東京五輪で5G/ドローン/ARを活用したスポーツ観戦「TOKYO2020 5Gプロジェクト」を導入へ NTT/ドコモ/インテルが連携

東京2020組織委員会、日本電信電話(NTT)、NTTドコモ、インテルは、東京 2020 競技大会における、5G テクノロジーを活用した新たなスポーツ観戦体験の提供に向けたショーケース「TOKYO2020 5G PROJECT」に関する報道関係者向け発表会を開催した。


左から三木泰雄氏(東京2020組織委員会 チーフ・テクノロジー・イノベーション・オフィサー:CTIO)、古野徳之氏(株式会社NTTドコモ理事 東京2020推進室長)、木下真吾氏(日本電信電話株式会社 人間情報研究所 主席研究員・研究部長)、リモートで参加の松田貴成氏(インテル株式会社 オリンピック・プログラム・オフィスディレクター)


5Gでスポーツの新たな観戦体験

東京2020組織委員会 イノベーション推進室は5Gで実現する「あらゆる壁を越えて広がるスポーツの新たな観戦体験」を実現するため2018年から3社と協議を重ねてきたという。



「壁」とは、例えば「距離」「時間」「空間」の3つを掲げた。それらの壁を「5G」を含めた最新技術で乗り越え、新たな観戦体験を提供する考えだ。


具体的にはNTTが「5GとKirari!」で距離の壁を超え、ドコモが「5Gの低遅延とAR」で時間の壁を超え、ドコモが更に「5Gマルチアングル」で空間の壁を超えるとして、それぞれ「セーリング」「水泳」「ゴルフ」競技で導入する。






セーリング

セーリング競技を観戦するには、陸上(防波堤)から望遠鏡等を用いて、遠距離の競技風景を観戦するのが通常で、競技までの距離が遠いことが課題だった。

競技の映像をドローンやカメラ基地で高解像度撮影し、50mの洋上ワイドビジョンに伝送する

複数の4Kカメラを搭載したドローンや海上のカメラ基地を駆使して、競技のすぐ近くから4K撮影を行い、更には撮影した4K映像を即時に「Kirari!」を使って横に合成し、洋上の全長50mのワイドビジョンで表示することで臨場感溢れる、一体感のある映像体験を実現する。映像は江ノ島の海上から東京ビッグサイトに転送され、東京ビッグサイトの報道関係者にもワイドビジョン(最大13m)で迫力の映像を届けることができる。

複数の4Kカメラを搭載したドローンや洋上カメラ基地から競技を撮影


複数カメラの映像を合成して12K映像を作成

全長50mの洋上ワイドビジョンに写し出し、会場の観客に熱戦と興奮を届ける

移動が制限されている世界中のメディアのために、東京ビッグサイトのメディア会場にも迫力のワイドビジョンを届ける

■【2020NTT】TOKYO2020 5G PROJECT セーリング競技映像伝送




水泳

競泳をテレビ観戦していると、画面上の競技レーンに選手の名前や国旗が表示されたり、ワールドレコードが線でリアルタイム表示され、視聴者に解りやすくする技術が用いられている。会場での観戦は、これらの情報提供がなく、むしろ誰がどのレーンを泳いでいるのか、新記録に迫っているのかどうかなどが把握しづらい。会場での観戦者に5GとARを使い、リアルタイムで遅延なくこれらの情報を届けることで、観客にも新体験を実現しようというもの。





ゴルフ

ゴルフも観戦している観客のタブレットやスマートフォンに対して5Gで迫力の競技映像を届けるもの。観客自身が今いるホール以外の競技の様子も切り替えて見られる。猛暑日などは、日陰やテント、他の観客との密を避けて観戦することができる。



ライブ観戦のニューノーマルへの期待

前述のように「TOKYO2020 5G PROJECT」は2018年から競技を重ねてきたプロジェクトのため、コロナ禍の現状やニューノーマルを十分に反映できているか、と言えばそうとも言えない。基本的には会場に足を運ぶ観客に対して新体験を提供するもので、現場に行けない人たちにはこの技術は提供されない。その点は残念だが、これをきっかけに、将来のスポーツ観戦がリアルからオンラインに、更には迫力と臨場感のあるライブ体験へと昇華していくことを期待したい。


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神崎 洋治
神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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