひフィールドに足を運んで欲しい。

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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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