NTTドコモとToMMo(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)は、妊婦の病気の予兆を示すライフログや体内物質の変動パターンが明らかになったと発表した。
両社が行っている共同研究では、妊娠期間中に発症する特有の病気(妊娠高血圧症候群・早産・妊娠糖尿病など)の予兆を捉え、早期発見によって症状を軽減したり、予防する方法を探っている。これらの病気の多くは「遺伝的な要因」と「環境からの要因」が複合的に相互作用して発症すると考えられ、日々の「環境要因の変化」を連続的に把握することが重要としている。しかし、これまで行われてきた調査票等による環境情報の取得は、半年に1回程度の自己回答方式によるため、取得頻度と精度に限界があった。
そこで、研究では、体内物質(DNA、RNA、代謝物など)と日々のライフログ(血圧、脈拍、体重、体温、活動量、睡眠、食事など)を組合せた、統合的なデータ解析を行っている。
研究は、2014年から開始され2016年11月に妊婦の募集が完了した。参加者からは、妊娠初期から産後1か月まで定期的に血液・尿・歯科検体などの試料を提供してもらい、さらに、ドコモが同研究向けに開発したスマートフォン用アプリ等を使用して血圧や体調などのライフログを登録。これにより、最終的なデータは約600万件、血液・尿・歯科検体などの試料は約8,000本にも及んだ。
これらのデータを共同で詳細なデータ化を行い、妊婦の生活習慣や体調変化などを統合的に捉えたデータ基盤を構築。これを、ドコモがこれまで培ってきたビッグデータ解析技術および機械学習などのAI技術と、ToMMoのゲノム情報等解析技術と生命情報科学技術を組み合わせたデータ解析を進めることで、次のことが明らかとなった。
・妊婦の病気の予兆を示すライフログと、特定の体内物質(血液や尿)の変動パターンが、病気を発症しなかった妊婦と発症した妊婦との間で、大きく異なっていた。
・分娩日が近づくにつれて、血液中や尿中に含まれる特定の代謝物濃度に特徴的な変動がある。
・妊婦の特定の遺伝子に変異があると、産まれてくる赤ちゃんの出生体重が低くなる。
これらの成果は、AIで予測・捉えることで発症リスクが高い妊婦への生活習慣の改善提案や、産科医などによる早期診療に活用することができ、病気の発症を未然に防ぐ個別化予防・医療の実現に繋がると期待される。
同共同研究は2019年3月31日で終了になるが、ToMMoは、研究で培ったノウハウやデータを幅広く社会に発信すると共に、個別化予防・医療の実現のための基盤開発および解析をさらに進めていき、ドコモは、研究成果のさらなる検証と実用化に取り組む、としている。
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山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。