4月から小学校で必修化「プログラミング教育」ってどんな授業?葛飾区でドコモのダンボールロボットキット「embot」を使った先行授業を公開

2020年4月から小学校において「プログラミング教育」が必修化されました。
東京都の葛飾区は、この「プログラミング教育」の円滑な導入を目的として「e-Craftシリーズ embot(エムボット)」を区内すべての小学校や特別支援学校で採用し、配布することを発表しています。本格導入に先立ち、令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校の5年生「総合的な学習」の時間で、「embot」を使ったプログラミング学習が先行して行われました。題して「自分のロボットを動かそう」、生徒23人が体験しました。

「embot」とはプログラミング教育が体験・実践できるダンボールロボットキットのことで、株式会社NTTドコモが開発し、株式会社タカラトミーが販売する製品です。

「embot」とはダンボール素材のロボットを組み立て、タブレットなどでプログラミングできるキット製品


プログラミング教育の先行例

授業は担任の先生とICT支援員が中心となって進め、株式会社タカラトミーと株式会社NTTドコモの担当者が児童の進み方に応じてフォローしながら進められました。

(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)

児童に1人1台ずつロボットキットを配布し、「旗をふるロボット」「掃除をするロボット」など、自分のロボットにさせたい動きを考えながら、児童が創意工夫しながらプログラミングを行います。具体的には1時限(45分)×4、すなわち4時限かけて行います。公開日のこの日はロボットの組み立てと装飾などのカスタマイズ、自分のロボットを動かす「プログラミング体験」、各自の製作したロボットの発表と授業のまとめ(感想の発表と共有など)を行いました。

(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)

葛飾区が先行して行った「embot」を使ったこの授業は、2020年度から実施されるプログラミング教育の授業を具体化した良い例だと感じます。


2020年度4月からはじまる「ブログラミング教育」とは

平成29年3月に改訂された新小学校学習指導要領に従い、2020年度から全面的に「プログラミング」教育が必修化となります。文部科学省の「小学校プログラミング教育の概要」では、これから「情報化とグローバル化によって社会が大きく変化していく」ことが予想される、としています。特に情報化についてはAIがさまざまな判断を行ったり、身近な物の働きがインターネット経由で最適化され、いまある仕事の半数近くが自動化されていくとも予測しています。

文部科学省「小学校プログラミング教育の概要」より
いま私たちの周りには家電や自動車をはじめ、多くのものにコンピュータが使われ、生活を便利で豊かにしています。子供たちがこれからの社会を生きていくためには、コンピュータをより適切に、効果的に活用していくことが求められます。「コンピュータはプログラミングで動いている」ことを理解する、つまりコンピュータの仕組みの一端を知ることによって、コンピュータはブラックボックスでなくなり、より主体的に活用することにつながります。

また、プログラミング教育は「子供たちの可能性を広げることにも繋がるもの」であり「将来どのような職業に就くとしても極めて重要」としています。


「プログラミング的思考」を養う

これらの授業ではまず、「プログラミング的思考」を養うことが目的のひとつにあげられています。「プログラミング的思考」とは、文部科学省は次のように定義しています。

プログラミング的思考とは
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力(出典:文部科学省)

すなわち、「プログラミング的思考」とは、身近な問題や課題をみつけ、それらを解決するためには、どのような動きをどう組み合わせてプログラミングすればよいのかを論理的に考えていくことです。

(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)




ロボットの組み立て

「embot」を使った授業ではまず、ロボットキットに同梱されているダンボールを使ってロボットを組み立てます。

ダンボールロボットを組み立てる児童(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)

組み立てたロボットは好きなように色を塗ったり、模様を書き込んだり、シールを貼って装飾することもできます。素材がダンボールだからこそ、気軽に自分なりのアイディアで工夫して、児童たちは楽しそうに自分だけのロボットを作っていきます。

ダンボールロボットを組み立てる児童たち(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)


プログラミングは5段階のレベルから選択

ロボットが完成すると次はいよいよプログラミング体験です。タブレットを使って、ロボットにさせたい動きを組み合わせてプログラミングするのですが、ここにも「embot」の大きな特徴があります。それは、プログラミング操作画面(ユーザーインタフェース)が5段階のレベルが用意されていて、児童のスキルに合わせて選択することができる、というものです。


初めての人はレベル1。レベル1は、初級向けに動きのブロックを選んで並べるだけでロボットを動かすことができる「ブロック形式」(スクラッチ方式)を採用しています。更に「まずはとにかくロボットを動かして楽しい体験をしてもらう」ため、特定のボタンやブロックだけに限定して用意されているため、迷うことなく習得できるしくみがとられています。


ブロック式でプログラミングする児童(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)

レベル2はフローチャート方式です。条件分岐などが加わって複雑なこともできるようになります。さらにレベルアップすると本格的なプログラミング画面も用意されていて、児童のプログラミングのスキルレベルに合わせてステップアップできるようしくみです。


もちろん、普段からスマートフォンやタブレットの操作に慣れている児童は、フローチャート方式もすぐに使いこなせるかもしれません。

フローチャート式でプログラミングして、ロボットを動かす児童(令和元年12月16日、葛飾区立葛飾小学校)

子ども達は自分の想像力を活かして、ロボットを自分なりに動かしたり、LEDライトを光らせたり、ブザーで音階を奏でたりして、楽しみながらプログラミングを学んでいく、そんな教材に仕上がっています。


プログラミング教育で学ぶこと

葛飾区の授業の例をみると、「embot」を使ったプログラミング教育によって次のような「学び」ができると感じます。

私たちの身の回りでは、コンピュータやロボットなど、さまざまな「プログラム」や「IT技術」が使われていること。
それらはプログラミングによって動いていること。
プログラムを作るのは人間で、どのように動かすかは私たちが決められること。
作成したプログラムによって目の前のロボットが実際に動くことで、それらをリアルなものとして体験できること

「予習がてら前もってプログラミング体験を子供たちにさせたい」と感じている人も多いのではないでしょうか。「embot」はタカラトミーモール等で販売されています。「embot」のセット内容は、本体用ダンボール(3枚)、embotコア(メインボードとコネクタ、電池を入れるボックス)、サーボモーター(2個)、LEDライト(2個)、ブザー(1個)、取り扱い説明書となっています。
ほかに専用アプリをダウンロードしてプログラミングを行うための「タブレット」(推奨)、またはスマートフォンが必要です(アプリ対応OS: Android5.0以上、iOS10以上、Windows10)。

embotのセット内容(タブレットは除く)

キットのほかに、プログラミングを行うためのタブレット(推奨)かスマートフォンが必要になります。なお、葛飾区では既に一校あたり約40台の共用タブレットが配布され、活用されています。


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ロボスタ編集部
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