ヴイストンが可搬重量約40kgのメカナムホイール搭載、研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer.3.0」 を発売

ヴイストン株式会社は、前後左右への自由な移動を実現する四輪駆動のメカナムホイールと、ダイレクトドライブのインホイールモーターを採用した、可搬重量約40kgの研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer.3.0」を発売した。

同社公式サイトにて購入可能。取り寄せ商品となっており、注文後1~1.5ヶ月程度での発送予定だ。価格は605,000円(税込/ベース価格は税込み385,000円)。その他、オプションが用意されている。



同製品の主な特徴

メカナムローバーVer.3.0は、同社製研究開発用台車ロボット「メカナムローバーVer2.1」の後継機だ。メカナムローバーは、前後・左右・回転を組み合わせた自由度の高い移動ができることが大きな特徴で、細かい位置制御が求められる搬送・自律移動などの研究開発プロジェクトに好適。また、様々な目的に合わせた豊富なオプションを用意することにより、求められる用途に合わせて機能を拡張、カスタマイズすることが可能だ。今回発売されたVer.3.0は、可搬重量約40kgの大型筐体、追加工やカスタマイズを行いやすいアルミニウム製、ソフトウェア開発を容易なものとするArduino IDE対応、柔軟で高度な制御を実現するROS1対応といった数多くの特徴をそのまま継承し、さらに、駆動輪にダイレクトドライブタイプのインホイールモーターを採用し、従来機種と比較し動作音の静音化に成功した。


インホイールモーターを採用した静音構造

昨今の自律制御台車ロボットは、その用途において音声認識や周辺音量の計測などが必要となる場面も多く、台車ロボットそのものが静粛に動作することが求められおり、同製品では、車輪の駆動にインホイールモーターを採用することにより、旧製品と比較し動作音を大きく低減した。


可搬重量約40㎏を実現した四輪メカナムホイール構造

同製品では、前後・左右・回転の動きを自由に組み合わせることができる四輪メカナムホイールを採用。台車ロボット本体の向きを変えないまま真横や斜め方向に移動するなど、外部からの位置制御に柔軟に対応できることが大きな特徴だ。また、約40㎏の可搬重量を実現しつつ、実測での最高速度は1.6m/sを達成しており、研究開発用の大型台車でありながら、実用・実務も見据えた本格的な実証実験などにも対応している。

四輪メカナムホイールを採用(※乗用を意図して設計されたものではない。)



有線 / 無線接続による制御が可能

メカナムローバーVer.3.0は、Wi-Fiによる無線通信と有線のUSBシリアル通信に対応。指定のコマンドを用いることで、PCやタブレットなど、様々なデバイスから制御することが可能。また、Bluetooth接続のゲームパッド型無線コントローラーが付属するため、PC等を接続しなくても本体を無線操縦することができる。アナログスティックを使用して、前後へ移動、回転させることもでき、動作確認のための手動操縦、非常時の操作手段等として使用可能だ。なお、同製品の制御基板である「VS-WRC058」に搭載されているBluetooth機能は、付属する無線コントローラーを接続する用途に特化したものとなっている。


Arduino IDEでプログラム可能

同製品に搭載されている制御ボード「VS-WRC058」には、ESP32-WROOM-32マイコンが搭載されており、Arduino IDEを用いて制御プログラムを作成することができる。サンプルコードはArduinoライブラリーの形で製品に付属し提供されるため、ユーザー自身の手でファームウェアのカスタマイズを実施することも可能だ。なお、VS-WRC058をArduino IDEを用いてプログラミングする場合、Arduino IDE 1.8.13以上が動作する環境が必要となっている。


拡張しやすいアルミフレームを採用

同製品の本体フレームはアルミ部材にて構成されている。十分な強度を持つと同時に加工が容易なので、ユーザー自身の手で、様々な拡張を容易に行うことができる。上部天板に取り付け穴を開けて部品を追加することも可能で、研究・開発の推進に欠かせない自由な拡張性が考えられる。


