慶應義塾大学の文系、理系学生14名全員が「NVIDIA Jetson AI Specialist」に認定 NVIDIAがコラボレーション企画を共催

NVIDIAは慶應義塾大学の文系、理系学生のチームがNVIDIAのAI認定資格「NVIDIA Jetson AI Specialist」に認定されたことを発表した。チームメンバーそれぞれが得意分野を活かし、分担しながらプロジェクト制作と申請を進めることで、申請したメンバー全員が「Jetson AI Specialist」に認定された。


Jetson AI Specialistの取得を目標としたコラボレーション企画を共催

今、全国の教育機関でAI学習の導入が広がっているが、AIをすべての教室に導入するというミッションを掲げるNVIDIAは、AIやプログラミングに取り組む学生や教育者を積極的に支援している。最近では慶應義塾生全員に門戸を開いた慶應義塾大学「AI・高度プログラミング コンソーシアム」(以下、AIC)を会員企業としてサポートし、NVIDIAのAI認定資格であるJetson AI Specialistの取得を目標としたコラボレーション企画を昨年、共催した。理系学生だけでなく、商学部や経済学部、法学部、環境情報学部など文系学生を含むメンバーが参加し、春学期のプログラムでは NVIDIA が提供する「Jetson Nano 入門」を含むトレーニングを3か月間に渡り受講している。

AI・高度プログラミングコンソーシアムについて
慶應義塾大学「AI・高度プログラミングコンソーシアム」略してAIコンソーシアムは人工知能や機械学習、高度プログラミングに興味のある塾生が集い、自主的に勉強できる学びの場。学部や学年は問わない。(ホームページより引用)


コラボレーション企画の後半では、実際のプロジェクト制作に挑戦

2021年9月から10月まで開催された秋学期のプログラムでは春学期に学んだ知識を活かし、NVIDIA Jetson Nanoを実際に用いながら、Jetson AI Specialistに応募するためのAIプロジェクトをチーム単位で開発。また、その集大成として、最終発表会ではチームごとにプロジェクトを発表し、AICコーディネーター室とNVIDIA Japanからの審査員、そして参加学生の投票によって特に優秀なプロジェクトを評価するコンテストも開催された。

その結果、学生ならではの視点や日常生活の中で気づいた課題をもとに制作された以下のプロジェクトが投票で極めて接戦となり、参加した計5チームすべてが賞を受賞する結果となった。

・設置カメラによりリアルタイムで喫煙者を検知して知らせる路上喫煙者検出カメラ
・オンライン会議で直感的に絵や文字を書くためのジェスチャ入力を可能にするジェスチャードローイング
・正しい姿勢で運動しているかを判別するスクワットトレーニング
・外出時に誰かが部屋に入ったら検知して知らせる、顔認証による簡易な室内セキュリティシステム
・カメラからの入力画像をStyle Transferによりリアルタイムで画風を変換可能なJetson Style Transfer


Jetson AI Specialist にチーム単位で申請

発表会後には各チームがJetson AI Specialistに応募。Jetson AI Specialistは教育関連の場合は個人だけでなくチームごとの応募が可能であり、認定された場合、AIとJetsonの基礎的な実践スキルを習得した証明であるJetson AI Specialistの認定証がチームメンバー全員に授与される。申請にあたってはAIプロジェクトの開発だけでなく、オンライントレーニングとテストの受講、プロジェクト内容を説明する英語(もしくは英語字幕)のビデオ制作も必要となる。そのため、教育現場におけるAIカリキュラムの構成に最適なだけでなく、学生のプレゼン能力や英語力、コンテンツ制作力のスキルも磨くことができる。

プログラムに参加した慶應義塾大学AICの学生たちは、NVIDIAの開発者向けサイトで公開されている「NVIDIA Jetson 開発者キット」を用いた世界中のAIプロジェクトを参考にしながら、各チームのプロジェクトを考案した。また、メンバーそれぞれが得意分野を活かし、分担しながらプロジェクト制作と申請を進めることで、申請した14名全員がJetson AI Specialistに認定された。

慶應義塾大学 AI・高度プログラミングコンソーシアム代表を務める、同大学理工学部システムデザイン工学科 准教授の矢向高弘氏はプログラムを振り返り、以下のように述べている。

「これまで、実際の製品を大学が用意し、プログラム開発からプロジェクト制作までを行う機会を学生に提供することはできませんでした。理工学部生は実験を通して実際に手を動かすこともありますが、文系の学生にとってそのような機会は限られています。参加学生全員がNVIDIA Jetsonを手にし、プログラムを書いて動かした今回の企画は、大変貴重なプログラムだったと思います」

コンテストの選考委員として発表会に参加した、エヌビディア合同会社 エンタープライズ事業本部 事業本部長の井﨑 武士氏は以下のように学生にエールを送った。

「ディープラーニングの社会実装は今、急速に進んでいます。さまざまな産業革命は既存の技術が成熟したうえで、それを超える革新を迎えていますが、そのためにもディープラーニングはまさに使い倒さなければいけない技術だと思います。そこで重要となるのが活用するための人材であり、プログラムを組む人や、AI の特性を理解した上でビジネスにすることを考えられる人です。これからは技術に長けている若い世代の方がディープラーニングを応用し、社内を動かしながら力を発揮していく時代となるでしょう。Jetson AI Specialist の取得が、ディープラーニングに対する造詣を深めるきっかけになればと思います」

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山田 航也

横浜出身の1998年生まれ。現在はロボットスタートでアルバイトをしながらプログラムを学んでいる。好きなロボットは、AnkiやCOZMO、Sotaなどのコミュニケーションロボット。

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