日立オートモティブシステムズ、一般道にて自動運転の走行実証試験を実施!対向車や歩行者の検知などを検証

日立オートモティブシステムズ株式会社は、茨城県ひたちなか市の一般道において、自動運転の実現に向けた走行実証試験を2018年2月5日(月)から16日(金)にかけて実施する。

同走行実証試験は、茨城県が実施する「いばらきロボット実証試験・実用化支援事業」の一つとして茨城県の支援のもとに行うもので、同社として初となる一般道での走行実証試験だ。なお、本走行実証試験は、安全の都合上、非公開での実施となる。


同社は自動運転技術の開発に積極的だ。また、実際の市販車への技術の採用導入も進んでいる。

新型「日産リーフ」には、高速道路における渋滞走行と長時間の巡航走行の2つのシーンで、アクセル、ブレーキ、ステアリングのすべてを自動的に制御し、ドライバーをサポートする高速道路同一車線自動運転技術「プロパイロット」が装備されている。また、アクセル、ブレーキ、ハンドル、シフト、パーキングブレーキまで、駐車操作のすべてを自動制御する国産車初の本格的自動駐車システム「プロパイロット パーキング」も採用されている。

同社はそれらの機能をADAS ECUで支援している。
ADASとはAdvanced Driver Assistance Systemの略で「先進運転支援システム」の意。
ECUはElectronic Control Unitの略で「電子制御ユニット」を意味する。
ADAS ECUは、ACC(Adaptive Cruise Control:車間距離制御)システムや衝突被害軽減ブレーキシステム、車線逸脱警報システムなど、複数の運転支援システムを単一のコントローラーに統合したもの。「プロパイロット」搭載車種へのADAS ECUの採用実績としては、2016年8月にフルモデルチェンジした 「セレナ」、2017年6月にマイナーチェンジした「エクストレイル」などがある。

日産の新型リーフとADAS ECUユニット(右)。(大きさは実物比率ではない)


過去の実証実験について

これまでも同社は、車載音響機器メーカーであるクラリオン株式会社(日立グループ)とともに、茨城県の支援のもと、ひたちなか市の高速道での走行実証試験(2016年2月)や、ひたちなか市にある自動車安全運転センター 安全運転中央研修所の模擬市街路における、一般道での自動運転を想定した走行実証試験(2016年12月~2017年3月)を行うなど、自動運転の実現に向けた実証試験を重ねている。

これらの実証試験では、複数のセンサーを統合し自動走行に必要となる高度な認識性能を実現するセンサーフュージョン機能について、一般道における課題の抽出を行った結果、一般道は高速道と違い、対向車や歩行者、自転車、また、さまざまな形状の交差点の走行など、複雑な周辺環境でも正確に検知対象を認識する点や、特に交差点の場合では、低速で大きく旋回しながら的確に検知対象を認識する点で課題があることが判明した。

【模擬市街路にて行われた実験】一般道における「交差点左折時の先行車と横断中の自転車・歩行者の検知、認識」「交差点右折時の先行車と横断中の自転車・歩行者の検知、認識」「交差点通過時の通過または右折待ちをしている対向車、横切り車両、自転車・歩行者の検知、認識」「一般道走行時の路肩停止車両や低速走行車、および自転車・歩行者の検知、認識と回避走行」などの4件のユースケースを想定。




一般道での検証内容

今回の実験では、過去の検証で判明した課題に対し、車両に設置するセンサーの数や構成、配置の見直しにより、センサーフュージョン機能を拡張することで、一般道における自動運転に必要となる検知対象の的確な認識ができることを検証。さらに、車両の正確な自車位置について、地図情報と地図ユニットから出力される自車位置情報を用いて、一般道における自動走行に必要なレベルで把握できることも検証予定だ。


同社は、今後も走行実証試験などによる評価検証を重ねるとともに、高度な自動運転を実現する各種センサー技術の開発を加速し、自動車メーカーによる自動運転車両の早期実現に貢献すると述べている。

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ロボスタ編集部

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