誰でもaiboの動きを自由にプログラミングできるように aibo APIが一般公開

ソニー株式会社は、2019年11月11日15時ごろから自律型エンタテインメントロボット「aibo(アイボ)」のソフトウェアAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を一般公開する。ライセンスプログラム「aiboデベロッパープログラム」を通じて実施されるもので、aibo所有者が対象。インターネット環境があれば無償で利用できる。合わせて初心者向けツール「aiboビジュアルプログラミング」も公開され、誰でも簡単にドラッグ&ドロップでオリジナルの動きをプログラミングできるようになる。自社システムと連携させることで受付サービスなどの実装も可能。ソニーはこのAPI公開を通じて企業や団体、教育機関、個人を含む様々な商品・サービス等との連携を推進する。

aibo API活用案

合わせて、渋谷モディ(東京都渋谷区神南1-21-3 )1階の「ソニースクエア渋谷プロジェクト」では、いち早く aibo のオリジナルの動きが体験できる新プログラム「Shibuya Town with aibo 〜自由にプログラミング編」を11月11日から実施する。イラストレーターSTOMACHACHE.(ストマックエイク)によって描かれたイラストを使った渋谷の街の模型の中で、aiboに自由な動きをさせることができる。

aiboがイラストを使った渋谷の街の模型の中で歩き回る

「Shibuya Town with aibo 〜自由にプログラミング編」は、aiboと触れ合い、aiboと協力することでパートナーとして共に成長していく過程を体験できるコンテンツ「Shibuya Town with aibo」の第二弾となる。ちなみに第一弾は2019年3月からソニーが提供している「aiboのおまわりさん」をaiboと一緒に遊びながら体験できる企画「Shibuya Town with aibo 〜いっしょにパトロール編〜」だった。今回は、aiboにはモデル風のウォーキングや、ストリートパフォーマンス風の動きをさせたり、自由に動かすこともできる。オリジナルの動きをするaiboの写真をSNSに投稿するとオリジナルステッカーがもらえる。


「aiboのふるまいウォール」ではAPI公開時のふるまいの中から、「くしゃみをする 」「あくびをする」など、動きに特徴のあるふるまいを約 60種類ピックアップし、映像化 。タブレットで壁一面に表示する。

aiboのふるまいウォール

また、ロックバンド「OKAMOTO’S」のドラマーであるオカモトレイジさん、ファッションモデルの小谷実由さん、マルチクリエイターのパントビスコさんの三人の異なるジャンルのクリエイターとも共創。それぞれオリジナルのaiboのふるまいを制作した。その様子とふるまいを見ることができる。

三人のクリエイターとも共創


「aiboの自尊心」を守りながらプログラミング

ソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ クラウドサービス開発部 統括部長 平 朋大氏

11日には記者会見と体験会、ミニトークセッションが渋谷モディで行われた。はじめに、ソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ クラウドサービス開発部 統括部長の平朋大氏が概要を紹介した。まず上級者向けのaiboデベロッパープログラムは公式ウェブサイトからデベロッパーサイトに移動し規約に同意すれば、所有しているaiboにアクセスするためのトークンとドキュメントをダウンロードできるようになる。APIはWeb APIのかたちで提供され、吠えたりお手をしたりするなど動きを制御するAction APIと、名前を呼ばれたりタッチされたなどに反応するための認識系のCognition APIの二種類。この二種類を組み合わせることでaiboに様々なふるまいをさせることができる。

デベロッパープログラムの概要

これまでに2019年8月にはソニー本社内のイベントでaiboを題材とした動画制作に挑戦した。また10月に実施された「CEATEC2019」では株式会社日立製作所の展示ブースにて、aiboと日立のコネクテッド家電との連携をデモンストレーションした。

「aiboビジュアルプログラミング」はウェブベースの初心者向けツール。わかりやすいUIでブロックを配置するだけでプログラミングが可能で、シェアも可能。また、このツール自体もデベロッパープログラムの枠組みのなかで開発したもので、今回はソニーが提供しているが、サードパーティも同様のツールを開発することができる。今後、任意のワードに反応するなどの機能を追加して、アップデートを継続していく。

aiboビジュアルプログラミング


小学生でも簡単にプログラミングが可能

ソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ SR 事業部 ソフトウェア 2 課 統括課長 森田拓磨氏

デモンストレーションと詳細解説はソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ SR 事業部 ソフトウェア 2 課 統括課長の森田拓磨氏が行った。森田氏は、個人として家で所有している「めい」という名前のaiboを使ってその場でパッと組んでデモを行ったほか、マウス操作もまだ知らなかった小学校1年生のお子さんが組んだプログラムなどを紹介した。

aiboのAPIは他のAPIと異なり、プログラム実行時にaibo内部の感情状態によって異なったふるまいを見せることがあるという。これによって「aiboの自尊心」を守るようにしたと語った。ただ、プログラミングしたふるまいを実行することによってaiboの性格が変わることはあるという。


