「渋谷PARCO」がロボットやサイネージ等を導入 次世代型商業施設として11/22にグランドオープン 先進技術をまとめて紹介

株式会社パルコは、2019年11月22日(金)に「渋谷PARCO」をグランドオープンすることを発表した。渋谷PARCOは、世界へ発信する唯一無二の「次世代型商業施設」の実現に向けてニーズを満たすのではなく、ニーズを創造し、新しい消費体験・価値観を提供していく。PARCOの営業時間は物販・サービスが10時〜21時まで。飲食店が11時〜23時30分まで。店舗数は192店舗となる。

1.オフラインとオンラインが融合した売り場を提案

リアルな売場を持つ商業施設としての、今後の方向性を提案していく売場として、「PARCO CUBE(パルコ キューブ)」を5Fで展開。店頭の実在庫は戦略商品に絞り込み、その他の商品はパルコEC(PARCO ONLINE STORE)で販売する。


出店する11店舗は従来20坪相当の売場を半分の面積で展開(ショップの内装はパルコが独自開発)

利用者は、エスカレーターサイドに配置された大型サイネージや、ショップ内のサイネージ・タブレット端末からEC在庫をストレスなく検索することができる。


共用部大型サイネージ 縦型75インチモニター×4台

大型サイネージやショップ内のサイネージ・タブレットで気に入った商品が見つかった場合は、サイネージのQRコードを利用者がスマートフォンで読み込んでWEBサイトを開き、商品の「カートへ入れる」をタップすることで、カートに商品が転送され、PARCO ONLINE STOREで購入することができる。


ECサイト「PARCO ONLINE STORE」 イメージ


2.オープン時から9種の電子マネーを利用可能

渋谷PARCOでは、オープンより複数のキャシュレス決済(クレジットカード・コード決済・電子マネー決済等)を利用することができる。コード決済で利用できるのは、「Alipay」「WeChat Pay」「Origami Pay」「PayPay」「LINE Pay」「メルペイ」「楽天ペイ(アプリ決済)」「au PAY」「d払い」の10種類。なお「d払い」は12月に導入予定。導入はコード決済ゲートウェイサービスを活用し、ショップでは一つのアプリですべてのコードを読取り、ゲートウェイ側で決済ブランドを判別することでオペレーションを簡素化する。



また、ハウスカードであるPARCOカードの新規申込み時には、スマートフォンアプリ「POCKET PARCO」のPARCOポイントマイページ内で、QRコード決済「ポケパル払い」が申込みした当日から利用できる。利用金額・ランクに応じて、PARCOポイントが貯まっていく仕組みだ。(一部には利用できないショップもある)


3.「POCKET PARCO」ユーザー向けに電子レシートサービスを展開

一部のショップでは、パルコ公式アプリ「POCKET PARCO」ユーザー向けに「電子レシート」サービスの提供を開始する。「POCKET PARCO」ユーザーは、バーコードをレジでスキャンするだけで、アプリ内でお買い物をしたレシートを確認でき、集計を行うこともできる。


東芝テックの「スマートレシートサービス」を活用

また今後は、アプリの利用データやお買い物履歴、電子レシートによる商品データをAIが分析・学習を行うことで、ユーザー個々の志向を把握し、傾向を推定。「POCKET PARCO」ユーザーに対して、来店前・来店中・来店後の最適なタイミングで、マッチするショップや商品・サービス・コンテンツ等の情報を配信し、最適な出会いを提供する仕組みを開発・リリースしていく予定。


4.「temi」を試験導入 12月には実証実験も実施

hapi-robo st(ハピロボ)が11月1日から国内発売する、パーソナルアシスタントロボット「temi(テミ)」の利用者の案内を目的とした試験導入が予定されている。temiはスマートスピーカーと同様の「対話型・音声操作」に対応したAIアシスタント機能を実装したロボット。遠隔操作機能により、自らがあたかもそこにいるように自宅や職場を自由に移動したり、そこにいる人との会話を行うことができる。



まず「temi」は、国内外メーカーのデジタル機器や家電などの試作品を展示する、AIショールーミングストア「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」で取り扱う。同ストアは、パルコと国内クラウドファンディング最大手のキャンプファイヤーが共同運営する。


