NVIDIAとNTTドコモ、GPUアクセラレーテッド5Gネットワークを国内展開 オープンRANを世界に先駆け構築

NTTドコモは2023年9月27日、GPUアクセラレーテッド無線ネットワークを日本で展開することを発表した。これによりNTTドコモは、商用向けのGPUアクセラレーテッド 5Gネットワークを世界に先駆けて展開する通信事業者となる。

高性能なソフトウェア デファインド無線ネットワークを日本に展開

生成AIに対する高い関心が多くの企業の役員を席巻する中、世界の通信会社は、5Gや今後登場する6Gネットワークを通じて、こうした多くの新しいAIアプリケーションをエッジにコスト効率よく提供する方法を模索している。

通信事業者は、2025年までに世界中で1,700万以上の5Gのマイクロセルやタワーを配備する計画だが、サービス品質を維持し、顧客体験を最大化しながら、新しいインフラを構築、管理、最適化することは、業界の次なる大きな課題となっている。

NTTドコモが発表したGPUアクセラレーテッド無線ネットワークを日本で展開するという取り組みは、オープンRAN(Radio Access Network)が実現する柔軟性、拡張性、サプライチェーンの多様性を解き放つと同時に、パフォーマンス、総所有コスト(TCO)、エネルギー効率の改善を促進するという数十億ドル規模の問題に対処するもの。

5GオープンRANソリューションは、NVIDIA Aerial vRANスタックとNVIDIAコンバージドアクセラレータ上に構築された富士通の高性能5G 仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)を採用している。この組み合わせにより、通信事業者は、業界標準の機器を使用して動的にリソースを割り当てることを可能にし、完全なソフトウェアデファインドおよびクラウドデファインドのネットワークを構築することができる。

NTTドコモ グローバルビジネス部 OREX エバンジェリストの安部田貞行氏は

株式会社NTTドコモ グローバルビジネス部 OREX エバンジェリストの安部田貞行 氏

オープンRANは、マルチベンダー接続による、これまでにない柔軟性と拡張性を備えた次世代の 5G ネットワークを構築する機会を提供します。NVIDIAと協力し、このようなニーズを満たすインフラストラクチャ ソリューションの取り組みに大いに期待しています

と、述べており、NVIDIAとの取り組みについて大いに期待を寄せている。

5GオープンRANソリューションは、NVIDIA Aerialプラットフォームを使用した、通信事業者の商業展開のための最初の5G vRANであり、要塞化されたキャリアグレードのvRANスタックを備えている。このプラットフォームは、5G用の NVIDIA Aerial vRANスタック、AIフレームワーク、アクセラレーテッドコンピューティングインフラストラクチャ、および長期的なソフトウェアサポートとメンテナンスを統合している。

GPUアクセラレーションのコストとエネルギー効率の利点

富士通やウインドリバーが提供する製品と組み合わせた新しい5Gソリューションは、NVIDIA Aerialプラットフォームを使用することで、コストを抑え、消費電力を削減する。ドコモによると、既存の5Gネットワークの展開と比較すると、TCOを最大で30%、ネットワーク設計の利用率を最大で50%、基地局の消費電力を最大で50%削減するとしている。

富士通モバイルシステム事業本部長の谷口正樹 氏は

富士通株式会社 モバイルシステム事業本部長 谷口正樹 氏

通信事業者の厳格なパフォーマンス要件を満たす 5GオープンRANネットワークを提供することは、大きな成果です。富士通のvCU/vDUを NVIDIA Aerialプラットフォームと組み合わせることで、ネットワーク事業者は消費者や企業向けに高性能な 5G ネットワークを効率的に構築できるようになります

と、述べている。

ドコモの取り組みに対するNVIDIAの貢献は、通信業界の変革を推進する5Gソリューションの拡大するポートフォリオの一部。NVIDIAは、NVIDIA Aerial vRANスタックとNVIDIA コンバージド アクセラレータを軸に、NVIDIA BlueFieldデータプロセッシングユニット (DPU)と一連のAIフレームワークを組み合わせ、オンプレミスおよび通信事業者のRAN向けに、高性能、ソフトウェアデファインド、クラウドネイティブ、AI対応の5Gを提供している。

富士通、NVIDIA、ウインドリバーは、ドコモが2021年2月に立ち上げたイニシアチブ 「5GオープンRANエコシステムエクスペリエンス(OREX)」サービスブランドのもと、オープンRAN 5G vRANの開発に取り組んできた。

日本で展開されるOREXは、富士通の仮想DU(vDU)と仮想 CU(vCU)をベースとし、商用オフザシェルフサーバー、ウインドリバーのクラウドプラットフォーム、富士通の5G vRANソフトウェア、NVIDIA Aerial vRANスタックと NVIDIAコンバージドアクセラレータを活用している。

ウインドリバーの最高技術責任者(CTO)、Paul Miller氏は

ウインドリバーの最高技術責任者 Paul Miller氏

ウインドリバーは、NTTドコモ、NVIDIA、富士通と、RANの導入と運用の効率化というビジョンに向けて協業できることを嬉しく思います。Wind River Studioは、オープンソースベースのクラウドネイティブな分散型クラウド、自動化、分析ソリューションです。オペレータは本ソリューションにより、迅速なイノベーションを実現可能とする5Gエッジネットワークをグローバルに大規模に展開・管理することができます。本ソリューションは、現在、大規模商用展開されており、実証されています

と、ソリューションについて述べている。

OREXは日本から世界へ

ドコモとOREXのパートナーは、マルチベンダーでオープンRANに準拠した5G vRANを世界の通信事業者コミュニティに普及させるために協力。日本での商用展開は、OREXのビジョンにおける最初のステップであり、OREXのメンバーがそのソリューションを商業的に検証し、グローバルに他の通信事業者へ普及することを可能にする。

NVIDIAは、ドコモやその他のパートナーと協力し、世界中の通信事業者が高性能でエネルギー効率に優れたソフトウェアデファインドの商用 5G vRANを展開するのを支援するとしている。

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ロボスタ編集部

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