18mの「動く実物大ガンダム」を小学生が遠隔操作!巨大ロボットを動かす体験に笑顔と歓喜 GFY「ガンダムの仕組みを学ぶ教育プログラム」

高さ約18メートル「動く実物大ガンダム」(通称:横浜ガンダム)は、山下公園のランドマークのひとつとなっている。「この巨大なガンダムを自分の手で動かしてみたい」そんな思いは大人・子どもに限らずに胸に抱くことだろう。その夢が実現した。6月21日、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に集まった小学生たちは、「動く実物大ガンダム」のしくみを学び、目の前にそびえ立つガンダムの手「ガンダムハンド」を動かした。

メンテナンス中のため、普段は見られない一部の外装がはずされた「動く実物大ガンダム」 ©創通・サンライズ

「すごい。思っていたより大きい。自分と同じような指が動いて面白かった」と、ガンダムの操作を体験したひとりの生徒が目を輝かせた。





動く実物大ガンダムの仕組みを学ぶ教育プログラム

「動く実物大ガンダム」を設置・運営する「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」は、2023年3月31日までオープン期間が延長したことに伴い、2022年7月15日までメンテナンスのため休業となった。その期間を利用して、株式会社Evolving Gは、教育プログラム(社会科見学)として、横浜市の小中学生を対象に動く実物大ガンダムの仕組みを学ぶ教育プログラムを実施することなった。
この日、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に集まったのは横浜市立鉄(くろがね)小学校6年生、28人が予定された。

カンファレンスルームで動く実物大ガンダムの仕組みを学ぶ小学生たち

参加した生徒全員は、まずカンファレンスルームで「動く実物大ガンダム」の概要を学び、テクニカルディレクターの石井啓範さんと、システムディレクターの吉崎航さん達が、動く実物大ガンダムの構造をていねいに解説した。

石井さんがやさしい単語を使ってロボットのしくみや「動く実物大ガンダム」の構造を解説

石井さんは「ガンダム本体、台車、ドックの3つの部分で構成されています。ガンダムの本体は、Gキャリアでうしろから身体を支えています。倒れてしまうことは絶対にありません」と解説した。



熱心に聞き入る生徒たち

システムディレクターの吉崎さんは「ロボットだけど人間のようになめらかに動きます。ひとが遠隔で操作しても、ロボット自体はプログラミングでかっこよく動きます。皆さんにもプログラミングにぜひ興味を持ってもらいたい」と語った。

ロボットの動作や制御技術、プログラミングについて解説する吉崎さん

著者が何人かの生徒に聞いたところ「ガンダムのアニメは一度も見たことがない」という声が多く聞かれた。(ガンダムの本放送を高校生のときに観ていた著者としては、ガンダムが長期間続いているシリーズだけに、小学生には認知度が高くない点に少し驚きはしたが、それだけ膨大な時間がすでに流れているということだろう)。

当日配布された資料。左は「GUNDAM-DOCK TOWER」で子ども達がメンテナンス体験するためのシート。右は「動く実物大ガンダム」の構造やしくみを生徒達用にやさしく解説したガイドブック(ロボスタ読者にも欲しい人がたくさんいるのでは?)

「動く実物大ガンダム」の両手は12個のモータが使われていて、指は一本一本すべて稼働する。しかし、実は指を動かす順番によっては指同士がぶつかって壊れる危険性があるが、吉崎航さんが中心に開発しているロボット制御システム「V-Sido」が、指がぶつからないように自動で制御している。指だけなく、身体全体の細部にわたって、この制御が働いている。人間は何気なく動かしている各部の動きも、ロボットの場合は自分の力で自分の一部や外部の設備を壊してしまわないように、綿密な制御が行われている。

カンファレンスルームからのぞむ「動く実物大ガンダム」 ©創通・サンライズ

■「動く実物大ガンダムの仕組みを学ぶ教育プログラム」の概要説明

©創通・サンライズ




いよいよ子ども達が遠隔からガンダムの手「ガンダムハンド」を動かす

ここから子ども達は3班(A~C班)に分かれてローテーションで体験していく。
A班はまず、ガンダムの手を動かすワクワクの体験から。ガンダムから少し離れた距離で操作するが、ガンダムが巨大なので目の前に見える(実際には下の写真よりガンダムは大きく見える:下の写真は広角で撮影)。

