ヴイストン株式会社は、可搬重量約120kgを実現した研究開発用台車ロボットの大型モデル「メガローバーF120A」を発売することを2022年4月5日に発表した。
同社では、研究開発用台車ロボットとして可搬重量約40kgの「メガローバーVer.3.0」および「メカナムローバーVer.3.0」を中核モデルとしつつ、可搬重量をさらに増加させた大型モデルという位置づけにて、同製品「メガローバーF120A」をラインナップする。
多彩な研究・開発プロジェクトに合わせた車輪構造、耐荷重性能を選択することができ、自動搬送やロボットの自律制御、オートメーション化の基礎研究などの分野において、実用も見据えた本格的な開発・実装を可能とした。
価格はオープン。現在は、公式Webショップ(ROBOT SHOP)にて注文を受け付けており、注文後1〜1.5ヶ月程度で納品となる。
同ロボットの主な特徴
メガローバーF120Aは、研究開発用台車ロボットの大型モデル「メガローバーF120」の後継機種。可搬重量約120kgを実現した筐体と、ArduinoIDE対応、ROS1対応といった特徴はそのままに、ダイレクトドライブのインホイールモーターを採用することで、従来よりもさらなる静音化を実現した。LiDAR(LRF)オプションやバンパーオプションなど、様々なオプション機器の取り付けにも対応しており、多岐にわたる運用シーンに合わせた柔軟なカスタマイズが可能です。メニュー化されたオプション機器を選択するのみで注文できるため、必要なカスタマイズが施された機体を迅速に入手することが可能となっている。
可搬重量約120kgを実現
大型のホイールやモーターを搭載することにより、旧来のモデルと同様に約120kgの可搬重量を実現。様々なセンサーやデバイスを搭載するシステムであっても、余裕をもって積載することができる。
二輪駆動の大型台車ロボット
二輪駆動に後部キャスターを加えた車輪構成。通常車輪の制御であるため、前後移動、左右旋回などの挙動が周囲からも理解しやすく、耐久性や静粛性といった点でも有利となっている。大型の機体でありながら、最高速度は実測値で1.6m/sを達成しており、様々な研究、開発用途に対応することが可能。車輪の横滑りが発生しにくいなど、実運用における安定性を見込めることも特徴だ。
ダイレクトドライブモーターを採用した静音構造
昨今の自律制御台車ロボットは、その用途において音声認識や周辺音量の計測などが必要となる場面も多く、台車ロボットそのものが静粛に動作することが求められている。同製品では、車輪の駆動にダイレクトドライブ方式のモーターを採用することにより、旧製品と比較し動作音を低減した。
有線 / 無線接続による制御が可能
Wi-Fiによる無線通信と有線のUSBシリアル通信に対応。指定のコマンドを用いることで、PCやタブレットなど、様々なデバイスから制御することが可能だ。また、Bluetooth接続のゲームパッド型無線コントローラーが付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができる。アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等として使用可能だ。なお、同製品の制御基板である「VS-WRC058」に搭載されているBluetooth機能は、付属する無線コントローラーを接続する用途に特化したものとなっている。
Arduino IDEでプログラム可能
同製品の制御ボード「VS-WRC058」には、ESP32-WROOM-32マイコンが搭載されており、Arduino IDEを用いて制御プログラムを作成することができる。サンプルコードはArduinoライブラリーの形で製品に付属し提供されるので、ユーザー自身の手でファームウェアのカスタマイズを実施することも可能。また、VS-WRC058をArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要となる。
拡張しやすいアルミフレームを採用
アルミ部材にて構成。十分な強度を持つと同時に加工が容易なので、ユーザー自身の手で、様々な拡張を容易に行うことができる。上部天板に取り付け穴を開けて部品を追加することも可能で、研究・開発の推進に欠かせない自由な拡張性をもたらす。
非常停止スイッチを標準搭載
従来のモデルで別売オプションであった「非常停止スイッチ」を標準搭載。また、非常停止スイッチの取り付けられた側を台車ロボットの「前」とするか「後ろ」とするかについては、実運用の状況や、追加する拡張機器の搭載状況などに応じ、ユーザー側で入れ替えて使用することを想定して、配線あるいはプログラムを変更することで切り替えが可能となった。
ROS1による制御に対応
ROS(ROS1)メッセージ通信に対応しており、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信ができる。標準ファームウェアでは、geometry_msgs/Twist型を使って、ROSからメガローバーに対して移動速度指令値を送信したり、メガローバーから現在速度やバッテリー電圧の取得などが可能。また、ユーザーの手によってファームウェアを変更することで、上記の他にも任意のメッセージを送受信することもできる。なお、ROSを動作させるデバイスは別途用意する必要があり、同社で推奨するデバイスの動作環境は次の通りだ(同製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合がある)。
【ROS使用時の推奨動作環境】
OS | Ubuntu18.04(64bit) / Ubuntu20.04(64bit) |
---|---|
ROS | ROS Melodic / ROS noetic |
CPU | AMD Ryzen 5 3450U / AMD Ryzen 5 3550H |
RAM | 8GB / 16GB |
ストレージ | M.2 SSD 250GB / M.2 SSD 250GB |
RAM | 8GB / 16GB |
グラフィック | Radeon Vega 8 Graphics / Radeon Vega 8 Graphics |
※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合がある。また、仮想環境はタイムラグにより安全な制御が行えない場合があるため推奨していない。
多彩なオプション品に対応
旧製品と同様に数多くのオプション品に対応。用途に合わせてセンサーや構成部品を追加することが可能で、多様な研究・開発分野にて、大型の研究開発用台車ロボットの能力を存分に活用することができる。
■【動画】ROS対応 二輪駆動台車ロボット メガローバーF120A 製品紹介【耐荷重約120kgの大型筐体・従来機種と比較し静音化を実現】
※VS-WRC058には、複数のホストと同時に通信する機能はついていない。
※LRF(LiDAR)とデプスカメラは、Raspberry Pi 4およびJetson AGX Xavierに接続することも可能。
▼本体仕様
サイズ | W481.8×D468×H190.5(mm) |
---|---|
本体重量 | 約33kg |
最高速度(実測値) | 1.6m/s |
積載重量 | 約120kg |
本体材質 | アルミニウム |
バッテリー | 24Vシール鉛バッテリー 624Wh |
駆動方式 | 二輪駆動、後部キャスター×1 |
ホイール直径 | 170mm |
モーター | BLDCモーター 150W×2 |
制御基板 | VS-WRC058 |
ROS対応 | ROS1に対応 |
SDK | VS-WRC058用 Arduinoライブラリー、ROSパッケージ |
収録サンプル | 【Arduinoライブラリー】車輪制御 / 各種通信機能等 【ROS用サンプルコード】・ゲームパッドからの操作 ・マウス(タッチパッド)からの操作 ・SLAM(gmapping)/SLAM(cartographer) ・navigation |
インターフェース | USBシリアル、Wi-Fi(IEEE802.11b/11g/11n) |
付属品 | 充電器、無線操縦用ゲームパッド型コントローラー |
注文時オプション | レーザレンジファインダー、バンパーオプション(前後、全周囲)、拡張機器用電源基板 VS-WRC054、Raspberry Pi 4B、ワイヤレス充電、ROS PC / ROS PC(UM340) カメラステー、デプスカメラ、リモート制御、Jetson AGX Xavier、パンチルト装置 ※同製品は屋内専用で、屋外での使用は想定しておりません。また、製品の仕様は予告なく変更となる場合があります ※本製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合があります |
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