非常停止スイッチを標準搭載

メカナムローバーVer.3.0には、従来のモデルで別売オプションであった「非常停止スイッチ」が標準搭載されている。また、非常停止スイッチの取り付けられた側を台車ロボットの「前」とするか「後ろ」とするかについては、配線あるいはプログラムを変更することで切り替えが可能。実運用の状況や、追加する拡張機器の搭載状況などに応じ、ユーザー側で入れ替えて使用することを想定している。


ROS1による制御に対応

メカナムローバーVer.3.0はROS(ROS1)メッセージ通信に対応しており、ROSが動作するデバイスとWi-FiまたはUSBケーブルで接続することで、rosserialのパッケージを用いたROS1のメッセージ通信ができる。標準ファームウェアでは、geometry_msgs/Twist型を使って、ROSからメカナムローバーに対して移動速度指令値を送信したり、メカナムローバーから現在速度やバッテリー電圧を取得したりすることが可能。ユーザーの手によってファームウェアを変更することで、任意のメッセージを送受信することもできる。なお、ROSを動作させるデバイスは別途用意する必要がある。


【ROS使用時の推奨動作環境】

OS Ubuntu18.04(64bit)
ROS ROS Melodic
CPU AMD Ryzen 5 3450U
RAM 8GB
ストレージ M.2 SSD 250GB
グラフィック Radeon Vega 8 Graphics
備考 ※上記条件を満たしていても、相性などにより、正常に動作しない場合がある。
※仮想環境は、タイムラグにより安全な制御が行えない場合があり、推奨していない。
※同製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合がある。



多彩なオプション品に対応

メカナムローバーVer.3.0は、旧製品と同様に数多くのオプション品に対応。用途に合わせてセンサーや構成部品を追加することが可能で、多様な研究・開発分野にて、大型の研究開発用台車ロボットの能力を存分に活用することができる。

拡張機器搭載例 1

拡張機器搭載例 2

【メカナムローバーVer.3.0 構成図】※VS-WRC058には、複数のホストと同時に通信する機能はありません。

■【動画】ROS対応 四輪駆動台車ロボット メカナムローバーVer.3.0 製品紹介【耐荷重約40kg・静音化を実現】



▼ 本体仕様

サイズ W392×D323×H165(mm)
本体重量 約17.9kg
最高速度 1.6m/s (実測値)
積載重量 約40kg
本体材質 アルミニウム
バッテリー 24Vシール鉛バッテリー 288Wh
駆動方式 四輪駆動メカナムホイール、サスペンション搭載
ホイール 直径152mm
モーター BLDCモーター 40W×4
制御基板 VS-WRC058
ROS対応 ROS1に対応
SDK メカナムローバーVer.3.0用 Arduinoライブラリー、ROSパッケージ
収録サンプル 【Arduinoライブラリー】車輪制御、各種通信機能等
【ROS用サンプルコード】ゲームパッドからの操作、マウス(タッチパッド)からの操作、SLAM(gmapping)、SLAM(cartographer)、navigation、ゲームパッドからの操作、マウス(タッチパッド)からの操作、SLAM(gmapping)、navigation
※同製品に含まれないライブラリーなどのセットアップが追加で必要になる場合がある。
インターフェース USBシリアル、Wi-Fi(IEEE802.11b/11g/11n)
付属品 充電器、無線操縦用ゲームパッド型コントローラー
注文時オプション レーザレンジファインダー、バンパーオプション(前後、全周囲)、拡張機器用電源基板 VS-WRC054、Raspberry Pi 4B、ワイヤレス充電、ROS PC / ROS PC(UM340)、カメラステー、デプスカメラ、リモート制御、Jetson AGX Xavier、パンチルト装置
備考 ※同製品は屋内専用であり、屋外での使用は想定していない。また、製品の仕様は予告なく変更となる場合がある。




各種オプションについて

メカナムローバーVer.3.0対応オプションは以下の通りだ。

LRFオプションTG30

機体周囲の障害物等を検知するLRFを取り付ける、本体注文時の有償オプション。機体の前部、もしくは後部、あるいは両方に取り付けが可能。 1式:88,000円(10%消費税込み)

