【ロボコレ2018】衣装から始まるロボットの新たな文化! トークセッションレポート
先日お届けした、10種類のロボットのファッションショー「ロボコレ」。ロボットと人間が一緒にランウェイを歩くこのイベントは、ロボスタを始め各種のメディアでも大きく取り上げられ、注目のイベントとなりました。
そんな同イベントの後半には2つのトークセッションが開催されました。どうしてロボットの衣装ができたのか、そしてこれからどのような未来に繋がっていくのか、興味深いトークセッションの模様をお届けします。
片っ端からSNSを使って連絡を取りました
トークセッションの第1部は「ロボット用アパレルブランド・ロボユニ誕生の話」と題して、セッションが始まりました。
登壇したのはロボユニの開発責任者でありRocket Road代表の泉さん、日本デジタルゲーム学会理事でAI開発者の三宅さん、元みずほ銀行の井原さん、そしてロボットスタート副社長の北構の4名。進行はファッションショー同様、HEART CATHCの西村真理子さんと東京カルチャーカルチャーの河原あずさんです。
まずはどのように登壇した3名に泉さんがアプローチしたかについて。
河原さん
泉さんは元々アパレルメーカーで、そこからロボットの服を作ろうと思い立ったんですよね。その後どうしたんです?
泉さん
片っ端からロボット業界の人にSNSを使って「会ってもらえませんか?」とアクセスしました。
河原さん
最初詐欺だとか思いませんでした?
北構
うちには問い合わせメールが来たんです。『福岡のユニフォームメーカーです。ロボットのユニフォームを考えているけど、一度お話聞いてもらえませんか?』って内容だったんです。うーんと思ったんですけど、一回お会いしてみようと思い、東京にいらした際にオフィスに来てもらったというのが泉さんとの出会いです。
泉さん
まだロボユニのアイデアがない時点で、人間のユニフォームにコンピューターチップを入れるハイテクユニフフォームというのが有るのではと思ったんです。テクノロジーのことを知らないといけないと思って本屋さんやネットで調べていたら、AIについて分かりやすく書いてある記事の色々なところに『三宅陽一郎』という名前が書いてあったんです。「この人スゴイな、テクノロジーに強くない人にもわかりやすく書かれている」と思って、是非お話したいと思ったんです。
三宅さん
最初はロボットの話はしなかったんです。ホテルのユニフォームのカタログを渡してもらって、ゲーム会社なので背広さえ着ないんですけど、うちもユニフォーム導入すべきなのかなって?(笑) ユニフォームにも興味があったので、ユニフォームの話をしようかなと思ったんですけど、お会いした際にガチで人工知能の話をしたんです。
河原さん
その後、どうして金融マンのところに?
井原さん
泉さんと北構さんが、「こういうものを作っている」って聞いたのでお越しいただいたんです。僕はその時新規事業を担当していて、Pepperを導入して接客として使っていたのですが、実際に服を着せてみたらどうなるかと3人で話をしました。その前からPepperに非公式で服を着せていた人がいたんです。でも、しっかりと採寸したものをPepperに自ら着せると「あぁ人間だな」って鳥肌がたったんです。子供に服を着せるのと同じ感覚で、直感で面白いと思ったんです。
いきなりのドアノックから始まったロボユニのプロジェクト。もちろん、アプローチした先は無視されるのがほとんどで、「必要なんですか?」って声をかけられたこともあったとのことです。
服を着たロボットの可能性
話題が変わり、服を着たロボットの可能性について。
西村さん
服を着たロボットの可能性について、お三方に聞きたいのですが?
三宅さん
大事なのはユーザーにこのキャラクターが知能を持っていると思わせること。で、ロボットのユニフォームを作っているの見せてもらった時『コロンブスの卵』だと思ったんです。Pepperが制服を着ていると、彼自信が人間社会に属そうという意志があるように見える。
人工知能学者は、とりあえず知能を賢くして人間に近くなろうとするのですが、服を着せただけで人間社会に溶け込んでないかって? 50年間人工知能の研究がされているけど、結局服を着せれば結構解決しているんじゃないかって。それはスゴイ発見でした。
北構
一番最初に泉さんからお話を聞いて、試作品が出来ましたということで井原さんのところに持っていって、初めてPepperに着せた瞬間、あまりにフィットして、僕ら3人鳥肌が立つようでした。歴史的瞬間を見ちゃったねと盛り上がったんです。
河原さん
最初に導入されたのがみずほ銀行さん?
井原さん
そうですね。みずほ銀行では宝くじを売っているので。ロボットに何をやらせようかと明確にして、Pepperに服を着させて宝くじを販売させたんです。すると、お客さんの食いつきもすごくて、宝くじの売上も上がったりしました。
三宅さん
ロボットが服を着るというのは、ロボットに文化を与えたってことなんですよね。服を着ることで文化を獲得した。ロボットファッションという文化が開かれたんです。ロボットが文化を持つということの最初の試験じゃないかと。これからそういったロボットの文化が花開くのを期待しています。