鹿島建設は、建築工事に不可欠な床面などに工事に必要な基準線を書く墨出し作業を、全自動かつ高精度に行うロボットプリンター「ロボプリン」を開発した。「ロボプリン」は、読み込んだ施工図面データを基に、工事に必要な基準墨や仕上げ墨などをコンクリート床にプリントする。特別な装置やアプリが不要なため導入が容易であり、スタート後は全自動で作業するため、誰でも手軽に高精度の墨出しができる。
現場への導入を進めるにあたり、「ロボプリン」を鹿島建設機械技術センター(神奈川県小田原市)で実証した結果、墨出し作業の生産性を約2倍に向上できることが確認できた。これを受け、鹿島建設の複数の建築現場への導入を開始した。
「作業の半分はロボットと」現場の生産性向上に取組む
鹿島建設は、全社で推進中の「鹿島スマート生産」において、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに掲げ、各種ロボットの導入による現場の生産性向上に取り組んでいる。
建築工事に必要不可欠な墨出し作業は、各作業の開始前に完了している必要があるため、夜間や早朝などに行われることも多く、墨出し工の負担となっている。さらに、昨今の技能労働者数の減少と建設需要の高まりにより墨出し工が不足していることから、墨出し作業のロボット化が求められていた。
ロボプリンの概要と特長
ロボプリンは、施工図面データを基に、基準点に設置した自動追尾トータルステーション(自動で追尾して距離と角度を同時に測る測量機器)により高速制御することで、計測値+-約1mm以内の高精度に実寸大の連続線や文字(サイズ10mm)を床面にプリントが可能。
車輪には全方位移動型車輪オムニホイールを採用しており、スムーズな移動が可能。そのため、高精度な矩形線なども無駄な動作なくプリントすることができ、基準墨から仕上げ墨まで幅広い種類の墨出しに対応する。
操作はブラウザ上で行うため、スマートフォンやタブレットなどのデバイス機器で操作が可能。
また、特別な装置は不要で、一般的なトータルステーションと連携することができるため、導入が容易となっている。
利用開始までの準備時間は、基準点へのトータルステーションの設置を含め約10分で、スタート後は全自動で墨出し作業を行うので、誰でも手軽に高精度の墨出しを行うことができます。
今後の展開
今後は自社現場への導入を進めるだけでなく、建設業界全体の生産性向上と働き方改革のため、当社が幹事会社を務める建設RXコンソーシアムでの活動を通じて普及に貢献するとしており、「鹿島スマート生産ビジョン」と働き方改革の実現に向け、ICTを活用したロボット技術の開発と現場管理手法の革新を進め、より魅力的な建築生産プロセスの実現を目指す。
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鹿島建設株式会社