ホンダが宇宙ロケット、空飛ぶクルマ、アバターロボット、多指ハンド技術など、新領域への参入を発表! 新技術の取り組み(まとめ)

本田技研工業株式会社(Honda)は「生活の可能性が拡がる喜び」を提供する2030年ビジョンの実現に向け、同社が持つコア技術を生かした新領域へのチャレンジと技術開発の取り組みを発表した。新規事業への取り組みは、宇宙領域、ロケット、空飛ぶクルマ、アバターロボット、多指ハンド技術など、最先端技術を取り入れた内容となっている。


本田技術研究所とコア技術について

Hondaは経営基盤となる「既存事業の盤石化」を図りつつ、「環境負荷ゼロ社会」と「交通事故ゼロ社会」の実現に徹底してこだわり、さらには「新領域へのチャレンジ」にも取り組んでいる。現在、Hondaの研究開発を担う本田技術研究所では、環境と安全の先行技術の研究に加え、モビリティの可能性を“3次元”や、時間や空間の制限に縛られない“4次元”、さらには宇宙へと拡大し人々の時間や空間に新たな価値をもたらす独創的な技術研究を進めている。

こうした取り組みを可能とするのが、燃焼・電動・制御・ロボティクス技術といったHondaが培ってきたコア技術であり、これらの強みを総合的に活用することで、新領域においても人々の生活の可能性を拡げる喜びの実現にチャレンジする。


空の移動を身近にする「Honda eVTOL」(電動垂直離着陸機)

Hondaは独創的なHondaJetで実現した空の移動をさらに身近なものとするため、さまざまなコア技術を生かして、eVTOL(electrical Vertical Take Off and Landing:電動垂直離着陸機)の開発に取り組んでいる。eVTOLは電動化技術によるクリーン性はもとより、シンプルな構造で推進を分散化することで、民間旅客機同等の安全性を保ちつつ、比較的小径なローターにより、街中で離着陸しても騒音とならない静粛性を実現できることから、開発競争が活発化している。一方で、オール電化によるeVTOLには、バッテリー容量による航続距離の課題があり、その現実的な稼働範囲は都市内移動に留まっている。


これに対し、Hondaはより航続距離が長く使い勝手の良い都市間移動を実現するため、電動化技術を生かしたガスタービンとのハイブリッドによるHonda eVTOLの開発に取り組み、市場拡大が見込まれる都市間移動の実現を目指す。また、Honda eVTOLには電動化技術のほかにも、燃焼や空力、制御技術といった、これまでHondaがさまざまな領域で培った技術が生かされている。HondaはこのHonda eVTOLをコアに、地上のモビリティと連携し組み合わせることで、新たなモビリティエコシステムによる新価値の創造を目指す。

コア技術を活かした「Honda eVTOL」

「モビリティエコシステム」イメージ

Honda eVTOLで実現を目指す世界観


バーチャルな移動を可能にする「Hondaアバターロボット」(分身ロボ)

Hondaはこれまで人の可能性を拡げ、人生を自由で豊かにするため、ASIMOをはじめとするロボティクス研究に継続的に取り組んできた。次世代に向けては時間や空間の制約に縛られず、バーチャルに自己能力を拡張するHondaアバターロボットの実用化に向けた開発を進めている。

人の分身となるアバターロボットの最大のメリットは、リモートでありながら、あたかもその場にいるようにモノを扱えるなど、自身がその場にいなくても作業や体験ができること。そうしたアバターロボット実現の核となるのが、Hondaが強みとするロボティクス技術による多指ハンドと独自のAIサポート遠隔操縦機能。多指ハンドを通じて人のために作られた道具を使いこなし、AIのサポートにより、複雑な作業をより直感的な操作で早く正確に行えることを目指した。

多指ハンド

これまでのロボティクス研究を通じて長年の課題であった、小さなものをつまむなどの繊細さと、固い蓋を開けるなどの力強さを「人並みに」両立できる手を多指ハンドとして実現した。また、多指ハンドが一連の動作の中で物をスムーズに把持したり、細やかな力の制御で道具を操ったりできるようにHonda独自のAIサポート遠隔操縦機能の進化にも取り組んでいる。