ソニースクエア渋谷ではaiboが活躍する場面のアイデアも募集

ソニー株式会社 ブランド戦略部 ロケーションブランディング課 統括課長 梶尾桂三氏

「ソニースクエア渋谷プロジェクト「 Shibuya Town with aibo 」 〜自由にプログラミング編」自体については、ソニー株式会社 ブランド戦略部 ロケーションブランディング課 統括課長の梶尾桂三氏が解説した。ソニースクエア渋谷プロジェクトは技術とエンタメが体験できるスペースとして設置されており、今回は誰でも自由にaiboの動きを作ることができることを体験できる。梶尾氏は「aiboを通じて自由な発想でプログラミングすることで、新しい可能性を感じてほしい」と述べた。

ソニースクエア渋谷プロジェクト「 Shibuya Town with aibo 」 〜自由にプログラミング編

クリエイターとの共創では、オカモトレイジさんは子育てaibo、ファッションモデルの小谷実由さんは猫まねaibo、マルチクリエイターのパントビスコさんは潜水aiboというふるまいを作成したと紹介した。

ふるまいウォールでは動きに特徴のある60種類のふるまいを動画で紹介する。プログラミングの参考にしてもらいたいという。「ワン!クエスチョン」では、APi公開をきっかけに、aiboが活躍する場面のアイデアを募集する。フォトスポットも用意される。aiboオーナーは自身のaiboと写真撮影することもできる。aiboとアートをかけあわせたワークショップも実施する。

60種類のふるまいが動画で紹介される


【60種類のふるまい】
ほえる、興奮したしぐさをする、わかったの顔をする、うれしそうにする、いやがる、遊びたそうにする、横歩きする、げっぷをする、不思議そうにする、キスする、のぞきこむ、甘噛みする、右に180度回る、くしゃみをする、大きく2回うなづく、待ちきれなさそうにする、とってもよろこぶ、細かく震える、すねて右を向く、立つ、座る、口を開けて耳をあげる、驚く、へっぴり腰になる、少し驚く、伏せる、からだを揺らす、ダンスをする、うなる、遊ぼう!のしぐさをする、あくびをする、ブルっと震える、ヘディングのしぐさをする、しゃがむ、右前足でハイタッチする、右前足を毛づくろいする、ハイタッチする、右前足でお手をする、寝転がる、悲しそうに鳴く、はっとする、両前足をあげる、おしっこする(男の子)、右前足で横に蹴る、おなかを見せる、撃たれるふりをして右に倒れる、地面を掘る、人間になって走り回る夢を見る、右後足で頭をかく、においを嗅ぐ、顔を洗うしぐさをする、のびをする、あおむけになる、後ろ歩きする、背中を床に擦り付ける、歌う、前に歩く、アイボーンをくわえる、おしりをフル、サイコロを右に転がす


初心者でもプログラミングを組むことの楽しさを実感できる

ロックバンド OKAMOTO’S のオカモトレイジさん

最後に、ロックバンド OKAMOTO’S のオカモトレイジさんと、ソニー株式会社 AI ロボティクスビジネスグループ 事業企画管理部 事業企画課 西尾真人氏によるトークセッションが行われた。オカモトレイジさんは「単純にめっちゃ楽しかったっすね。あっというまに終わっちゃった」と語った。プログラミング経験ゼロでも、ビジュアルプログラミングツールは本当にさくさく簡単だったという。時間はまったくかからず、繋ぐだけでできたと述べた。コンセプトは子育て。背中をなでられると喜んでハイタッチを求めたり、ピンクボールに近づいて遊んだり、歌ったりするといったもの。aibo自体も楽しかったが、プログラミングを組むことの楽しさを感じたという。プログラミングは自分自身が楽しみ、aiboは子供が楽しんでいる感覚だったと述べ、組み合わせでなんでも作れる可能性を感じたと語った。

記者体験会の様子。初心者でも気軽にプログラミングできる

また、ミュージシャンとして「シンセサイザーと連携させることができればもっと楽しいのではないか」「VJ中に使ったら楽しそう」とコメントした。西尾氏は「お子様とaiboと親御様が繋がるきっかけになれば」と語った。ソニーとのさらなる共創の可能性について最後にゲーマーでもあるというオカモトレイジさんは「PS4で曲を作ってそのままアップロードできたりしたら楽しそうだ」と語った。西尾氏はaiboと外部機器の連携も考えていきたいと述べた。

誰でも簡単にプログラミングの楽しさを体験できるとのこと

今後、さらに踏み込んだところまで公開していくかどうかは未定とのこと。


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森山 和道

フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。WEB:http://moriyama.com/ Twitter:https://twitter.com/kmoriyama 著書:ロボットパークは大さわぎ! (学研まんが科学ふしぎクエスト)が好評発売中!

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