深センの配膳ロボット企業 Pudu Robotics が事業を大幅縮小か 1,000人以上をレイオフ、中国メディア数社が報じる

日本では大手レストランチェーンが大量に採用し、ネコの配膳ロボットでも知られているPudu Robotics。2016年に深センに設立された同社は、2021年9月、約10億元のC1およびC2ラウンドの資金調達の完了を発表したにも関わらず(最新の調査では総額12億元を超えているという情報もある)、海外のニュースを中心に今年に入って経営上の危機的な状況が伝えられ、ネットで話題になっている。Sina、NetEase、IFENG、Tencentなど多くのメディアが報道している。


いくつかの中国のメディアは、同社の創設者兼CEOであるZhangTao氏が、会社の存続のためにスタッフを解雇することを伝える社内書簡を社員に送り、今年2月までに1,000人以上を解雇したことが報じられている。



「ロボット業界全体がほぼ採算に乗っていない」

書簡では、ZhangTao氏は会社が存続するために、事業やチームの人員を縮小する難しい決断をしなければならなかったと考えを述べている。また、サービスロボット業界全体がほぼ採算に乗っていない状態として、会社の事業によって収益を得ることが重要で、資金調達による運営が本来、健全ではないことを示唆。更にZhangTao氏は、会社の経営と事業の見直しを徹底的に行い、6ヶ月間の事業目標を調整し、事業の本質に立ち返って事業効率を向上させ、収益性の高い商用ロボティクス企業を目指す、としている。


春には新製品を発表し、活気づいているようだったが

また、ある中国系メディアは同社が2022年春の4種類の新製品を深センで発表し、ロボットアームが装備されていたり、4足歩行機能を持った配送ロボットなどが紹介されたが、一方で「研究開発のための多くの投資が必要であり、これら新製品のローンチまでには長期間かかるだろう」と悲観的な意見を述べる識者もいた。


数字を含めて詳細な事実関係や、今後のはっきりした動向はわからない。同社が短期間で従業員の規模を10倍に拡大したり、成長が速すぎて一時的な解雇や見直しに繋がっているとみる識者もいるし、コロナ禍の影響を少なからず受けていると分析する者もいるようだ。また、ZhangTao氏の言うように、現状ではまだ配膳ロボットのビジネスが充分な収益を生み出す状況に達していないのかもしれない。

日本では、サービスロボットの分野では、清掃ロボットや配膳ロボットがようやく認知を得られる段階に入っているように見えるため、このニュースは衝撃的に捉えられてる。
もちろん、中国同社のこの混乱が日本国内の配膳ロボット業界に影響を与えるかどうかはもう少し様子を見る必要があるだろう。

日本はスタッフの高齢化、人手不足、過重労働など、飲食業界はたくさんの課題を抱えており、それを解決するために、ロボットによる自動化が期待されているのは確かなのだ。同社に関する現地の続報に注目したい。

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ロボスタ編集部

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