バンパーオプション(前後)

壁等との衝突を検知できるバンパーセンサをロボットの前後に取り付ける、本体注文時の有償オプション。  1式:88,000円(10%消費税込み)

バンパーオプション(全周囲)

壁等との衝突を検知できるバンパーセンサをロボットの全周囲に取り付ける、本体注文時の有償オプション。 1式:176,000円(10%消費税込み)

拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054

Raspberry Pi 4BやROS PC(UM340)オプションなどの拡張機器を搭載した際に本体のバッテリーから電源を供給する、本体注文時の有償オプション。Raspberry Pi 4Bオプション搭載時およびROS PC(UM340)オプション搭載時には必須となる。 1式:36,300円(10%消費税込)

Raspberry Pi 4Bオプション

Raspberry Pi 4B 2GB版を取り付けて出荷する、本体注文時の有償オプション。拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054が別途必要。SDカードおよびOSイメージは付属しない。1式:14,300円(10%消費税込み)

ワイヤレス充電オプション

無線充電の機能を追加する、本体注文時の有償オプション。本体前部もしくは後部への取り付けとなる。 1式:330,000円(10%消費税込み)

ROS PC(UM340)オプション

メカナムローバーVer.3.0に、ROSで制御するための環境構築済みPCを取り付ける、本体注文時の有償オプション。拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054が別途必要だ。 1式:231,000円(10%消費税込み)

カメラステーオプション

別売のデプスカメラなどを固定できるカメラステーを取り付ける、本体注文時の有償オプション。天板から265mmまでの任意の高さにカメラを固定でき、固定角度も調整可能。理想的なカメラ位置・角度で運用ができる。 1式:16,500円(10%消費税込み)

デプスカメラオプション

メカナムローバーVer.3.0に、深度情報を含んだフルカラーRGB画像が取得できるステレオカメラ(RGB-Dカメラ)を搭載する、本体注文時の有償オプションです。「カメラステーオプション」に含まれるカメラステーも本オプションに含まれます。 1式:85,800円(10%消費税込み)

リモート制御オプション(PCなし)

メカナムローバーVer.3.0に搭載するPC内でZoom社のWebミーティングを実行しつつ、遠隔地から台車ロボットの操縦を可能とする、本体注文時の有償オプション。同オプションにおいてはPC本体は別売となるほか、付属するドキュメントに従って専用サーバーなどの準備が別途必要となります。 1式:123,200円(10%消費税込み)

リモート制御オプション(PCあり)

メカナムローバーVer.3.0に搭載したPC内でZoom社のWebミーティングを実行しつつ、遠隔地から台車ロボットの操縦を可能とする、本体注文時の有償オプションです。本オプションにおいてはPC本体も含まれますが、付属するドキュメントに従って専用サーバーなどの準備が別途必要となる。 1式:420,200円(10%消費税込み)

Jetson AGX Xavier搭載オプション

メカナムローバーVer.3.0にNVIDIA Jetson AGX Xavier開発者キットを搭載する、本体注文時の有償オプションです。512コアのNVIDIA Volta™ GPUを活用することにより、非常に高度な演算能力が得られます。本オプションの搭載には、拡張機器用電源基板オプション VS-WRC054が別途必要です。 1式:165,000円(10%消費税込み)

パンチルト装置オプション(カメラなし)

台車ロボットの天板に搭載可能なステーと、パン・チルトそれぞれに可動軸を持つカメラ台とを追加するオプション。 1式:66,000円(10%消費税込み)

パンチルト装置オプション(カメラ付き)

台車ロボットの天板に搭載可能なステーと、パン・チルトそれぞれに可動軸を持つカメラ台とを追加するオプション。対応するデプスカメラが付属。※ROS PC(UM340)オプションなど、デプスカメラを接続するためのROSデバイスが別途必要となる。 1式:143,000円(10%消費税込み)


関連サイト
ヴイストン株式会社

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