多指ハンドの動作

Hondaは現在、ハードウェアの小型化とともに「把持する」「操る」といった動作のさらなる精度の向上に取り組んでおり、2030年代の実用化を視野に、2023年度中のHondaアバターロボットの技術実証開始を目指している。


Hondaアバターロボットで実現を目指す世界観

Hondaは宇宙領域をコア技術を生かした“夢”と“可能性”への新たなチャレンジの場ととらえている。燃焼・誘導制御技術、燃料電池技術、ロボティクス技術といったHondaならではのコア技術を生かし、宇宙という究極の環境で新たな価値の創造を目指して技術開発に取り組んでいる。

月面でのチャレンジ ~循環型再生エネルギーシステム、遠隔操作ロボットへの技術応用~

人の活動圏を地球外へと拡大する機運が国際的に高まる中、Hondaは月面における活動や開発の拡大を目指す取り組みを始めている。月面には水が存在すると言われており、その利用によるさまざまな可能性が注目されている。Hondaはこれまで培ってきた燃料電池技術と高圧水電解技術を生かした月面での循環型再生エネルギーシステムの構築を目指し、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究を行っている。

Hondaが持つ燃料電池技術と高圧水電解技術を組み合わせ、再生可能エネルギー由来の電力を使い、水を電気分解して水素・酸素として貯蔵し、その水素と酸素から燃料電池技術を用いて発電し、電力の供給が可能となる。また、酸素は月面に滞在する人の居住用としても、水素はロケットの燃料としても、それぞれ活用可能であるなど、Hondaは循環型再生エネルギーシステムの構築により、さまざまな有人活動への貢献を目指している。

また、宇宙飛行士の危険を最小化したり、地球に居ながらにして、月に居るかのような体験を可能としたりする月面での遠隔操作ロボットにおいては、アバターロボットで開発中の多指ハンドや、AIサポート遠隔操縦機能、衝突軽減のための高応答トルク制御技術など、Hondaのコア技術の多くの応用が見込まれる。これらはJAXAの宇宙探査イノベーションハブにおける研究テーマとして採択され、今年2月に共同研究を開始している。

月面での循環型再生エネルギーシステムの活用 イメージ図 ©JAXA/Honda


コア技術を応用した再使用型の小型ロケット

さまざまな製品開発を通じて培った燃焼技術や制御技術などのコア技術を生かして小型ロケットを造りたい、という若手技術者の発案をきっかけに、小型ロケットの開発に取り組んでいる。人工衛星は温暖化や異常気象といった地球環境を観測したり、モビリティのコネクテッド化に有効な広域通信を可能としたりするなど、さまざまな用途に欠かせないものだが、その打ち上げ需要に対してロケットが不足している状況。こうした課題を解決するために、低軌道向け小型人工衛星の打ち上げを目標として小型ロケットの開発を行っている。また、自動運転技術の開発などを通じて培った制御・誘導技術を生かし、打ち上げ後にロケットの一部を着陸させ、再使用することも想定した研究を行っている。

コア技術を応用した再使用型の小型ロケット

Hondaは環境や安全への徹底した取り組みに加え、これまで培ってきたコア技術を生かして新領域へチャレンジすることで、人びとの時間や空間に新たな価値をもたらす、独創的な研究に取り組んでいく。

株式会社本田技術研究所 代表取締役社長 大津 啓司氏からのコメント

「今回お伝えした取り組みは、いずれも新領域へのチャレンジとなりますが、技術で人びとの生活を豊かにしたいというHondaの想いは不変です。そして創業以来、こうしたチャレンジの源泉となっているのは、独創的な技術やアイデアを生み出す人材そのものです。今後も新たなモビリティの創造を通じて移動にまつわる価値を変え、社会をより良く変えていくことを目指します」
関連サイト
本田技術研究所

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山田 航也
山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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