京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)は本の背表紙画像をAIで解析して蔵書点検の効率化を支援するAI蔵書点検サポートサービス「SHELF EYE」(シェルフアイ)を2021年2月25日から提供開始することを発表した。
膨大な時間と工数が必要な蔵書点検
図書館の蔵書を点検する蔵書点検は図書館の重要な業務のひとつだが、図書館運営の大きな負担にもなっている。人手不足が深刻化するなか図書館を一定期間休館にし、職員総出で数万冊におよぶ蔵書をバーコードで1冊ずつ読み取る作業は膨大な時間と工数を要し、またRFIDによる効率化は全蔵書にICタグを貼付する工数や機器の導入コストが課題と言われている。
KCCSはICT技術を活用して蔵書点検業務の効率化を支援すべく、2019年11月から本の背表紙画像をAIで解析して蔵書点検をサポートするシステムの開発をスタート、グループ会社のRistと共同でAIを開発し、2020年3月から船橋市西図書館に協力をしてもらい実証実験を進めてきた。そして今回同システムを業界初(KCCS調べ)のAI蔵書点検サポートサービス「SHELF EYE」として提供開始する。
タブレットで撮影した背表紙画像を独自開発AIが解析
AI蔵書点検サポートサービス「SHELF EYE」ではタブレット端末を用いる。カメラ機能で撮影した複数冊の背表紙画像を独自開発AIが解析し、背表紙ごとに1冊ずつ本を特定する。本を1冊ずつ手に取り確認することなくまとめて確認できるため、蔵書点検における本の読み取り作業を効率化する。確認結果は点検用CSVデータに出力、CSVデータの取り込みが可能な図書館システムであれば利用できる。専用の機器も必要としないため導入コストを抑えつつ蔵書点検業務の効率化を図ることが可能。さらに「SHELF EYE」は背表紙画像を解析して本のISBN(国際標準図書番号)を特定する仕組みのため、どの図書館でも利用できる。
また「SHELF EYE」では日常的な書架点検をサポートする機能も提供する。同機能では撮影した背表紙画像を解析し、背表紙画像をその本のその図書館における利用情報(最終貸出日・貸出回数など)ごとに色付けして、リアルタイムでタブレット端末上に表示し、確認することができる。紙に印刷したリストで本を探すのではなく、書架画像上でピックアップすべき本を視覚的に判断することができ、貸出頻度の低い本を書架から外すなどの日常的な書架の点検作業に役立つ。
将来的にはロボットやドローンなどを活用した書架の撮影の自動化やARグラスを活用した書架点検の効率化にも対応する構想。KCCSは「SHELF EYE」をはじめICTを活用した製品・サービスの提供を通じて、図書館業務の効率化ならびに図書館のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援していくとしている。
AI蔵書点検サポートサービス「SHELF EYE」の概要
名称 | AI蔵書点検サポートサービス「SHELF EYE(シェルフアイ)」 |
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提供開始日 | 2021年2月25日 |
提供機能 | ・蔵書点検機能 ・リアルタイム書架点検機能 |
利用料金(税抜) | 基本機能版(1アカウント) 月額30,000円~/初期導入費400,000円~ (料金は使用する拠点数や端末台数、蔵書数により異なる) |
販売目標 | 10機関/年 |
サイトURL | https://www.kccs.co.jp/ict/service/shelfeye/ |
ABOUT THE AUTHOR /
山田 航也横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。