未来の最先端スマート治療室「SCOT」がイノベーション大賞「厚生労働大臣賞」を受賞!東京女子医科大、デンソー、日立製作所ら

東京女子医科大学、デンソー、日立製作所が、研究開発しているスマート治療室「SCOT」が、内閣府「第1回日本オープンイノベーション大賞 厚生労働大臣賞」を受賞した。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)プロジェクトのもとで開発しているもの。

スマート治療室とは

手術室等の現場では多種多様な医療機器・設備から発生する膨大な情報を医師やスタッフが限られた時間内に判断しつつ治療を行っている。スマート治療室は、IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者さんの状況を統合把握することにより、手術の精度と安全性を向上させる最先端の治療室。


スマート治療室「SCOT」(スコット)は、Smart Cyber Operating Theaterの略で、手術の内容が映像で記録されるほか、手術をナビゲーションするしくみや高精度な手術に必要な情報や画像の提供、手術中でもMRIを撮影して患部の確認を適宜行うなど、効率的で正確な手術が可能になる。

写真は2018年7月に報道向けに公開されたもの(冒頭の写真含む)
【スマート治療室「SCOT」開発の概要】
従来の手術室の役割は滅菌環境の提供であり、多数の機器はスタンドアロンで運用されていたが、治療効果向上とリスク低減を両立するため、治療空間自体が一体のシステムとなるスマート治療室「SCOT」をAMED 支援のもと、5大学11企業の連携による開発に取り組む。これまでに機器をパッケージ化した基本版(広島大学)で手術を30 例、開発したミドルウェア(OPeLiNK)によりネットワーク化した標準版(信州大学)で手術を4 例施行した。
2018 年度中に高機能版(東京女子医科大学)を導入予定。OPeLiNKを使用することにより、各機器の出力データをミドルウェアで「標準化」し、常に同じフォーマットのデータをデバイス非依存で提供することができる。本技術開発により、世界の健康医療に貢献し、Society5.0 を実現する相互運用性の高い医療情報基盤を構築する。


信州大学医学部附属病院のスマート治療室

同治療室は、2018年3月、信州大学医学部附属病院にOPeLiNKを備えた「スタンダードモデル」手術室が信州大学病院の包括先進医療棟内に完成し、7月から脳腫瘍に関する臨床研究を開始し、情報統合による手術の効率性・安全性等の実証も行っている。


OPeLiNKは、国内外の産業界で普及しているミドルウエアORiNをコア技術とした汎用性の高い治療室用インターフェースをデンソーが中心となって開発し、日立製作所のオープンMRI等の手術室内医療機器・設備を接続している。

「スタンダードモデル」は2019年度内の事業化を目指しており、スマート治療室の輸出等を通して日本の新たな産業基盤となることが期待されている。また、昨年の末には臨床研究可能な「ハイパーモデル」が東京女子医科大学に設置され、ロボットベッド、新規精密誘導治療等の新しい技術が2020年度以降にリリースされる。


日本オープンイノベーション大賞とは

イノベーションの創出を巡る国際的な競争が激化する中で、研究開発等の成果を迅速に社会実装し、社会的ニーズの解決や新たな価値の創造につなげるには、組織の壁を超えて知識や技術、経営資源を組み合わせて新しい取組を推進するオープンイノベーションが重要視されている。我が国のオープンイノベーションを推進するため、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取組に対して表彰するため「日本オープンイノベーション大賞」が新設された。

【今回の表彰内容】
受賞案件名:医療のIoT 化を実現するスマート治療室「SCOT®」の開発
■受賞者
村垣善浩(東京女子医科大学先端生命医科学研究所 教授)
岡本淳 (東京女子医科大学先端生命医科学研究所 特任講師)
正宗賢 (東京女子医科大学先端生命医科学研究所 教授)
奥田英樹((株)デンソー 社会ソリューション事業推進部メディカル事業室 室長)
中西彰 ((株)日立製作所 ヘルスケアビジネスユニット外科治療ソリューション本部 本部長)
(敬称略)
【スマート治療室プロジェクト参画の大学と企業一覧】
東京女子医科大学、広島大学、信州大学、東北大学、鳥取大学
デンソー、日立製作所、日本光電、ミズホ、パイオニア、キヤノンメディカルシステムズ、セントラルユニ、エア・ウォーター、グリーンホスピタルサプライ、エア・ウォーター防災、SOLIZE

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