操作を体験する小学生。ガンダムの手の動きが直に観ることができる。(ちなみに今回の通信は有線を使用) ©創通・サンライズ


ゲーム型コントローラーで両手を操作

手を動かすための機器は、2種類が用意されていた。ひとつはゲーム型コントローラーで、両手を動かすことができ、主に手首を返したり、指を開いたり閉じたりすることができる。

左はゲーム型コントローラーの操作方法を解説する吉崎さん。右はグロープ型コントローラーを説明する女性スタッフ

ゲーム型コントローラーに慣れた子どもはすぐにガンダムの手を動かすコツをつかめるようだった

ゲーム型コントローラーは左右の手を動かすことができる



指を動かせるグロープ型コントローラー

もうひとつはグロープ型コントローラーで、今回のイベントのために吉崎さんが特別に作成した。

グロープ型コントローラーを装着した参加者

グロープを装着して各指を動かすと、目の前のガンダムの右手の指がそれに応じてゆっくりと動作する。こども達は思い思いにグー・パーだけでなく、人差し指を立てたり、チョキやキツネ(影絵の)の動きに挑戦した。

グロープ型コントローラー

はじめはおそるおそる1本だけ指をのばす参加者

操作者の動きに応じて指を1本伸ばすガンダム(「GUNDAM-DOCK TOWER」側から撮影) ©創通・サンライズ

4本の指を伸ばす参加者

ガンダムもそれに応じて指を4本伸ばした。ガンダムの左横の「GUNDAM-DOCK TOWER」のメンテナンス班はストップウォッチで指の動きの時間を計測して点検

「あっ!!できた!!」と参加者の喜ぶ声が響いた。吉崎さんが「本当だ、できたねぇ」とやさしく応えた。周囲に笑いと拍手が起こり、ガンダムはキツネ(影絵)を指で忠実に再現していた。


■2醜類のコントローラで子ども達がガンダムの手を操作

©創通・サンライズ


「GUNDAM-DOCK TOWER」でメンテナンス体験

その頃、B班はエレベータで「GUNDAM-DOCK TOWER」に昇り、目の前で動くガンダムを点検していた。


A班が動かした手の動きをストップウォッチで計測体験して異常がないか確認したり、石井さんにいろいろな質問をして計測結果や気が付いたことをシートに書き込んでメンテナンス体験を楽しんだ。

間近に見えるガンダムを巨大さに驚きながらも、シートに気が付いたことを記入していく

石井さんからは構造の解説や雨や風対策の工夫、クイズ問題も

ガンダム頭部の上からも観察

■動くガンダムの手を子ども達が間近で観察して点検


科学の楽しさと夢を

この他に、「動くガンダム」の仕組みを楽しみながら学べる展示施設「ACADEMY」を見学した。ガンダムを知っている人、初めて見た人、ロボットが好きな人、初めて触れた人、いろいろな子ども達がいて、これからの未来を背負っていく。この日、少年少女たちは確かに18mのガンダムの手を、自分たちで動かした。

この日、社会教育プログラムに参加した横浜市立鉄(くろがね)小学校の生徒と先生、関係者のみなさん ©創通・サンライズ
この記事の写真全体 ©創通・サンライズ
関連サイト
GUNDAM FACTORY YOKOHAMA

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神崎 洋治

神崎洋治(こうざきようじ) TRISEC International,Inc.代表 「Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス」(日経BP社)や「人工知能がよ~くわかる本」(秀和システム)の著者。 デジタルカメラ、ロボット、AI、インターネット、セキュリティなどに詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。教員免許所有。PC周辺機器メーカーで商品企画、広告、販促、イベント等の責任者を担当。インターネット黎明期に独立してシリコンバレーに渡米。アスキー特派員として海外のベンチャー企業や新製品、各種イベントを取材。日経パソコンや日経ベストPC、月刊アスキー等で連載を執筆したほか、新聞等にも数多く寄稿。IT関連の著書多数(アマゾンの著者ページ)。

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