その後、館内を回遊する「temi」が利用者の問い合わせに対応するサービスの実証実験を12月より実施する予定。問い合わせは、離れた場所で操作しているインフォメーションスタッフが対応する。これによりユーザーは、インフォメーションカウンターまで行かなくても疑問を解消でき、インフォメーションスタッフは他の業務と並行してニーズがある時だけ接客する事ができる。上記音声インフォメーションシステムと共に接客ロスを減らし、快適な商環境の構築を目指す。


5.インバウンドにはAIを活用したシステムを導入

インバウンドには、日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・タイ語に対応した、音声とディスプレイによる店頭インフォメーションシステムを導入する。システムはAIを活用して音声を認識・翻訳し、問い合わせに対する回答をディスプレイに表示。探しているものが明確な場合、例えば「ATMはどこですか?」「パスタが食べたい!」と話しかければ、該当店舗・施設等を表示・案内してくれる。「5階には何があるんだろう?」「レディスのファッションはどんなショップがあるのかな?」等目的が漠然としている場合は、画面をタッチして探すことが可能。


画面デザインは現在、開発中

訪日外国人の利用者が有人のインフォメーションカウンターまで移動する手間を省き、言葉の障壁で不便を感じることが無いよう、館内7カ所に設置される。


外国人の利用者は決済に、クレジットカードでの多通貨決済(DCC)と、免税自動化アプリ「スマートデタックス」を利用することができる。DCCは海外のお客がクレジットカードで決済される際、日本円ではなく自国通貨での決済が可能となるシステム。日本円決済の場合、カード会社から明細が届くまで自国通貨での請求金額が分からないが、多通貨決済の場合、会計時に自国通貨での請求金額が分かるので、安心して買い物することができる。


多通貨決済(DCC)のイメージ NTTデータから引用

「スマートデタックス」は、スマートフォンもしくはタブレット端末のアプリで、お客のパスポートを読み取るだけで、免税書類を自動作成してくれるシステム。従来の手書きや専用システムによる書類作成に比べ、処理時間やレジ周りのスペースを大幅に省力化でき、お客とショップスタッフの手続きによるストレスを軽減できる。その他、渋谷PARCOでは様々なデジタルソリューションを駆使して、訪日外国人のユーザーに快適な買い物を楽しんでもらえるよう努めていく。


6.省CO2先導型として国土交通省より採択

渋谷PARCOは「屋上広場・立体街路など魅力的な屋外空間の創出」、「ガスコージェネレーションシステムを中心とした高効率エネルギーシステムの導入」、「デジタルコミュニケーションによるエネルギーの効率的利用促進」等の取組みが評価され「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」として国土交通省より採択されている。その取組みの一環として、「外部環境の快適度」や、「ビルのエネルギー利用状況」を見える化した、渋谷PARCOの「今」がわかるコンテンツをデジタルサイネージで発信する事により、地上1階から屋上広場までつながる立体街路(SPIRAL WALK)や屋外広場の活性化と、ビル全体のエネルギーの効率的な運用を促進する。


画像はイメージ


7.XRテクノロジーによる仮想空間演出

ARを活用したデジタルアートによる環境演出をはじめ、ART/CULTURE/FASHIONを立体映像として発信する体験型メディア装置としてXRを活用する。コンピューターで制作した3Dクリエイティブコンテンツを、スマートフォンやAR対応グラスを通して、あたかもその場に存在するかのように展示するバーチャルショーケースを展開。


「SHIBUYA XR SHOWCASE」 展示作品「World’s end supernova / Discont」 イメージ(5階に展示予定)

現在、世界的にAR端末の開発が加速度的に進んでおり、近い将来AR端末は静止画・動画に代わる3次元映像を閲覧するためのメディアツールとして、一般に広く普及されることが予想されている。この技術活用の第1歩として、渋谷PARCOでは3Dクリエイティブコンテンツの鑑賞サービスを常設展開する。


8.テナントショップの運営をサポート マッチングサービス「MESHWell」を導入

テナント向けサービスとして株式会社メッシュウェルとパートナーを組み、同社が運営するファッション販売員マッチングサービス「MESHWell」を導入する。「MESHWell」は、スキマ時間で効率的に働きたい元販売員と、繁忙時間に接客力を高めたい、或いは人材不足に悩む店舗を手軽にマッチングする新しいサービス。販売力を強化したいテナントニーズを充足する販売支援メニューとして提供する。


MESHWell イメージ 公式サイトから引用

渋谷PARCOは11月22日(金)にグランドオープン。営業時間は物販・サービスが10時〜21時。飲食店が11時〜23時30分まで。店舗数は192店舗となる。




関連サイト
渋谷パルコ

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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