NTTグループ4社 自律走行ロボットとモバイルオーダーアプリでビル内のフードデリバリーを自動化 混雑情報なども考慮

NTTアーバンソリューションズ株式会社、NTT都市開発株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTTCom)、日本電信電話株式会社(NTT都市開発)の4社は、ビル内でのロボット活用による省力化とオフィスワーカーの新しい価値体験・飲食店の販売機会創出などをめざし、モバイルオーダーアプリと連動した自律型ロボットによるフードデリバリに関する実証実験を、2022年10月3日より、「アーバンネット名古屋ネクスタビル」において開始した。

同実証実験では、株式会社ZMPの宅配ロボット「DeliRo」を活用し、注文受領後にロボットが人の指示を介さずに自律的に最適なルートを検索して、店舗へ集荷、該当フロアへの配送をすることをめざしている。

宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」

宅配ロボット「DeliRo(デリロ)」



なお、2022年11月16日(水)~18日(金)に開催される「NTT&Dフォーラム Road to IOWN 2022」にて、ロボットによるフードデリバリの動作デモ展示を行う予定だ。

画像:「NTT&Dフォーラム Road to IOWN 2022」公式サイトより

▼「NTT&Dフォーラム Road to IOWN 2022」開催概要

開催日時 2022年11月16日(水)~18日(金)
開催形式 オンライン
参加費 無料(事前登録)
公式サイト https://www.rd.ntt/forum/2022/index.html




同実証実験について

ロボットとビル設備(エレベータなど)のシームレスな連携が普及しつつあり、ロボットによる配送可能な環境が整う中、ロボットに行き先を指定して配達する従来の仕組みから、今回の実証では、ロボットやエレベーターなどのビル設備情報や経路・店舗の混雑情報などをクラウドに集めて、最適化シミュレーションを実施し、注文受領後にロボットが人の指示を介さずに自律的に最適なルートを検索して、店舗へ集荷、該当フロアへの配送をすることをめざす。

ロボット配送サービスおよびシステム概要



実証実験のポイント
ポイント 1. 急な打合せなどで買い物に行く時間がない忙しいオフィスワーカー向けに、モバイルオーダーから商品をお届けする新しい価値体験を創出する。
ポイント 2. 混雑情報や予約情報などのデータを収集、予測・分析して、最適経路/最適運行計画を作成することで、ご要望の時間帯に効率的に指定の場所へ商品を届ける。
ポイント 3. オフィスワーカーは、オーダーから決済までアプリで完結。ロボットが自律的に飲食店に集荷・配送するため、飲食店側も新たな販売機会を創出・拡大できる。



同検証の概要
期間 STEP1:2022年10月3日 ~ 2022年11月30日
STEP2:2023年1月以降
※STEP1では、一店舗でロボット・飲食店・利用者の基本動作・オペレーションについて確認したうえで、STEP2では、対象店舗・利用者を広げて実証予定。
場所 「アーバンネット名古屋ネクスタビル」(名古屋市東区東桜一丁目)
対象者 「アーバンネット名古屋ネクスタビル」内の飲食店とテナントオフィスワーカー(一部)
※STEP1での協力店舗は、株式会社小麦家「ESPRIT NAGOYA」
使用ロボット 株式会社ZMPの宅配ロボット「DeliRo」
利用料金 実証実験中の配送料は無料



検証内容

▼ユーザ(利用者及び飲食店)のニーズに対する検証

利用者のニーズ ・適切な時間内に飲食物が配送されること (予定配送時間の前後5分以内の到着をめざす) 
・希望どおりに飲食物の受け取りが可能であること
飲食店のニーズ ・ロボット配送のためのオペレーションが店舗運営に支障なくできること
・販売機会増に貢献していること

▼技術の検証

最適経路探索技術 ・配送時の経路上の混雑やエレベーターなどの利用状況など外部環境を把握・予測し、ロボットの最適経路を計算する技術により、自動で適切な配送が実現できること
配送計画最適化技術 ・複数の注文に対して、複数のロボットを利用して最短時間・最小限の稼働で効率的に配送できること
ロボット制御最適化システム ・上記2つの技術組み合わせ、利用者が要望する時間に適切に届けるために最適な運行を計画し、配送できること

実現にあたっては、デジタルツインコンピューティング(DTC:モノやヒトをデジタル表現することによって、現実世界のツイン(双子)をデジタル上に構築)の考えに基づき、店舗運営、飲食フードロス、個人向けサービス(おもてなし)などのさまざまなデジタルツイン間の連鎖により街の全体最適化を行うNTTの技術である「街づくりDTC(R)」および「4Dデジタル基盤(R)」技術を活用する。また、ロボットの通信には、「高速・大容量」「低遅延」が特徴である5G通信を活用することで、ロボットの位置情報や走行時のカメラ映像、複数台の運行状況を管理者へ常時リアルタイムに伝送し、屋内配送の安心・安全なサービス提供を実現していく。


なお、「4Dデジタル基盤(R)」は、ヒト・モノ・コトのさまざまなセンシングデータをリアルタイムに収集し、「緯度・経度・高度・時刻」の4次元の情報を高い精度で一致・統合させ、多様な産業基盤とのデータ融合や未来予測を可能とする基盤であり、NTTのIOWN構想における「デジタルツインコンピューティング(DTC)」を支える基盤として、NTT研究所の技術とNTTグループのノウハウ・アセットを活用し、2021年度からの機能の順次実用化と、継続した研究開発による機能拡充を進めている。




各社の役割
NTTアーバンソリューションズ ロボット活用サービス企画、ユースケース検討や検証
NTT都市開発 実証フィールドにおける実証サービス提供のための各種調整、環境整備などの準備
NTT Com 5G/LTE等の通信環境整備およびロボットに関わるシステム導入の各種検討・調整
NTT NTTスマートデータサイエンスセンタにおける予測最適化技術開発、「街づくりDTC(R)」を構成するアルゴリズム開発



■【動画】わが まち みらい「成長し続ける街づくりのために。名古屋東桜・アーバンネット名古屋ネクスタビル」篇(1:57〜「モバイルオーダーを活用したロボットによる配送」)




今後の展開について

ロボット活用の取り組みに関して、NTTアーバンソリューションズは、アーバンネット名古屋ネクスタビルにてロボットによる警備・清掃を実施している。今後は、屋内外含めた街区内でのロボットによる配送、用途の異なるロボットも含めた統合管制、ロボットのマルチユースなど、労働人口減少を見据えたビル・街区におけるロボットのさらなる活用に向け、継続的な検討・検証に取り組んでいくとのことだ。 また、NTTグループは、革新的な技術によりこれまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想である「IOWN構想」の技術を活用した「街づくりDTC(R)」により、さまざまなロボットが街で暮らす一人ひとりの生活に溶け込み、新たな価値を創出することをめざし、ロボットが「配送」「警備」「清掃」といった単なる機能を果たすだけでなく、一人ひとりのその時の状態を予測、先回りして、快適さや安心、便利、ワクワクを届けていくと述べている。

(C)Tezuka Productions/NTTアーバンソリューションズ株式会社が行う「街づくりDTC(R)」プロモーション「わが まち みらい」のイメージキャラクターに鉄腕アトムを起用している。


わが まち みらい「想像を超えた未来が、すぐそこに。」:
https://www.NTT-us.com/waga-machi-mirai/
「街づくりDTC(R)」詳細ページ:
https://www.ntt-us.com/waga-machi-mirai/dtc/index.html

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ロボスタ編集部

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