アクセンチュアが唱える「ヒューマン+マシン」AIが働く職場のための8つの融合スキル、人工知能や機械と協働するためのポイント

アクセンチュアは12月12日、「人間と人工知能(AI)の協働」をテーマにした記者説明会を開催した。書籍「HUMAN+MACHINE 人間+マシン」の出版に伴うもので、アクセンチュアのCTOで著者のひとりポール・ドーアティ氏が「人間が人工知能や機械と協働するために重要なポイント」などを解説した。

アクセンチュア 最高技術責任者(CTO)兼最高イノベーション責任者(CIO) ポール・ドーアティ氏


人間とAIの協働に必要な3つのポイント

ドーアティ氏は「AIは今までの機械やコンピュータとは異なる新たな技術であり、人間とAIは協働していく必要がある」とした。そして、現在はAIに対して多くの人が3つの誤解を持っていて、その誤解は改めるべきであり、3つのポイントとして、ビジネスそのものを人間とAIの協働に合わせて「再構築」すること、「新たなアプローチで仕事に臨む」ことをあげた。


その上で人間と機械の関係を進化させる「知の連携」の必要性を説き、そこにはなかなか気付きにくい「ミッシングミドル」が存在しているとした。


「ミッシングミドル」とは、人間と機械がそれぞれ得意とする領域で協力することを意味する。いわば人間が得意なところも含めてすべてをAIやロボット化しようとしたところで失敗するのは明らかであり、機械が得意なところを伸ばすことがこれからの人間の役割であり、協働する社会ということ。その意味でも業務内容を一から見直し、人間がどこを担い、機械による自動化や超領域としてどこを任せるかを再構築する必要がある。

3つめのポイントとして「責任あるAI」を上げた。説明責任、透明性、正直さ、公平さ、人間中心という観点から、責任と倫理観を再確認する必要性を話した。

AI時代の8つの融合スキル

著書「HUMAN+MACHINE 人間+マシン」には、「AI時代の8つの融合スキル」が副題として付けられている。
この「人間とマシンのコラボレーションを発展させ、AIが働く職場のための新しい融合スキルとは下記の8つだ。

1. 人間性回復スキル ― 仕事に人間らしさを取り戻す力
2. 定着化遂行スキル ― 人間とマシンの共存を日常化する力
3. 判断プロセス統合スキル ― マシンの力を借りて判断する力
4. 合理的質問スキル ― マシンから必要な情報を引き出す力
5. ボットを利用した能力拡張スキル ― ボットを使いこなす能
6. 身体的かつ精神的融合スキル ― 心身ともにマシンと融合する力
7. 相互学習スキル ― マシンに教え、マシンから学ぶ力
8. 継続的再設計スキル ― マシンとともに変わり続ける力

著書にはそれぞれの定義と解説が書かれている。


日本と日本企業が取り組みべきこと

後半は、お馴染みアクセンチュアの保科氏が登壇した。保科氏はこの書籍を監修するとともに、「日本と日本企業が取り組みべきこと」を書籍の末尾に加筆している。

アクセンチュア株式会社 アプライド・インテリジェンス日本統括 および アクセンチュア・イノベーション・ハブ東京 共同統括マネジング・ディレクター 保科学世氏

保科氏は日本企業はAIとの協働に向けた労働者の意識改革とその行動が世界的に見ると大きく遅れていること、AIに対する労働者の不安が特出していることなどを解説した。

諸外国と比較し、労働者の意識改革とその行動に遅れが見られる日本

日本はAIに対する労働者の不安も特出

保科氏は、少子高齢化、労働力不足によって、日本は諸外国と比較してGVP成長率が低くなるが、AIやロボットで労働力不足を補えば、それだけそれら技術を導入した効果は大きいと分析している。


AI時代における商社の5つの重要な原則

もっとも興味深かったのは「AI時代における勝者の5つの重要な原則」だ。「ミッシングミドル」における業務プロセスを再設計するための5つの要素として「MELDS」という造語を掲げた。マインドセット、実験(エクスペリメント)、リーダーシップ、データ、スキルの頭文字をとったものだ。


この5要素についても著書内で詳しく解説している。

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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