
ソフトバンクはスズキと共同でスタンドアローン方式による第5世代移動通信システム(以下「5G SA」)およびセルラーV2X通信システム(以下「セルラーV2X」)を活用し、自動車の交差点右折時の事故低減に向けたユースケースの検証を実施。その有用性を確認したと発表した。
交差点右折時、対向車線の直進車両との衝突事故を防止
ユースケースは静岡県牧之原市にあるスズキの研究開発を行うテストコース「相良コース」に設置したソフトバンクの5G SAの実験用基地局とV2N(車両と基地局間の通信)やV2V(車車間の通信)などの通信技術、スズキの車両および車両技術を活用し、交差点右折時に衝突の危険がある車両のドライバーに対して、音と表示で報知するシステムを開発し検証を実施した。
V2Vに関しては国際的に割り当てが検討されている5.9GHz帯の電波の実験試験局免許を取得して国内で先行して検証を行った。
想定したケースは「自動車が交差点を右折する際に、対向車線に右折車両が存在し、見通しが悪く対向車線を走る直進車両が目視およびセンサーで検知できないシーン」。
V2Nを活用してMECサーバー経由もしくはV2Vを活用し、車両同士が位置情報や車両情報を他の車両へ送信し各車両の情報を集約。その情報を基に衝突判定を実施し、衝突の危険がある場合は車両のドライバーに音と表示で通知を行い右折時の対向車線の直進車との衝突事故を防止する。
5G SAを活用したV2Nで、MECサーバーを介して車両に通信する場合
交差点付近にいる車両は、位置情報や車両情報などを定期的にMECサーバーへ送信、MECサーバー側で受信した各車両情報と地図情報をひも付け、管理を行い、MECサーバーが集約した車両情報から衝突判定を実施して衝突の危険があると判断した場合、対象の車両へ衝突判定の結果を送信。衝突判定の結果を受信した車両は、音と表示でドライバーに警報通知を行う。
セルラーV2Xを活用したV2Vで、車両から車両へ直接通信する場合
交差点付近にいる車両は、位置情報や車両情報などをセルラーV2Xを活用し周辺車両へ直接送信。周辺車両の情報を受信した車両が、情報の管理を行うとともに衝突判定を実施し、衝突の危険がある場合は音と表示でドライバーに警報通知を行う。
今回の検証により、衝突回避などの運転支援システムは、カメラやレーダーなどの車載センサーを使用した車両のみで完結するシステムが一般的でだが、5G SAや車車間通信を活用したシステムでも十分に有用性があることが確認できたとしている。
ソフトバンクとHondaが 5G SAとセルラーV2Xの活用で連携 事故低減を目指す実験とユースケース検証
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