日本気象協会とSpecteeは、SNSや天気カメラなどの映像から天候の状況をAIが解析し、その結果を防災情報としてリアルタイムに提供するシステムを共同開発することを発表した。
人の目で判断、からAIによる判断へ
雨か雪か、路面は凍っているのか、吹雪が発生しているか・・・
例えば、雪害。雪害に関わる事象の判別や計測は様々であり、単なる「雨雪判別」に限らず「降雪の強さ」や「積雪の深さ」も重要だ。道路交通に目を向ければ、降雪現象だけでなく「路面状態」の判別が極めて大切な情報になる。さらに、自動運転の将来的な実運用が始まることを考えると、道路の雪氷管理の重要性が増し、「路面状態」の詳細な把握が欠かせなくなると考えられる。
一方、北海道のように特に寒冷な地域では、ホワイトアウトに伴う吹雪災害や多重衝突事故がたびたび発生し、「地吹雪の発生」や「視程」といった情報が不可欠だと言う。札幌市のような寒冷地の都市部では、雪道での転倒事故による救急搬送が年々増加していることから、「歩道の滑りやすさ」といった情報も必要だ。
冬期の道路や、生活に影響の大きい事象の判別をするための量的情報はこれまで、人の目の判断に頼らざるを得なかったり、高額な計測機器が必要だったりしていた。今回の共同開発を通じ両社は、映像からのAI解析による「雨雪判別」「積雪状態」「路面状態」「吹雪発生」「視程」などの情報を取得する技術を開発していく。
共同開発では、まず冬季の防災情報に着目し、以下の事象への映像解析技術の開発が行なわれる。
・雨雪判別(雨が降っているのか、雪が降っているのか)
・降雪の強さ(降雪量)
・積雪の深さ
・道路の路面状態(乾燥、湿潤、シャーベット、凍結、積雪などの判別)
・地吹雪の発生判別(ホワイトアウトの発生)
・降雪、吹雪、地吹雪に伴う視程(ホワイトアウトの程度)
・歩道の滑りやすさ
AI技術による映像からの事象判別または計測が確立されれば、リアルタイムでの防災情報の提供に限らず、実況値のデータ量が飛躍的に増大する。そして、さまざまな実況地を多数取得・蓄積することで、予測技術の開発も進むことが期待できる。
また、映像のAI解析を通じ得られた防災情報は、道路管理者や自治体など、防災支援情報を欲する事業体に提供される。日本気象協会とスペクティはこの技術開発を通じて、道路管理者や自治体などへの防災支援情報の高度化を目指す。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。